能楽・喜多流能楽師 粟谷明生 AWAYA AKIO のブログ

能楽師・粟谷明生の自由気儘な日記です。
能の世界も個人の生活もご紹介しています!

青年能は

2006-09-23 00:01:51 | カルーク面白楽屋裏話

今日は喜多能楽堂で青年能だ。
番組は『知章』と『紅葉狩』。
「あ~、私もこの二曲とも、やはり青年喜多会で勤めたなあ~」
と思い出す。

『知章』は滅多に出ない曲だ。
若者の練習曲としてはいいだろうが、秀作の多い修羅能の中で、
この曲はお世辞にもすばらしいとはいえない、私は好きになれない。
一度演じたので、もう結構!

前シテが直面姿なので、若者が何も巧まず、
まっすぐな気持ちで演ずるには好都合の曲だろう。
大島輝久君の前シテに注目したい。

『紅葉狩』は青年能としては位の高い方の曲だ。
演者には『道成寺』『絵馬』にしかない急之舞を舞うことが試練だ。
体育会系統止まりの舞い・動きであれば、合格とは言えない。

シテは鬼女が惟茂の眠りを醒まさないように、女の色気を使って、
しかもスピーディーに切れるように、美しく舞うところが大事なのだ。
歯を食いしばって力んでいるだけでは到底無理、
見る方が肩が凝ってしまうだろう。

井上真也君の舞に期待してみよう!

父に『紅葉狩』はどのような気持ちで舞えばいい?
と質問したら、

「そうだな~バー「もみじ」の
売れっ子ナンバーワン!カエデちゃんの気持ちでやれ!」
と言われた。

そんな言い方するの?とお思いの方もおられるだろうが、
私はこれで充分判るから、いいのだ。

ぐたぐた、だらだら、教えるより
こういうのが、さっぱりしていていいね、

但し、このカエデちゃんをうまく想像出来ないと
折角のアドバイスも戯言に化してしまうから、ここが味噌よ。


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2 コメント

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流石ですねぇ (申楽FAN)
2006-09-23 10:47:04
師匠たる父君からのアドバイスにこのお言葉がもらえるなんて

実に羨ましい限りですね。

やはり人間の本性を見据えておられる父君の至言でしょうか。

能は多様な側面を持っていると思いますが、女性の感情表現を男性が演じる際のコツを得たようで、「えっ?」・・「オオゥ・・・」 としばし固まってしまいました。

形而の先にあるものを常に見ていくということでしょうね。(って、エラソーにすいません)



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あぶなかった~~! (粟谷明生)
2006-09-24 07:55:55
紅葉狩の後シテでハプニング発生!

緋大口袴の後が腰バネから外れて~~



鬼人のお尻がまる見え!



寸前であった、

あ~~~あぶなかった。
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