能楽・喜多流能楽師 粟谷明生 AWAYA AKIO のブログ

能楽師・粟谷明生の自由気儘な日記です。
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横浜能 『頼政』シテ・粟谷能夫の使用面

2014-06-15 09:20:09 | 能はこうなの、と明生風に能の紹介
昨日は横浜能があり粟谷能夫が勤める『頼政』の地謡を謡って来ました。
喉の痛みや炎症が起きたら、やはり直ぐに専門医に診ていただくのが良いようです。金曜日に山王病院ボイスセンターの駒沢先生に診ていただき、声が出ない原因と今後の対策を教えていただき、治療の結果、昨日は完全復活とはいかないものの、一応謡いとなる声が出るようにしていただき一安心となりました。

さて能『頼政』の後シテに使用する専用面のお話です。粟谷家には「頼政」が三面あります。先日発行された「粟谷家所蔵能面選」からの転写ですが、見比べてご覧下さい。
まず最初は、父や能夫、私がよく使用してきた出目元休作の「頼政」です。


二番目は出目家型の友閑作、これも時々使用します。


そして三番目、昨日使用した宝生家所蔵の本面の系統に属する「頼政」です。


これは作者不明ですが、粟谷家所蔵能面を調査された神戸女子大学文学部教授の大谷節子先生は「江戸初期は下らぬ強い骨格を持つ」と解説されています。

実はこの面、他の頼政と異なる部分が多いため頼政であるのか?と疑問でした。
今回の調査で古い型の頼政であることが判明しましたので、能夫が使うこととなりよい機会となりました。実際舞台での印象、写り具合はとてもよく、私も次回はこの面を使用したいと思いました。

写真 頼政三面「粟谷家能面所蔵選」より 
文責 粟谷明生


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