ケイの読書日記

個人が書く書評

東野圭吾「レイクサイド」

2012-10-27 10:48:19 | Weblog
 私立中学受験を控える子どもたちの勉強合宿のため、4組の家族が湖畔の別荘に集まった。そこで起こった殺人事件。
 
 アートディレクターの夫の愛人が殺され、彼の妻が犯行を告白する。
 子どもの中学受験が不利にならないように、4組の夫婦は全員、この殺人が無かったことにしようと隠ぺいを図る。
 そして、夫は、他の父親たちと一緒に、身元が分からないように愛人の顔をつぶし、重りをつけて遺体を湖の底に沈める。

 さすが、東野圭吾。本当に面白くて最後まで一気に読ませる。しかし…面白く読んでいる最中も、どうもしっくりこない部分が…。

 いくら、子どもの中学受験に必死になっているとはいえ、殺人を隠ぺいするなんて恐ろしい事するだろうか?動機が弱い。 やっぱり、そこには大きな秘密が隠されていた。
 
 そして、もっと大きな違和感。
 再婚したアートディレクター、可愛がってはいるが、子どもは妻の連れ子、愛人がいて妻とはすっかり心が離れてしまっている。そんな状態なのに、妻の犯行を隠そうと死体遺棄などに手を染めるだろうか?
 いくら妻から「あなた(夫)のせいで、愛人と口論になりカッとして」となじられたとしても。世間体は悪いが、これで離婚できるよね。

 そして最後、大きな大きな秘密が明らかになり、4組の夫婦はますます殺人隠蔽の決意を固くする。はたして、こんな結論を出すと、第2、第3の殺人が起こると思うよ。その方が怖い。
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ケイの心の俳句

2012-10-25 15:19:07 | Weblog
みぃ太郎 猫でもいびき かくんだね
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ドストエフスキー「カラマーゾフの兄弟」㊤巻

2012-10-22 10:07:35 | Weblog
 『カラマゾフの妹』というミステリが話題になってると聞いたので、それを読もうと思ったが…そうだ!私『カラマゾフの兄弟』未読なんだという事に気が付いた。
 35年ほど前、読もうとしたが、かなりの長編なので、止めたのだ。

 そうだ!この機会に読もう!  今読まないと、一生読めないだろうと、新潮文庫で㊤㊥㊦の3巻出ているので、私としては珍しく購入。

 退屈な話だろうな、という予想に反して、これがすごく面白いんです。驚いた。

 物欲の塊のような好色爺の父親・フヨードル。
 好色さは父親譲りだが、消費するだけで、全く稼げないロクデナシの長男・ドミートリイ。
 冷徹な知性人の二男・イワン。
 敬虔な修道僧で物語の主人公である三男・アリョーシャ。
 そして、フヨードルの私生児と噂される、コックのスメルジャコフ。

 この父親と放蕩息子の長男が、同じ22歳の娼婦に入れあげ、長男は女が欲しくて、父親に殴る蹴るの暴行を加える。(㊤巻ではまだ殺してはいない)
 この長男には、美人で金持ちの婚約者がいるのだが、何とか別れようと、彼女を弟のイワンに譲ろうとしている。イワンもまんざらではないようだ。しかし、侮辱された婚約者は、イワンに冷酷な態度を取る。
 それを見て、三男のアリョーシャは心を痛める。
 長男は先妻の子、二男三男は後妻の子だが、どちらの妻も不幸な死に方をしている。

 もう、ドロドロぐちゃぐちゃの愛憎劇。主婦向けのお昼のメロドラマみたい。
 どう転んでも、父親も長男も、破滅に向かってまっしぐら…ですね。

 ㊥巻が楽しみです。 
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東野圭吾「ある閉ざされた雪の山荘で」

2012-10-16 13:26:24 | Weblog
 早春の乗鞍高原のペンションに集められたのは、オーディションに合格した男女7名。

 作品は、豪雪にみまわれ孤立した山荘での殺人劇…という話だった。
 これから舞台稽古が始まる。しかし「電話を利用したり、外の人間と接触した時点で、オーディションの合格を取り消す」という指示が書かれた速達が届いたきりで、演出家は来ない。
 7人の役者は、一緒の軟禁状態に置かれたこの状況に戸惑いながらも、なんとかこれを役作りに生かそうとする。

 だが、1人、また1人と現実に仲間が消えていくにつれ、彼らの間に疑惑が生まれた。はたして、これは本当に芝居の稽古なのか?


 さすが、東野圭吾だから、面白いが小粒な印象。本当の所、雪に閉ざされた山荘でもないし、人が消えていくだけで、血みどろの死体が転がっている訳でもない。
 だいたい、この動機からして、全くの逆恨みだよね。

 死体があるよりも、人が消えていく方が怖い!という人もいるだろうが、そういったゾクゾクするような、思わず背後を振り返りたくなるような恐怖感は無いなぁ。
 
 そうそう、ミステリといえば… 今まで、図書館の東野圭吾の棚は、本が2~3冊ある程度で、さみしいものだった。ほとんどが貸し出されていたのだろう。それが、先日見かけたら15冊くらいあった。その中の1冊がこれ!  不思議だなぁ。東野圭吾ブームは去ったの? そんな事ないよね。それが一番のミステリー。
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中島たい子「ぐるぐる七福神」

2012-10-11 10:47:42 | Weblog
 主人公は32歳の派遣OL・のぞみ。おばあちゃんが腰を痛め入院したので、その快方を祈って、のぞみは七福神巡りを始める。
 
 谷中七福神
 武蔵野吉祥七福神
 日本橋七福神
 港七福神
 亀戸七福神
 浅草名所七福神

 いっぱいあるんだ。私、東京に住んだことないから、イマイチ地理がよく分からないけど。(ちなみに地図が載っている)

 最初は、おばあちゃんのためだったが、そのうち、5年前に別れてから音沙汰なし、インドにボランティアに行って行方不明になった元カレの事を、参拝の最中、考えることが多くなる。

 この元カレが、恋愛だけでなく、すべてにおいて草食系といった人で、一生自分探しの旅に出掛けそうな人。マザー・テレサの所でボランティアやるより、東北の被災地でやれば?と言いたい。

 いや、元カレだけじゃなく、この小説に出てくる登場人物が皆、あまりに善人で浮世離れしていて、ひょっとしたら全員七福神の生まれかわりなんてオチじゃないかと思ったほど! もちろん、そうじゃないけど。
 何しろ、派遣先でのイジメも派遣切りも一切なし。逆に、派遣から正社員にならないかと、会社側からオファーが来る。お局もおらず、同僚は、断っても断ってもランチに誘ってくる。一緒に七福神巡りをする上司は、椅子を並べ、常に寝そべっていて仕事をしている所を見たことがない。
 そもそも、勤務先がどういった業種なのか、一切記述がない。

 なんと書いたらいいか…、ゆるゆるのプチロード小説。
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