能楽・喜多流能楽師 粟谷明生 AWAYA AKIO のブログ

能楽師・粟谷明生の自由気儘な日記です。
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獅子舞『望月』その1

2017-01-24 08:58:50 | 能はこうなの、と明生風に能の紹介
いよいよ今週末となりました喜多流特別公演です。
私の勤める、能『望月』は現在物と呼ばれるお芝居に近い判りやすい能です。初心者の方でもお楽しみいただける作品ですので大勢の皆様にご覧いただきたい、と思っております。


物語は、安田荘司友春の家臣、小澤刑部友房(シテ・粟谷明生)は主君が従兄弟の望月秋長(ワキ・殿田謙吉)に討たれたため、守山の宿・甲屋(かぶとや)の亭主として生きながらえていました。

ある日、偶然にも主君・友春の妻(シテ連・大島輝久)と子(子方・大島伊織)が甲屋を訪れ、主従再会となります。
喜びの再会の中、宿敵の望月秋長が偶然にも宿に泊まることとなり、舞台は仇討ちへと展開していきます。



普通は、高名をあげた者の名前が曲名になるのが自然ではないでしょうか?
しかし、能『望月』は討たれた者の名前が曲名になっています。
その意図は? 
今、気になっています。

シテは台詞のみの謡で友春の心情を表わし、言葉の台詞まわしが今回の私の課題です。感情が入り過ぎ能の世界の結界を超えてしまっていけません、かといって単に謡の詞章の発音だけでは、ご覧になる方に面白みを感じていただけないでしょう。謡の抑揚のさじ加減がむずかしいところです。

『望月』の見どころは獅子舞です。喜多流の獅子の舞は『石橋』と『望月」の二曲だけで、獅子舞は特に秘技とされていて大事に扱っています。

今年は、3月5日(日)粟谷能の会では『石橋』を半能形式で、能面「獅子口」を付けて霊獣獅子に扮し、週末は仇討ちのため酒宴の座興として武士・友春が必死で舞いますが、二曲粗相なく勤めたいと思っております。





一年に二回、しかも『望月』と『石橋』を連続で舞うことは喜多流能楽師にとっては非常に珍しいことで、この貴重な機会を是非、皆様にご覧いただきたく、ご案内申し上げます。

お問い合わせ先
粟谷明生事務所 akio@awaya-noh.com


文責 粟谷明生

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