能楽・喜多流能楽師 粟谷明生 AWAYA AKIO のブログ

能楽師・粟谷明生の自由気儘な日記です。
能の世界も個人の生活もご紹介しています!

能『卒都婆小町』を勤めるにあたり その5

2018-02-21 10:28:58 | 能はこうなの、と明生風に能の紹介
先日「卒都婆問答」をお芝居風に紹介したが、小町婆さんは真言密教を学んだ高野山の僧侶達に

「差別観を取り去ればね、卒都婆も人間も共に仏の性質を備えている点では変わりないんだよ。 悪も善、煩悩も菩提、皆同じだよ」

と禅宗の教義を持ち出し論破し、自ら悟りの境地にいるかのように、そして
遂には、お調子に乗って戯れの歌を詠んでしまう。

♪ 極楽の うち ならばこそ悪しからめ

そとは 何かは苦しかるべき♪


極楽の内ならば無礼はいけないが、
外(卒都婆、ソトハ)だから卒都婆に腰掛けても悪くないでしょ?


駄洒落のような、このお戯れの歌。
自分の好み以外は対象とせず、自分の思うままに、自信に満ちて生きて来た気の強い女、小野小町。

「こういうタイプは長生きするんだ」
と話していた父を思い出す。

しかし、何故晩年は物乞いにまで零落してしまったのだろうか?

なにがあったのだろうか?


と、考えながら今日も稽古だ!


粟谷能の会チケット、S S席とD席は完売となりましたが、他のお席はまだございますので、珍しい復曲能『山姫』と私の老女物の披き『卒都婆小町』を是非ご覧いただきたく、ご来場をお待ち申し上げております。

粟谷能の会チケットのお申込みは下記からお願い申し上げます。

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写真 『卒都婆小町』シテ 粟谷菊生 撮影 あびこ喜久三

文責 粟谷明生



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