能楽・喜多流能楽師 粟谷明生 AWAYA AKIO のブログ

能楽師・粟谷明生の自由気儘な日記です。
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喜多流自主公演『錦木』にご来場頂きます皆様へ

2013-11-24 08:46:33 | 能はこうなの、と明生風に能の紹介

三年間、恋しい女の家の門に錦木を立てつづけた男、哀しいかな女が応じないまま命を落としてしまいます。その男の魂は己が置いた錦木と一緒に塚に葬られていますが、恋慕の執着により未だに成仏できずにいます。

旅僧の読経により男女の亡霊が現れ、機を織る有様や女のもとを訪れる様子を見せますが、それは旅僧の見た夢でした。というのが『錦木』のお話。

さて後場に男を拒む女が、遂に許すのを、あることで表現しています。
それはなにでしょう?

答え
後場、クセの舞の中で女の前に置いた錦木を途中で後見が取り入れます。
それが「OK!いらっしゃい」です。

その瞬間がいつかな?いつ?とご覧になるのも面白いかもしれません。

今夜Eテレにて『羽衣』霞留 シテ 粟谷能夫 地頭 粟谷明生が放映されます、こちらもご覧いただければ嬉しいです。

文責 粟谷明生

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2 コメント

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堪能 (みちのくの K)
2013-11-26 20:25:40
昼は、目黒の喜多能楽堂で明生先生のシテ役、能夫先生の地頭の錦木、夜はテレビで明生先生の地頭、能夫先生のシテ役の羽衣を堪能いたしました。
ところで、霞留とはどういう形式の終わり方なのですか。
最後まで謡わなかったようですが。 
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お返事 (粟谷明生)
2013-11-26 20:42:46
小書の「霞留」は「霞に紛れて~、」のあとの「失せにけり」を謡わずに囃子方の掛け声と音色だけで余韻を表現する手法です。喜多流にしかありません。シテは背中を観客に見せて幕入りします。舞込は観客に顔見せながら後ずさりしながら幕に入ります。
天女が下界が名残惜しいなあ~という感じは「舞込」ですね、「霞留」はやることやりましたから・・・月の世界に帰らせていただきます、と振り切った感じでしょうか。


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