ケイの読書日記

個人が書く書評

香山リカ「生きてるだけで いいんです」

2014-01-28 11:10:17 | Weblog
 表紙のイラストが、香山リカさんにそっくりなので、おもわず笑ってしまった。うまく特徴つかんでます。

 香山リカさんがTVに登場したのは…彼女が20代半ばの頃かな? 若くてきれいで頭が良くて(現役の精神科医)生きてるのが楽しいだろうな、ああ、こんな、すべてに恵まれている人もいるんだ…いいなぁ、という印象だった。

 今でもコメンテーターとしてTVで発言したり、新聞に意見を載せたりしているが、正直、年をとったなぁ(失礼!)とは感じる。芸能人ではないので、不自然な若づくりをしないからだろう。

 そんな彼女の診療日誌エッセイ。いつもの事だけど、本当に生産性が低い。読んでも読まなくても、変わらない。図書館で借りて読むならいいけど、1260円を払って買って読むと、無駄遣いしたと、かえって気分が落ち込むようなエッセイ。
 でも、そこが良いという人も多いんだろう。ハイペースに執筆活動を続けている。


 巻末には、哲学者の土屋賢二との対談が載っている。土屋がとてもいい事を言っているので、ちょっとメモする。

「小学校の頃から、何のとりえもない子…勉強もスポーツもできない、面白い事も言えないとか、そういう子って、なんとか生きて行こうと思って、自分なりに自分の居場所を考えるんですよね。小学校の頃からそうしていると、社会に出ても、わりと打たれ強いんじゃないかな」

 そう、『打たれ強い』これ、すごく大事だと思う。親は子どもに、躓いてほしくなくて、順調に進んでほしくて、一生懸命に子どもの前の石ころを取り除く。でも、それって本当に子どものためになっているのかな? 逆効果じゃない?  自戒をこめて。

 
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東野圭吾「毒笑小説」

2014-01-23 11:01:12 | Weblog
 毒笑というには、少々毒が足りない気がするなぁ。ホロッとするような良い話『つぐない』もあったし。

 面白かったのは『ホームアローンじいさん』。息子夫婦と孫と同居する元教員の爺さんが、他の家族が外出する時に、大学生の孫の隠し持っているアダルトビデオを、こっそり見ようと試みる。
 しかし、家電に疎い爺さんは、なかなかうまく見ることが出来ず悪戦苦闘。
 そういう時に、家族が外出するのを見た泥棒が、留守だと勘違いして空き巣に入り…。
 笑えるなぁ。空き巣はともかく、一人になった高齢者が、こっそりエッチビデオを見ようと奮闘するのは、よくある話だろう。

 一番印象深かったのは『手作りマダム』
 家電メーカーの社宅のようなニュータウンで、上司の奥さんが部下の奥さんたちを集めて、月に一度ホームパーティを開く。
 行きたくはないのだが、ダンナの印象を少しでも良くしようと、皆、参加するのだ。
 上司妻は、手作りが大好きで、クッキー、ケーキ、パスタ、キムチ、ランチョンマットなどを振る舞ってくれるのだが、最低の出来で、捨てる事になる。しかも、捨てるのがバレないよう、細心の注意を払わなければならないのだ。
 そんな時、また集まりがあって…。

 東野圭吾は28歳まで、トヨタ系列のデンソーに勤務していたから、こういった社宅族の奥様方の悲喜劇を、耳にしたことも多かったろう。

 豊田市のキリスト教会の牧師さんと、少し話をしたことがあったが、信者さんたちの教会内の序列って、会社での序列そのままなんだってね。下手に牧師がその序列に介入すると、大変な事になる、とおっしゃってました。
 自営業者には、想像はできても、なかなか理解できません。
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酒井順子「泡沫日記」

2014-01-18 10:44:03 | Weblog
 泡沫というのは、アワの事だから、アワのように大したこと書いてない自分の日記…という謙遜の意味があるのかと勝手に思っていたが、どうもそうではないらしい。
 1966年生まれの酒井さんの「人生後半の初体験」に満ちた日々。その、忍び寄ってくる老いに対して初体験、という事なんだろう。初体験というのは、手に入れたとたん、パチンと消えてしまうアワのようなものだからの、ネーミングらしい。

 そういえば、岸本葉子さんの「50になるって、あんがいふつう」というエッセイ集も読んだっけ。そうだよ。普通じゃなくてなんなのさ。国家試験がある訳じゃない、皆、平等にトシをとっていきます。
 でも、さすがに40代になると…ああ、人生の折り返し地点は過ぎたな。今、人生の後半なんだと思うようになる。


 このエッセイの初出は、集英社WEB文芸(2011年2月~2013年2月)なので、酒井さんの個人的な事だけでなく、東日本大震災の時の、東京の日常も書かれている。
 
 コンビニやスーパーの棚に、なにも無くなった事。
 皆が必死に節電したこと。
 外国人がほとんど帰国したこと。などなど。

 そう、もうすぐ、あの日がやってくる。3月11日が。
 本当に何もできなくて申し訳ないけど、あの時以降、海苔は陸前高田、しょうゆ・白だしは岩手から取り寄せています。こんな事しかできなくてごめんね。


 そうそう、酒井さんの家の近くに、コメダ珈琲店が開店したと書いてあった。名古屋本社の喫茶店チェーン。別にコメダでバイトした訳でも、コメダの株を持っている訳でもないが、ちょっと嬉しい。
 酒井さんは「結構、名古屋の味が好き」だそうだ。すごーーーーく、嬉しい。でも、一般的に名古屋メシは味が濃いから、血圧に気を付けて食べてね。
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角田光代「まひるの散歩」

2014-01-13 10:43:04 | 角田光代
 ご飯の事ばっかり書いているエッセイ集。それもそのはず、これは雑誌『オレンジページ』に連載しているエッセイをまとめた物なのだ。『オレンジページ』って、ほら、歯医者さんや銀行の待合室に置かれている、あの、料理の特集ばかりやっている主婦向け雑誌。

 角田光代さんは26歳の時から料理を始め、40半ばになる今でも、せっせと作っているらしい。その上、友人を招いて、ホームパーティもするらしい。
 
 えらいなぁ。売れっ子作家で忙しいのに。確かに気分転換にはなるだろうけど、人を家に招くって(それも大勢)本当に大変。
 当方も今年、、親戚の新年会で、総勢18人我が家に集まったけど、本当に大変でした。(まぁ、そういった外圧でもなければ、大掃除しないので、その点は良かったかもしれない)


 角田さんの家族は、ミュージシャンの夫と、トト(猫)。このトトが本当にかわいい美少女ネコ。本当は、美おばさんネコかもしれないが、雰囲気が幼い感じで、可憐。そのトトちゃんの写真が、この本の中に一杯ちりばめられていて、一見の価値あり。
 角田さんとのツーショット写真も多数。夫は全く出てこない。

 角田さんって、TVの通販生活のCMに出ていらしたので、お顔は存じ上げてはいたが、こうやって写真で拝見すると、本当にかわいいね。小柄で童顔でおめめがぱっちりしている。

 ちなみに、ここに載せている猫は、我が家のメタボ猫『みぃ太郎』で、トトちゃんではありません。
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高田崇史「白蛇の洗礼」

2014-01-08 10:39:30 | Weblog
 いままで、毒草師シリーズは第1作と第3作を読んだが、この第2作「白蛇の洗礼」が一番面白い。

 相変わらず、メインストーリーよりもうんちく話の方が分量が多いが、そのうんちくが今回すごく私好みなのだ。

 ねぇ皆さん。「千利休はキリシタン」説って知ってた? これって有名な噂なの? 私は初めて読んだから、椅子からずり落ちそうなほど驚いた。でも、この時代、有名大名がキリシタンだったり、千利休の弟子がキリシタンだった事は事実なので、不思議はない。
 でも…禅に強く影響を受けていたと思っていたので、違和感がある。まぁ、あくまでも根拠の薄い噂だけど。
 じゃ、わび・さびって、どうなのよ。


 中学生の時、社会科の時間に「源義経がジンギス・ハン」説がある、と聞いた以上の衝撃です。源義経は死んでいなかった、大陸に渡って、ジンギス・ハンになった、というアレです。
 もう、バカ言ってんじゃないよ! モンゴルの人が聞いたら怒るよ。


 そうそう、1986年に実際に起きた有名な「トリカブト保険金殺人事件」の話がチラッと出てきた。

 男が売れないホステスと結婚。多額の保険金をかけて、旅行先で、その新婚妻をトリカブトで毒殺。保険金を手に入れようとする。当然、警察に疑われるが、夫には完璧なアリバイがあった。
 トリカブトは猛毒なので、飲ませたら、すぐ苦しみ死に至るはずなのに、夫は何時間も前に妻と別れて帰宅しようとしていたのだ。
 ここで、ふぐ毒が出てくる。ふぐ毒とトリカブトを一緒に飲ませると、その毒どおしが拮抗して、毒が現れるのが遅くなるらしい。

 この夫は、薬学の専門家ではないものの、妻に隠して借りたアパートで、せっせと毒を抽出していたようだ。ものすごい集中力!  ちなみに、この夫の1番目の妻と、2番目の妻も、突然死しているらしい。
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