先日、友人宅で久しぶりに鰹節を削るところを見た。最近は、薄く削られた鰹節パックが市販されているので、わざわざ削り器を使うことは少なくなったが、鰹節を削る音は子供の頃を懐かしく思い出させてくれた。
身を粉にして、と言う言葉がある。古臭い感じがしないでもないが好きな言葉だ。
身を粉にして謡う、
これは父の言葉。
謡は独特な発声をするが、その声は能役者の体内に無尽蔵にあって永遠に出るもの、とお思いの方もおられるだろうが、さにあらず。謡の声は消耗品だと思う。
専門的な説明になるが、謡いの声は、「豎(しゅ)」と「横(おう)」に大きく分かれ、息は「出す」と「引く」の二つがあり、それを「祝言(陽)」か「望憶(陰)」の心持ちで発声する。
そして優れた謡い手はその声のエネルギー(心)を自分自身へ圧(ストレス)をかける、すると「いい謡」になる、そう教わっている。このエネルギーとストレスこそ、「身を粉にして」粉ではないか、と勝手に信じ込んでいる。
声質よく、調子もよく、無理なく楽にエネルギーを出しながら謡えたらなんていいんだろう、と思う時があるが、どうも私にはその素質は無さそうなので、ならば身を粉にして謡わなくては、と心がけている。
消耗していくのを覚悟の上で、観客のため、同じ舞台にいる仲間にも、そして自分自身にも、精一杯謡い勤めたい、と思っている。
人は加齢すると己大事になってしまうようだが、人のため精一杯謡わなくては!
そう覚悟すると、意外に気持ちって楽になる。
61歳寸前でしみじみと思ったりしている。
(粟谷明生能楽教室のご案内)
能舞台に上がり、扇を扱い、摺り足をして能面や能装束を身に付けてみる、小鼓も打ってみる、粟谷明生が直接ご指導させていただきす能楽1日体験教室が11月3日13時開設します。参加者募集中!
場所、五反田、池田山舞台
参加費、10000円
能『船弁慶』の仕舞と謡を4回のお稽古で習得する「粟谷明生の能楽教室入門編」参加者募集中
10月25日.11月1日.8日.15日
場所、五反田、池田山舞台
参加費、30000円、はじめてエントリーの方には舞い扇を差し上げます。
お申し込み先
粟谷明生事務所
akio@awaya-noh.com
文責 粟谷明生
身を粉にして、と言う言葉がある。古臭い感じがしないでもないが好きな言葉だ。
身を粉にして謡う、
これは父の言葉。
謡は独特な発声をするが、その声は能役者の体内に無尽蔵にあって永遠に出るもの、とお思いの方もおられるだろうが、さにあらず。謡の声は消耗品だと思う。
専門的な説明になるが、謡いの声は、「豎(しゅ)」と「横(おう)」に大きく分かれ、息は「出す」と「引く」の二つがあり、それを「祝言(陽)」か「望憶(陰)」の心持ちで発声する。
そして優れた謡い手はその声のエネルギー(心)を自分自身へ圧(ストレス)をかける、すると「いい謡」になる、そう教わっている。このエネルギーとストレスこそ、「身を粉にして」粉ではないか、と勝手に信じ込んでいる。
声質よく、調子もよく、無理なく楽にエネルギーを出しながら謡えたらなんていいんだろう、と思う時があるが、どうも私にはその素質は無さそうなので、ならば身を粉にして謡わなくては、と心がけている。
消耗していくのを覚悟の上で、観客のため、同じ舞台にいる仲間にも、そして自分自身にも、精一杯謡い勤めたい、と思っている。
人は加齢すると己大事になってしまうようだが、人のため精一杯謡わなくては!
そう覚悟すると、意外に気持ちって楽になる。
61歳寸前でしみじみと思ったりしている。
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参加費、10000円
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場所、五反田、池田山舞台
参加費、30000円、はじめてエントリーの方には舞い扇を差し上げます。
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akio@awaya-noh.com
文責 粟谷明生