ケイの読書日記

個人が書く書評

蛇蔵&海野凪子 「日本人の知らない日本語」 メディアファクトリー

2019-04-27 18:05:48 | その他
 これ、ちょっと前のベストセラーコミックエッセイで、読みたいと思ってた。図書館で見つけて読んでみる。凪子さんが日本語教師をやっていて、その時の面白話を蛇蔵さんがコミックエッセイに再構成。蛇蔵さんは女性です。
 ページをめくるごとに、日本語を再発見できる。私って、こんな事も知らなかったんだと、日本にいながら軽いカルチャーショックを受けること、間違いなし!

 リンゴは1個、にんじんは1本。こういったモノを数える単位の事を助数詞と言って、外国の人にはすごく難易度が高いだろうと思うが、日本人にとっても難しい。枕は1基、2基と数えるらしいが、そんなん1個、2個で十分です。墓石じゃあるまいし。

 日本の「おいで」のジェスチャーは米国では「あっち行け」のジェスチャーだという話は知っていたが、テストの採点で、日本では正解に〇をつけるが、米・仏・中などでは逆で、正解にはチェック印をつけ、間違っている所に〇を付けるらしい。

 外来語はカタカナで書くのが一般的。ただ、イクラは単にカタカナで書いてるだけだと思ったらロシア語らしい。日露戦争の時、ロシア兵が食べていた鮭の卵をイクラと言ってるのが、日本に入ってきたようだ。でもそれ以前、日本では鮭の卵の事を何と呼んでいたのか?それとも鮭の卵を食べていなかったのか? 謎は深まるばかりです。
 それから、襦袢(着物の肌着のようなもの)がポルトガル語というのは衝撃的! ということは、日本には昔、襦袢がなく、直接、肌の上に着物を着ていたか? そもそもポルトガルに襦袢ってあるの?

 そういえば、先日、ダンナがベトナム旅行から帰って来て、お寺からもらった本を見せてくれたが、そこにはずらっとアルファベットが書かれていた。ローマ字のように発音するんだろうか? ベトナムって漢字じゃないの?と不思議に思っていたが、この本を読んで事情が理解できた。
 ベトナムは1945年まで「チュノム」という漢字が使われていたらしい。だけど、非効率的だとして、ローマ字が公用語に。(本当は中国が大嫌いだから、という説もある)こういう所は韓国と似ているかも。韓国も昔は漢字を使っていたが、独自の文化を大切にしようと、ハングル文字を使うようになったと聞く。

 そうそう、鮪は中国ではチョウザメのこと。鮭も中国ではフグのことらしい。漢字が日本に入り始めた頃、役人が確認せずに推測で決めたから、そうなったらしい。結構、いいかげんなのだ。

 日本の映画やアニメが大好きで、それで日本語を覚えたって人、すごいね。「好きこそ物の上手なれ」って本当。その情熱が素晴らしい。この本にも、黒澤映画大好きスウェーデン人、高倉健大好きフランス人が登場する。
 日本を好きになってくれてありがとう。本当に心からお礼申し上げます。
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辻村深月 「ツナグ」 新潮文庫

2019-04-22 14:25:56 | 辻村深月
 一生に一度だけ、死者と再会させてくれるという「使者(ツナグ)」

 死んでしまった人、その人となんとか会って言葉を交わしたい人、それぞれの背景やトラウマや感情が、とても丁寧に書かれていて、さすが!辻村深月!とは思うが、死者と会うプロセスや小道具がちゃちというか…(失礼!!) こういう部分は、もっと曖昧にした方が良いような気がする。

 心に残った話は第1話「アイドルの心得」かな。突然死したアイドル水城サヲリ。元売れっ子キャバ嬢として芸能界デビュー。すぐ消えると思われたが、さばけた口調と派手な化粧や服装、強気な物言いでマルチタレントとして成功し、38歳になってもTVで見ない日はない。
 その彼女を、生きる支えとしていた平瀬愛美。仕事をきちんとこなす27歳の社会人だが、人づきあいが苦手で親しい友人が出来ない事を悩んでいる。
 その二人が偶然出会い、過呼吸で苦しんでいる愛美をサヲリと思われる女性が助ける。(後にサヲリは、それは私じゃないと言うが) それがキッカケとなって、愛美はサヲリの大ファンになる。

 この平瀬愛美が泣けるんだ。客観的に見れば不幸じゃない。父親は地元の国立大学の教授で、祖父の代からの学者の家系。母は専業主婦で、自分の家や家族をとても自慢に思っている人。兄は、成績優秀で容姿が良く、社交的な人。自分だけがパッとしない…と強く思い込んでいる。
 愛美は「おとなしい。落ち着いている」と言われるが、本当は周りが「楽しい事が何もなさそうに見える」と思われているだろうと感じている。被害妄想が強すぎるが、本人がそう感じているなら、どうしようもない。

 愛美は具合が悪い時も、会社を休めない。無理して必死に出社する。欠勤した自分の席をみて人がどう思うか、何を話すかを想像すると、無理しても会社に行った方が気が楽だ。その気持ちを理解できる人って、結構いるんじゃないかな? 私を含めて。

 愛美の同期入社で、柚木という女性がいる。明るく社交的で人に好かれる。入社した当初は、2人で昼にお弁当を食べたりしていたが、彼女は先輩や後輩、男子社員たちとあっという間に親しくなり、愛美と話すことはなくなった。
 自分の机のパソコンの前にお弁当を広げ、1人で食べている愛美の後ろを、ランチから帰ってきた柚木と女子社員たちがきゃあきゃあ芸能ネタで盛り上がっている。その嬌声が聞こえる。これはキツイね。こたえるよ。

 死にたいと思っている愛美に、サヲリは「来ちゃダメだって。こっちは暗いよ」と言う。水城サヲリは、たぶん飯島愛さんがモデルだと思う。私も飯島愛さん、好きだったなぁ。
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名城公園

2019-04-20 18:14:31 | 辻村深月
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名城公園

2019-04-20 18:05:09 | 辻村深月
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名城公園

2019-04-20 17:53:12 | 辻村深月
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