ケイの読書日記

個人が書く書評

絲山秋子「絲的サバイバル」

2013-01-29 11:24:44 | Weblog
 先回読んだ「絲的メイソウ」が、とても面白かったので、第2弾のエッセイ集を読む。
 テーマはキャンプ。(というか…野宿!?)

 芥川賞作家・絲山秋子は、意外なことにキャンプが好きなんですね。驚きました。
 しかも前半は、1月1回1人キャンプ。編集者も来ない。本当に1人なんです。
 信じられないなぁ。何かあったら、一体どう責任取るつもりなんだろう。講談社は。
 さすがに怖い経験もしたらしく、途中から編集者か友人などが同行している。


 キャンプかぁ。私も子ども3人が小さいときによく行ったなぁ。なにせ安い!!! 家族5人でお宿に泊まると、安い宿と言っても結構な金額になる。
 それに、旅館の場合、部屋の調度品(掛け軸、花瓶など)を子どもが触って壊したりしないように、神経使うんだ。大変。
 それに比べれば、キャンプでは、バーベキューなど、ダンナや子どもが大喜びで調理するからね。


 ただ、キャンプ場でBBQやカレーをやると、後片付けが本当に大変。山の水は冷たくて、いくら洗剤を使っても絶対に油や脂は落ちない。やはり、お湯を使わなければ無理。だから家で食器を洗いなおさなくちゃならないのが二度手間。
 それに雨が降った時のキャンプは最悪。絲山先生は、しっとりと雨のキャンプを楽しんでいるみたいだけど、私など帰って来てからの、テントやタープ、シートを洗って干すことを考えると、即刻帰りたくなる。


 でもまぁ、キャンプの最大の楽しみと言えば、『焚き火』だな。燃える火を、いつまでも見つめていられる。ぼーっとして何時間でも。生理的な快感。放火魔の気持ちが分かるね。
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ケイの心の俳句

2013-01-28 11:22:32 | Weblog
みぃ太郎
いいな私も
猫になりたい


大幅に字余り
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貴志祐介「鍵のかかった部屋」

2013-01-24 14:21:07 | Weblog
 図書館で予約して、半年以上待ってやっと手元に。ああ、待ち遠しかった。

 「佇む男」「鍵のかかった部屋」「歪んだ箱」「密室劇場」期待を裏切らない面白さの4作品。

 しかし…これは、やはり私が先にTVドラマを見ていたせいかな、とも思う。

 自称・防犯コンサルタントの榎本(実体は…泥棒?)を名探偵役とするこのシリーズは、今時珍しいド本格の王道・密室殺人トリック物なので、映像を見ずに文章だけで謎を解こうとすると、難解。
 高度な文章読解力と想像力が必要なんじゃないかな?その両方を持たない私は、先に小説を読んでしまうとチンプンカンプンで、TVシリーズを見る気が失せたかもしれない。
 もっと図を入れて欲しい。

 だいたい、名作として名高い横溝正史の「本陣殺人事件」も、斬新なトリックだとは思うが、その屋敷や部屋、廊下、家具などを見てないので、そのトリックが可能かどうかわからない。

 まぁ、この4作品とも実現可能かと言われれば、なかなか難しいだろう。でも、筆者が密室トリックに真摯に向き合っているという熱意はひしひしと感じるね。

 欲を言えば、もう少し弁護士の純子と泥棒探偵?榎本の掛け合い漫才を読みたかったな。榎本の純子に対する淡い恋心が書かれていなたっかので、ちょっと残念。
 やはり、これは同じシリーズの「狐火の家」も読まなければ!!
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東川篤哉「謎解きはディナーのあとで③」

2013-01-19 13:49:16 | Weblog
 シリーズ第3作なので、飽きが来るだろうかとも思ったが、トリックの方は本当にクオリティが高い。

 特に第4話。被害者の小柄な老婦人が、幼児用の小さな椅子(よくファミレスで見かける。脚立に似た台座の上に小さな座面と小さな背もたれがついているアレ)に座らされている所を発見された。もちろん死体で。
 一体なぜ、犯人は死者をそんな奇妙な姿にしたのか?死者を辱めるため? そこには、そうせざるを得ない必然があって、それが事件を解くカギになっている。

 他には第6話。被害者を殴り殺した木刀には、被害者の指紋しか付いていなかった。なぜ?空き巣なら手袋をしていて当たり前だが、空き巣とは考えられない状況があって…。

 この小説も、エラリー・クインの「読者への挑戦状」ではないが、麗子刑事の語る事件部分と、影山執事の解決部分がハッキリ区別されている。
 麗子の話だけ読んでいると、こんな少ないデータで犯人が分かる訳ないだろ!とぶーたれるが、影山の謎解きは本当に見事で、そうだ!どうして私はそこに気が付かなかったんだろうと反省しきりです。

 他、麗子と影山の掛け合い漫才も、影山の毒舌も絶好調!

 ただ、こういったトリックをメインにする本格推理物では仕方ないかもしれないが、動機や犯人の心の葛藤がほとんど書かれていないのが残念。第5話の女子大生殺しなど、動機部分こそ読みたかったのに。
 まあ、そういう所は、社会派推理小説にお任せすればいいかな。
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村木嵐「マルガリータ」

2013-01-14 13:54:30 | Weblog
 戦国時代末、九州のキリシタン大名によって、ローマに派遣された天正遣欧少年使節の話は、社会科の授業で聞いたことがある。
 400年以上も昔、よくもまぁ、あんな遠い所まで行ったもんだと感心した。
 しかし、帰って来たら、キリスト教は禁止された世の中になっていた。気の毒に。

 その少年使節団の4人の中で、ただ1人、千々石ミゲルだけは信仰を捨てた。他の3人は、教義をさらに勉強し司祭になり、それぞれ布教活動をする中、病死したり、追放されたり、殉教したりしたのに。
 当然のことながら、彼は裏切り者として、他のキリシタンの憎悪を一身に受けることになる。

 その千々石ミゲルの苦悩の生涯を、妻の目から描いた作品。

 
 この小説の中では、千々石ミゲルは背教者となっても、心の中では信仰を捨てておらず、他の3人の少年使節団のメンバーと心の中で堅く信頼で結ばれている、という事になっているが…本当はどうなんだろうね。

 
 だいたい、織田信長がキリシタンを優遇したのは、彼は仏教の坊主が大嫌いで、その勢力を抑えようとしたためであり、キリシタンたちが持っている西洋の進んだ技術や文明を欲しかったからだ。
 九州のキリシタン大名だって、南蛮貿易による利益をたくさん得ようとすれば、キリシタンになるのが都合がよかったのだろう。

 キリスト教の教義に深く傾倒して…という人は少ないんじゃないか?

 だから、世の中の風向きが変わり、キリシタンであることが不利益になってくると、信仰を捨てるのが当たり前、と罰当たりな私など思います。

 だいたい、異国の神をそんなに拝みたいのかよ、あんたらは!!
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