能楽・喜多流能楽師 粟谷明生 AWAYA AKIO のブログ

能楽師・粟谷明生の自由気儘な日記です。
能の世界も個人の生活もご紹介しています!

2007-04-12 15:07:31 | 粟谷明生の日常
昨日は大阪フェスティバルホールの
「フェスティバル能・狂言」で地謡を勤めてきた。

番組は『翁』と『悪太郎』と『彦市ばなし』
「能にして能にあらず」の『翁』の後は、狂言が二番。

喜多流の『翁』ということは、
上掛と違い、千歳役を狂言方が勤めるから~。

で~~
千歳は誰か~~な~?

そう!もちろん
人気狂言師、野村萬斎くん!

つまり、昨日はお狂言主催の会ということ。

シテ方からすると~~~
いじけて言えば~~~

千歳気分

判る?

露払いね

それは、それでアキ君としは~~
楽で、楽しく、面白かった、から主催者に感謝、感謝!

開演は6時半だが、場当たりのリハーサルが3時半からあり、
少し待ち時間が出来てしまったが~~

ちゃんと次回からのお弟子の稽古曲を決める時間に
これを当てて、これまた有意義に時間を過ごせた。

時間は有効に!ですね

そして、昨日の楽しみの、もう一つは~~~
南森町のあるお寿司屋さんでの、仕事のあとの一杯と旨いにぎり。

あ~~~~
楽屋では、待ち遠しく、待ち遠しくて
ちりやたらり、万歳楽

で~~~
美味しくいただいて参りましたよ、
あたしゃ大満足よ。


話しは戻るが、今回の会場、写真見て見て!

舞台の左右と正面後からも、演者が登場する仕組み、
これが奇抜で面白い。

また小原流のお花で舞台を飾っていたのにも興味が引かれた。

なかなか凝っていて面白いのだが~~~~~
前回もそうであったが、『翁』をね~~~


夜に?

ホールで?

特別照明で?

スモークをかけて~~??

見ると~~~~~?

ショーみたいじゃない?

ショー感覚でショー。

昨日の『翁』ご覧になられた方は
「おきなショーを見たよ!とても、おもしろかったよ!」
と、仰ると、いいんじゃないかな~~~。

これはアキ君の感想です。

萬斎くんの千歳は身体の動きの切れがシャープで綺麗で、
すがすがしくて~~、
若い力あふれる千歳。

友枝昭世師の翁太夫は貫禄充分の色の白い尉で申し分なし。

野村万作氏の三番叟、これは、さすが!!
特に鈴の段はいかにも色の黒い尉殿の舞いで、
ここまでくると完璧でしょう。

そして囃子方も全員、最高の技量持ち揃い!


でも~~~~、
これだけの役者が揃っていて~~~~~

なんで~~
土の香りみたいなものを感じられなかったのかな~~

舞台環境が役者の力量を超えてしまうと
こうなるのかな~~~~?

と考えさせれた公演でした。

追加

決して、公演をけなしているのではありませんので~~
お間違いなきよう、念のため。

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4月16日 翁 弓八幡勤めます!
厳島神社能舞台、無料

但し、朝9時はじめ



5月14日
広島薪能  護国神社  6時はじめ

敦盛  シテ 大村 定
青野守 シテ 粟谷明生

今回チケットが売れないと~~~
薪能廃止になると言われました。

みなさま買って!チケット買って!



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7 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
拝見はしておりませんが空 (玉手)
2007-04-12 19:24:25
友枝昭世さんが翁についてどうお考えかは存じませんが~
野村萬斎さんは、ご自分の家の三番叟 について、
 大切なのは舞踏として美しいか美しくないか。
 もちろん神事、儀式としては則っていますが、
 泥の匂いを感じさせなくてもししのではないか。
と著書の中で仰ってますね~
万作さんの三番叟や萬斎さんの千歳に
土の匂いがしないのは、むしろ当然なのかもしれませんよ~
もっとも泥と土ではビミョーに語感が違うかもしれませんが。

フェスティバルホールにも3本の橋掛が出現したのですか!
3本の橋掛を持つ能舞台は、
萬斎さんを芸術監督に戴く世田谷パブリックシアターの
専売特許かと思っておりましたが・・・
そういえば、明生さんのお膝元!!でもある
このパブリックシアターで、5月に能楽現在形の公演があり、
舞囃子・猩々乱と能・鉄輪が、宝生・喜多・観世で競演されますね~
明生さんは狩野了一さんシテの鉄輪の地頭をお勤めですね。
こちらも楽しみにしております!!!
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誤字訂正 (玉手)
2007-04-12 19:32:54
誤 泥の匂いを感じさせなくてもししのではないか。
正 泥の匂いを感じさせなくてもいいのではないか。
タイトルにも「空」はいりませんね。
大変失礼致しました。
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翁見ましたよ! (ターコイズ)
2007-04-13 00:22:41
翁はやはりスモーク焚かれたホールではなく
能楽堂で見るものだと思いました!

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宗教観 (卯月)
2007-04-13 08:10:08
 神事は農耕文化から発生した儀式・・また昔は人々の生活に神道も仏教も深く根付いていました。その前提があって人々が能や狂言(申楽)を見ていた。
 能・狂言の中の宗教観はぜひとも残していただきたいものですが、見る側の宗教観がなくなりつつある今の日本・・そのあたり、難しそうですね。
 神道や仏教の信仰・・とまで言わずとも理解、がないと、翁だけではなく、本当には理解できないだろう曲がたくさんありますものね。
 文化全体が変わってしまう中、これから「お能ショー」「狂言ショー」のような物が、増えて行くのでしょうか・・
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神聖ニシテ侵スヘカラス? (玉手)
2007-04-13 21:12:46
少~し昔の話ですが・・・
1370年代、はじめて義満が猿楽を見に来て、
将軍様の御成りだから!と、
それまで宿老次第に舞っていた翁を、
大夫の清次(観阿弥)が舞い、
それが大和猿楽の恒例となった時、
神の芸能から人の芸能への変質が起こった、
と言われてますね~

さて、現在はどうでしょう?
舞台や見所に向かって切火が切られた後でも
お出入り自由の現在の能楽堂やホールで、
翁の神事性を言われても、
何だかとても空しい気がするのですが・・・
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宗教観(2) (卯月)
2007-04-13 22:23:56
 相撲の世界で女性が土俵に上がることについて議論が起きたことを思い出してしまいました。
 世の中が変わっていく中で、何を残して何を捨てて行くのがよいのか・・伝統継承に関わる世界では本当に難しい問題なのでしょうね。

 もしかしたら「翁」は、屋外の舞台が一番適しているのでしょうか?その昔、観阿弥さんは、どんな心境で舞ったのでしょう・・?
返信する
屋外の翁へどうぞ (粟谷明生)
2007-04-13 23:39:27
来週月曜日に翁と弓八幡を勤めますが、
厳島神社の御神能は汐の満ち引きや、
屋外の空気、たまに~~ですが
騒がしい観光客の一行や、気に入らない12時の
サイレン。

いろいろありますが~~、
まあ~~役者は風に吹かれて舞台を勤める
この心地よさは演者だけにしか判らない
味わいだと思います。

世阿弥は花から風へと、考えを変えたと思いますね。

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