能楽・喜多流能楽師 粟谷明生 AWAYA AKIO のブログ

能楽師・粟谷明生の自由気儘な日記です。
能の世界も個人の生活もご紹介しています!

粟谷家の能の伝書を公開します。

2012-01-24 08:21:20 | マジメ能楽 楽屋表話
我が家の喜多流の伝書は非常に貴重なものです。
早いうちにデジタル化して、保存したいと考えています。



実はこの伝書を読むようになったのはここ10年ぐらい前からのことです。
なにしろご覧の通り、昔の字で書かれているので、最初は読めなくて即、挫折でした。

「だめだ、読めない」と諦めていましたが、広島の小鼓の横山晴明先生から読み方を教えていただいてからは、徐々に読めるようになり、読めるようになると秘伝や能役者の心持ちなどが面白く書かれているので演能意欲も湧いてきます。

昨日も読めない、意味が判らないところがあったのでお聞きしてきました。

ではその一部を

「面の請けは顔にて下げるは悪し、うつむく様に見へる也。
気にてうつむくが宜し」

訳:面の請けとは、景清のお面を顔に付ける角度です。
請け具合は顔だけ下げるのは良くない、うつむく様に見えるから
心、気持ちを入れてうつむくのがよい。

さて、ここからが問題。

「是は襟にて覚ゆるが宜し。必ず襟へささゆる物也」

これが判らなかったのですが・・・・・
判明!

訳:これは着物の襟をヒントに覚えたらよい。
襟に沿うように、ゆっくり首を動かして顔の向きをかえると良い、

と顔の動かし方について記載されていました。

こういうのが面白いんですね。

ただ「ゆっくり向く」ではなく「襟にて覚ゆる」ですよ。

こんなこと勉強しながら『景清』にむけて稽古しています。

3月4日 粟谷能の会 国立能楽堂。

皆様のご来場、お待ちしております。

粟谷能の会のお申し込みはブログの右のチケット申し込みからお入り下さい。


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