能楽・喜多流能楽師 粟谷明生 AWAYA AKIO のブログ

能楽師・粟谷明生の自由気儘な日記です。
能の世界も個人の生活もご紹介しています!

1月自主公演の能『玉井』をご覧になる方へ

2015-12-18 08:40:47 | 能はこうなの、と明生風に能の紹介

海底に着いた尊は、桂の木陰で佇んでいると、水を汲もうと井戸に近づく豊玉姫に見つかってしまいます。尊が名を尋ねると
「あら恥ずかしや私が姿の、見えける事も我ながら、忘るる程の御気色、容も殊に雅びやかなり、ただ人ならず見奉る、御名を名のりおはしませ」と、尊のイケメン容姿に完全メロメロの一目惚れの豊玉姫です。

釣り針を探しに来たことを明かし、
「ここはどこ?」と尋ねる尊に、豊玉姫は
「釣り針は探してあげますから、さあさあ、龍宮に入りましょう~」と招き入れます。

この場面、どうも夜の繁華街での、一見綺麗そうなおねえさんの、あのあやしい勧誘シーンを想像してしまうのですが・・・。

さて、龍宮に入ると父母にも歓迎され、尊は晴れて豊玉姫と結ばれます。目出度し、目出度し、となれば自然と。
「天より降る御神の外祖となりて豊姫も、ただならぬ姿、有明の・・・」とご懐妊となります。

見惚れた当初は、「いかに申し上げ候」と丁寧な言葉遣いの豊玉姫も母となると豹変します。
「御心安く思し召され候へ」ではなく「御心安く思し召せ!」と、と途端に強い口調に様変わり。
このようなところ、現代にも通じてますね。

能は決して古くさいものではありません、
「女は弱し、されど母は強し」は昔、今は「女は強し、されど母はもっと強し」

あ! なにか怖い気配を感じてきたので筆を置きます。
つづきは、少し時間をおいてからです。

文責 粟谷明生

最新の画像もっと見る