能楽・喜多流能楽師 粟谷明生 AWAYA AKIO のブログ

能楽師・粟谷明生の自由気儘な日記です。
能の世界も個人の生活もご紹介しています!

居心地良い空間をつくる

2013-07-03 06:45:01 | 言いたいこと・伝えたいこと 
先日、大阪の行きつけのお店でのこと。
我々は6人、店に入ると4人掛けのテーブルが空いている。二つのテーブルを付けて6人でお話しながら食べたい、とお願いすると、
「すんまへんな~、3人ずつ、二つのテーブルに分かれて座ってもらえまへんかな~」
との返答。
「いや、一つでないと来た意味がない。6人を一緒にさせて」
と更に依頼すると、
「すんまへんな~。二つのテーブルくっつけますと、カウンターを予約されているお客さんのお邪魔になるんでなあ」
「じゃあ、テーブルの並べ方工夫したらいいじゃないの」

これには、ひとこと
「すんまへんな~」。
だんだん腹が立ってきて
「それならいいです。6人みんなでお話したいので他のお店に行きますから」。
すると
「ちょっと待って下さい。あれ、こうしたらええんかな~~?」
と必死にテーブルを動かしはじめた。

私たちは我が儘なのだろうか? 
最初、店員さんは出来ることをしようとしなかった。そして最終的には、カウンターのお客様に迷惑の掛からないテーブルの並べ方をして、何とか我々を留めることができた。我々もそこで飲んで食べて喋ってきたのだが・・・。

すんまへんな~、出来まへんな~を繰り返したオッサン。馴染みの客であろうとなかろうと、だんだんムカツイテ来たのだが、一瞬、私も同じようなことをしているのかもしれない、と思い寒気がした。
「能はこうなんですよ」
と押し通しているのではないだろうか?

確かに能は親切な舞台芸術ではないが、そうだからといって、なにもしないでいいのか・・・。それが店員の行為と同じように思えた。
ややサービスが足りない能、サービス過剰になる必要はないにしても、なにかもう少し現場の人間が今、動いてもいいような気がしてきた。

あの店員の最後の行動のように、ちょっとした工夫で居心地の良い空間を作ることも可能なのだ。我々が知恵を絞って創意工夫するときだと思った。

写真撮影 島崎信一
文責   粟谷明生

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