ケイの読書日記

個人が書く書評

水戸計 「江戸の大誤解」

2016-04-04 09:20:12 | Weblog
 表紙のカバー写真が「殿様の登城」写真。へぇぇぇと興味を惹かれ借りてみた。幕末なのだろう、駕籠に乗ろうとする殿様、刀を差しだす家臣、あと6人はお侍らしくない。このうち2人が駕籠かき屋さんだろう。あとは下男なのかな?ずいぶんこじんまりしているから小大名だね。どこの藩主だろう。
 本の内容は、アカデミックなものではなく、雑学的な知識ばかりなので、すごーーーく読みやすかった。

 水戸黄門、大岡越前、遠山の金さん、鬼平など、TV番組のヒーローたちのエピソードはほとんど嘘。剣豪・宮本武蔵は剣の達人というより、すぐれた芸術家だった…etc(実際、いくつかの宮本武蔵の画は、国の重要文化財に指定されているらしい)

 江戸は、世界的に見ても、当時、ロンドンと並ぶ大都会で、庶民はさほど悲惨な生活を強いられていた訳ではなく、娯楽も多かったそうだ。(春は花見、夏は花火や祭りで大賑わい)
 江戸のファッションリーダーは、吉原の売れっ子遊女。遊女たちの髪形や化粧法、着物の柄や着付け方を、町の女性たちがこぞってマネしようとしたとか。
 また、高度な循環型社会で、エコの面から考えると、現代よりもうんと進んで先進的ともいえる。
 確かに、輸入に頼れないから、資源をリサイクルさせるしかないよね。古紙回収は現代でもやっているが、火鉢などから出た灰も業者が集めて、農家に売っていた。(灰は水に溶かすとアルカリ性になり、酸性土を中和した) 鉄くずやろうそくの燃えカスも集め、再生するシステムが出来上がっていたようだ。

 そうそう、特筆すべきは人糞!! この人糞が農作物の肥料になることは古くから知られていて、近隣の農家で争奪戦が勃発。長屋では共同便所を屋外に作っていて、その糞尿の権利は大家さんが持ち、近くの農家に年間三両(約30万円)ほどで売っていたとか。すごい高値! びっくり! しかもこの糞尿にはランクがあり、大名屋敷のはAランク、吉原のはBランク、牢屋のは最低ランクだったらしい。まぁ、糞尿を出す人の食生活から考えても、納得できる。

 お金になるものを、毎日身体から排出していたことを考えると、江戸時代の人は、リッチな気分になれたかもしれないね。

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