ケイの読書日記

個人が書く書評

森博嗣「魔剣天翔」

2006-04-30 14:04:44 | Weblog
大好きな本・読んだ本


 航空ショーでアクロバット演技中のパイロットが撃たれ死んだ。航空機は2人乗り。パイロットが座っていたのは後部座席。しかし撃たれたのは背中から。
 いったいどうやって?

 この解決不可能なような謎を、瀬在丸紅子さんがすらすらと解いていきます。(紅子さんは凄すぎる。中世ヨーロッパに生まれていたら、魔女として確実に火あぶりの刑ですね)


 どう考えても、発射装置を飛行機に仕掛けて殺人を実行するしか方法がないのでは?!と思いましたが、そんな大げさなことをやらなくても、人間の思い込みや錯覚を利用すれば、可能なんですね。
 派手ではないですが、スッキリした良いトリックだと思います。


 また、ダイイングメッセージにしても、現実には死に瀕している人間がこんなことをするのは無理でしょうけど、なるほどと思わせます。そうか、そうだよなぁ。英語で書けば……。


 最近、森博嗣とカーばかり読んでいる。2人とも作品数が多いから、この傾向はこれからも続く…?
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ディクスン・カー「帽子収集狂事件」

2006-04-25 14:40:17 | Weblog
大好きな本・読んだ本


 ロンドン塔の石段で一人の男が死体となって発見された。しかしゴルフ服着用の死人の頭の上には、およそ服装とはまったくチグハグなシルクハットが載っていた?!


 ディクスン・カーにしては珍しく、密室物ではなく、またオカルティックな伝説もでてこない。怪奇趣味や惨殺死体が好きな人には、ちょっと物足りないかも…。
 でも、(訳のせいかもしれないが)前回読んだ「プレーグコートの殺人」より出来がいいと思う。


 オカルティズムが少ないといっても、霧深いロンドン塔、ロンドン塔内で処刑された多くの貴族王族たち、「モルグ街の殺人」以前に書かれたというポオの未発表作品などなど、雰囲気は十分です。

 それにしても、すれちがう人の顔さえ識別できないというロンドンの深い霧ってどんなんでしょう?ロンドン市内でも遭難しそう。
 ロンドンというのは、ミステリー気分を味わうには良い所かもしれないが、湿気が多くて住みにくそうな街ですね。


 犯人は比較的わかりやすい。というか、消去法で消していくと、この人ぐらいしか残らない。ただ、最後のフィル博士たちが取った決定には、私は反対です。(ホームズやポアロもたまにやりますが)
 法は守られなければならないと思います。
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TBできない!!

2006-04-21 11:27:08 | Weblog
 TBできません。どうして?いままでどおりやってるのに。この練習版で試させて。
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森博嗣「夢・出逢い・魔性」

2006-04-20 09:50:46 | Weblog
大好きな本・読んだ本


 森博嗣のミステリを読むのも3作目になると、この保呂草、小鳥遊、紫子、紅子の4人組に、すごく親近感を感じます。

 特にこの作品は、林警部と紅子と七夏のドロドロの三角関係が出てこず、とてもさわやかにサクサク読めます。(もちろん林警部に作中であえないのはとても残念ですが)

 紫子と小鳥遊のかけあい漫才がホントに面白い。イキイキしている。彼らのおしゃべりさえあれば、殺人事件が出てこなくても、最後まで楽しく読めそう。


 肝心のトリックですが、いつもの森作品にでてくる大掛かりなものはなく、加害者の意図と被害者の思惑と偶然が重なれば、こういった密室は出来るかもしれないと妙に納得しました。もちろん細かい所で、辻褄があわない箇所は多いですが。


 それにしても、小鳥遊君は前から見ても美少女なんですね。失礼ですがちょっとビックリ。
 小柄で華奢でロングヘアで声が高く、フリルのお洋服が大好き。後ろから見ると
一見美少女中学生。でも前から見ると、ひげのそりあとが青々、という人かしら、と勝手に思い込んでいたけど、芸能界にスカウトされるかもしれない美貌だとは。
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江國香織「泣く大人」

2006-04-15 12:05:52 | Weblog
大好きな本・読んだ本


 江國香織さんの作品には、すごく反発するのですが、反面、抗しがたい魅力も感じます。小説よりエッセイの方がうんといい。

 贅沢というか、繊細というか、優雅というか…。

 育ちがいいんでしょう。江國滋という高名な文芸評論家の娘に生まれ、大金持ちという訳ではないのでしょうが、文化的にたいへん豊かだっただろう、ということは想像できます。
 
 彼女のエッセイに出てくる妹さんやお母様(そして彼女自身も)本当に浮世離れしていますものね。


 
 このエッセイの中に「3つの願い」という章があります。
 彼女の願いの1つ目は「ずっと仕事をしていけること」、2つ目は「最後には愛する男の腕の中で死ぬこと」、3つ目はまだ未定らしい。

 しかし、もうじき40歳になろうとする女性の願いが「最後には愛する男の腕の中で死ぬ」というのは、素晴らしい!というか、すざまじい。

 さすが、江國香織です。だから売れる恋愛小説が書けるんだ。
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