能楽・喜多流能楽師 粟谷明生 AWAYA AKIO のブログ

能楽師・粟谷明生の自由気儘な日記です。
能の世界も個人の生活もご紹介しています!

長男・尚生の下稽古

2011-11-29 09:15:22 | マジメ能楽 楽屋表話
12月5日(月)は息子・尚生にとってはじめてのことばかりです。

能の世界に入ることを自身で決め、
二年ほど前から楽屋働きや仕舞・舞囃子、
そして数番の能も経験して勉強していますが

今年より喜多流職分会認定の稽古能に参加することになり『鵜飼』を勤めます。


『鵜飼』の前シテは、尉(お爺さん役)です。
20代の若者、それも最近志したばかりの若造にとって尉役がうまく出来るはずもないのです。
しかし先代の喜多実先生は、出来ないのをご承知で敢えて若者に尉を経験させる教育方針でした。

現在、尚生は総責任者を粟谷能夫として、私とで将来を考えて指導しています。
能夫も「自分たちも実先生から、若い時分に尉の曲を与えられた。経験で得ることの大事さ、尉の謡というものを学んでほしい」との考えで今回、尚生に『鵜飼』を勤めさせることになりました。

尚生には、はじめてのお爺さん役です。
まず演者として今までとは違う物で準備するものがあります。

白いシャッポ(帽子)、面紐は白色、襟は浅黄色、と慣れた私たちには当たり前のことでも若者には未知の世界です。

それらをしっかり理解体得してもらうこと、一からの学習です。


私は尉の謡い方が一番むずかしいと思います。
本人、昨日の下稽古の動画を見て相当落ち込んでいますが、尉の謡が本当に出来るようになるには、それ相当の時間がかかるちます。

「熟成された謡声が尉を想像させるから、そんな直ぐには出来ない、徐々に、段々と上達するものなのだ」と、クサッている息子に説明していますが・・・・

何事も経験ですね。

布団の破れは寝てみにゃわからん、です。


昔は若者は稽古能では装束が着れましたが、その前の段階では装束を着ることは適いませんでした。

装束を大事にする、着物の稽古で充分体得していればぶっつけ本番で問題はなし!
と言われて来ました。

が、しかし、今は違います。
やろうと思えばなんでも可能です。

下稽古でも面を付けて、稽古用の装束を着て、本番さながらの稽古をした方が良い、
いやそうすべきだと、私は思います。

「来週の月曜日が待ち遠しい」父と
「来週の月曜日までにどうにかもっと良くなるように改善する!」と意気込んでいる息子とそんな我が家の状況です。

皆様の粟谷能の会への応援、将来能楽師を目指す若者たちへの応援を
よろしくお願い申し上げます。

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1 コメント

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Good luck! (どうきゅうせい)
2011-11-30 10:56:32
心ゆくまでご準備がなされますように。
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