「仕舞や謡が上手くなるには、どうしたらいいですか?」のお尋ねに
「まずは馴染みましょう」と答えている。
「上手くやろうと思うな、ちゃんときっちり正確に出来るように・・・」
と子どもの頃に教わりました、と付け加えて。
まずは「上手く」より「正確に」と若い時から教えられ、しっかり身につけさせられてしまった。
では「正確に」はどうしたらよいか?
答えは簡単 「繰り返し」「反復稽古」しかない。
能の世界に限らず、だれでもすぐに上手くはなれない。上手くなるには時間が必要だ。あせらず、じっくり、と。
「大丈夫ですよ、心配なさらないで自然と上達されます。自覚されていないかもしれませんがお上手になられていますよ」と、能楽体験教室に参加されている方にはそうお声をかけている。
さてこれは持論
能の技の習得、つまりお稽古は
素人(アマチュア)は習得を焦ると時間が敵になり返って上達が遅くなるので焦りは禁物だ。しかし玄人(プロ)やプロを目指しはじめた者は、逆に少し早めに焦る方が上達のぐあいが上がる、と思っている。
プロもアマも習いはじめは、(馴染み+繰り返し)でスタートするが、プロとアマチュアには当然違いがあり、その違いは必要だ。
アマは基本「焦らなくていい」で、プロはいかに早く「焦り」を意識するか、である。勿論、程度問題はある。
あっ!という間に過ぎていく「時間」。
「時間」を意識し、うまく「時間」を味方にしたものが勝者となる! と、後進には伝えているのだが、これを体得するには、やはり時間が必要のようだ。
さて、最後に、ざれごと歌 一句
これを読み、納得するは、いとやすし。
易く出来ぬは、習得の道
文責 粟谷明生