ケイの読書日記

個人が書く書評

クリスティ作「ナイルに死す」を読んで

2005-03-28 17:04:26 | Weblog
 読み応えのある力作。作者自身も前書きの中で「この作品には多くの人物を登場させ、筋も非常に念入りに作りました。この作品の中心になるトリックは興味深いものだろうと私は考えています。」と述べている。私は小説の「ナイルに死す」は今回が初めて読むが、映画「ナイルに死す」はテレビで放映したとき、後半部分をチラッと見たことがあり、それでトリックはわかったつもりでいたのだ。しかし、そのときのトリックとは違っていた。では、あの腹話術をつかったトリックは、いったいどの小説のものだろうか。それとも小説を映画化する時トリックも変えたのだろうか。この謎をとくためにビデオ「ナイルに死す」を借りてこなければ。

 ナイル河を進んで行く船の中には横領犯が、テロリストが、宝石泥棒が、万引き常習者が、アルコール中毒者がいる。そしてもちろん殺人犯がいます。ナイル河観光は当時(1930年代)でも大変お金がいるのでこの船の中にはセレブしかいないはずですが、くせのある登場人物がどっさり出てきます。その中で一番クセのあるのがポアロでしょう。
 彼はベルギー難民としてイギリスに流れて来たわけですが、もちまえの才能を発揮し成功、かなりお金を貯めこみました。そして優雅な生活を楽しんでいるのです。特に食事にはうるさい。朝は自宅で食べるようですが、昼食そしてディナーはしゃれたレストランを見つけておいて、そこで食事するのを楽しみにしているらしい。先日読んだ「マギンティ夫人は死んだ」の始めのほうにも「一日に3度しか食べられないなんて」と、しきりに残念がる場面がでてくる。根っからの食いしん坊らしい。クリスティの小説に出てくる料理のレシピといった本は出版されていないんだろうか。(メグレ警部の料理本というのはあるらしい)
 ポアロの私生活にも興味がある。とてもぜいたくなフラットに住んでいるらしいが、その間取りは?賃貸か分譲か?執事のジョージのお給料はいくら?高いだろうな。ポアロは彼を気に入ってるから。彼は通いなの?住み込みなの?年齢は?テレビドラマシリーズにはポアロの秘書としてミスレモンが登場するが、小説の中で秘書って出てくるっけ。こうゆう事を想像するのが楽しい。

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クリスティ作「マギンティ夫人は死んだ」を読んで

2005-03-15 16:59:05 | Weblog
 ハッキリわからないなんて恥ずかしい話だが、この本以前に読んだことあるかもしれない。まだ読んでないと思って買った。最初のほうのポワロとスペンス警視の会話もユーモアに富んでいてとてもおもしろく快調に読み進んでいった。2/3ぐらい読んで、推理作家のオリバー夫人が劇作家のロビンと芝居を観に行き小さな楽屋で大勢の役者たちにちやほやされる場面にぶつかってハタとひらめいた。ここ読んだことがある!ということは私このミステリよんだことある?でも、その場面以外まったく覚えていない。こんなに私って忘れやすいタチだった?しかしかえって都合がいいかも。何度も同じミステリでハラハラドキドキできるから。
 いつものことだが、また難癖をつけよう。アップワード夫人殺人事件は犯人が色々策をめぐらし女性を犯人だと思わせようとしたのはわかるが、なんといっても最後にアップワード夫人を見たロビンが一番疑われるのが普通じゃないのか。なぜちゃんと調べないんだろう。なんといっても彼には遺産という古典的で単純でとても強い動機があるのだ。
 この小説のなかにもたいしたトリックは使われていない。でもクリスティの世界にはトリック以上に素晴らしいものがあるのだ。彼女が生きた時代のイギリスの中産階級の暮らしぶりを垣間見ることが出来る。例えばこの「マギンティ夫人は死んだ」は1952年の作品。第二次世界大戦中の大変だった話が会話のあちこちにでてくる。女性の社会進出が進んでメイドになりてがいない。だが中産階級の女性は家事はすべて使用人まかせだったので、自分でなにもできない人が多い。なんとかメイドをおこうとする。昔からいる気心のしれたメイドだったらともかく、そりがあわないメイドとは大もめにもめる。「あの階級の人はおしゃべりだ」とか「部屋の中をかぎまわっている」とか悪口の言い放題。人間だれしも好奇心はあるもの。家の中の秘密を知られたくないならメイドをおかなければいいのに。
 シャーロック・ホームズの小説にも、メイドが主人の秘密の手紙を悪党に売るという設定がよくある。信用のおけない他人を家の中にいれるぐらいなら、自分で家事や雑事をやった方がましのような気がする。それか不便をがまんするか。 
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「死との約束」を読んで 完結編

2005-03-12 15:00:55 | Weblog
 色々なトラブルはあったが、やっとブログを書く方法がわかった。これからどんどん書いていきたい。
 この「死との約束」というのは以前テレビで放映していた「死海殺人事件」のことだと最初の10ページほど読んだら見当がついた。しかし私は最初のほうを見ただけで何かの用事のために見ることができなかった。それに小説の方は読んでいないはず。しかし1/4ほど読んでほとんどすべての登場人物がでそろったら、もうわかってしまったのである。誰が殺され、誰が殺し、その動機も。これは、私が以前このミステリを読んだことがあるが、すっかり忘れてしまっているだけなんだろうか。
 それにしては、他の部分はさっぱり記憶に無い。日本人にとってエキゾチックな中東が舞台だし、あんな横暴なバアさんが出できたなら、覚えているはずだけど。話している相手の肩越しに誰かを見て思い出す、という設定は「カリブ海の殺人」と同じだ。
 このミステリは、ちゃんとしたトリックがあるわけでなく心理を推理することで成立しているから完成度が低いように私には思われる。それでも楽しく読めた。
 キリスト教、イスラム教、ユダヤ教の聖地を、めぐる旅の途中の事件だから、宗教的な知識があれば興味深く読めただろうが、知識が無くてもそれなりにおもしろい。
 例えばアラブ人の通訳マーモード(彼はアラブ人ではあるがミッション系の学校に言ったらしい。だから通訳してるんだ)はイスラム教徒だがユダヤ教徒が昔からどんなに悪いことをしたかキリスト教徒である旅行者たちにのべつまくなししゃべりまくっている。パレスチナ紛争の前はユダヤ教徒とイスラム教徒は平和的に暮らしていた、と新聞に書いてあったから、少し以外だった。そりゃ宗教が違えばこぜりあいが起こる方が自然だ。
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アガサ・クリスティ作 「死との約束」を読んで

2005-03-07 09:33:03 | Weblog
実は、これはアビバのインターネット講座の練習の一環で試しにやってみたのです。実際に出来るなんてうれしいな。クリスティの「死との約束」は、今読んでいるところで読み終えたら感想を書きます。今までも読み終えたらノートに書きとめてはいたんですよ。では、まずはお知らせまで。
コメント (1)
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