能楽・喜多流能楽師 粟谷明生 AWAYA AKIO のブログ

能楽師・粟谷明生の自由気儘な日記です。
能の世界も個人の生活もご紹介しています!

忙しくても、時間をひねり出し、観賞しなくては~~

2008-05-01 10:39:51 | 粟谷明生の日常
薬師寺の日光・月光菩薩が東京国立博物館にいらっしゃる。
NHKテレビで「国宝薬師寺展」を紹介していた。

「やはりね~仏像は安置されたところ、お寺で見なくてはだめだね~~」
と、偉そうに独り言を言っていたが、

そのうちに、菩薩の光背を外すところが放送され、
「あ~、これは本物のうしろ姿を見なくてはいけないなあ~~」
と考え改め、どうにか時間を拵えて博物館に行ってきた。

見どころは~やはり、
薬師寺に安置されていては、見られない~~、
うしろのお姿だ。
光背を取ったお姿を後から間近で見られたのは、貴重な体験だ。

「う~~~ちょっと触わってみては~」
と、悪魔のささやきが聞こえるほどの、艶めかしさだ。

よ~く見ると、日光より月光の方が女性的。
腰を左にちょっと捻っているところが、
なんとも言えぬ魅力を放っている、
エロチックでもある。

「さわってみたいな~~」

あれ?

菩薩は男性だよな~~~、
ということは~

女っぽい男?


オカマ?

ふれたい誘惑が~~~~~、


一瞬で消えた。

少し時間をかけて、じっくり見ていると、
艶めかしいが~~
いやらしさを感じさせない。
なんとも言えぬ力、お慈悲の力かな?
そんなものを感じはじめ~~~

ふと、父と話したことを思い出した。

「うしろ姿を誉められたら~~~、それが本物!」

「うしろ?」

「そうだよ、囃子方から誉められたら、嬉しいものよ」

確かに、そうだ。
いい能役者のうしろ姿には、力とエロ、を感じる。

私見だが
能は直線の美といわれるが、
直線の中に隠れている曲線の美があってこそ、
本物の直線の美しさが生じるものではないだろうか、

この美しい曲線を創り上げることこそが、
難儀なのだ~~
と、思っている。

それを~そこを求めて精進、勉強しているのだが~~
なかなか程遠い。

今回、二つの菩薩様は、そんな父との会話を
思い出させて下さいました。

南無・阿弥陀仏

で~~~~~

その後の私の足どりは~~と言いますと~

閉館寸前に博物館を出て、
文芸春秋画廊 ザ・セラーで開催されている
「おもて工房 幻(げん) 能面展」を見るために銀座に急行。
会員皆様の力作を拝見しました。

皆様、以前より、着実に腕を上げられ、
すぐ舞台で使えそうなものが、たくさんありました。

これをご覧の皆様も
もしお時間がありましたら、いや時間は自分で創りだして
是非 幻の能面展へ行ってみてはいかがかな!!

詳細は下記をご覧下さい。

第三回 おもて工房 幻 能面展のご案内

4月28日(月)~5月3日(土)
午前11時~午後6時
文芸春秋画廊 ザ・セラー(入場無料)

出品者
奥津健太郎
原島 洋三
土屋 宏夫
藤原 邦義
関根 節子
渡辺 香織
佐藤  誠
嶋田 和則
守屋 泰利

石原 良子




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