ケイの読書日記

個人が書く書評

平安寿子「ぬるい男と浮いてる女」

2013-12-03 11:05:27 | Weblog
 見ているだけなら面白い、でも近くにいるとちょっと困る、そういったヘンな人たちの事を書いている中編らしいが…読んでみると、そうヘンでもない。

 金持ちのボンボンだが、いつも利用されて最後には自己破産しちゃった若い男。
 親戚でも友人でもない、ただの知り合いの葬式に参列して、しくしく泣く姿が美しい若い女。
 異性に対してガツガツしない、自分の部屋を居心地の良い空間にしようと一生懸命の草食男子。
 バレエ大好き、中年になってから習い始めた、独身の年金生活者。(ひょっとして筆者がモデル? 平さんもバレエ大好き、シーズンともなると渡欧して、バレエやオペラ三昧らしい)
  
 そうそう、最後の第6話「えれくとり子」は、ちょっと変わってたなぁ。電気製品を狂わせる体質を持つ、不思議ちゃん女性。彼女の周囲のテレビやファックス、パソコン、ケータイがどんどん壊れるのだ。
 でも、変わってるのは、それだけじゃなくて、この背の高い40過ぎの女性本人。
 磁石のように、周りの男を惹きつけるのだ。だから、彼女の事を醒めた目で見ている女の子もいる。

 女の子いわく「神様は不公平なうえ、ずぼらだわ。一人の人に才能や魅力を山ほどくっつけると、それで疲れちゃって、他のもっとたくさんの連中には、生命力をくれるだけ」
「太陽系のはしっこの惑星は、太陽の恩恵を受けてないのに、軌道には縛られる、そんな感じ」「多すぎる才能や魅力は、生命力を食うんだわ」
 
 なかなか哲学的でしょう?

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