ケイの読書日記

個人が書く書評

にしおかすみこ 「ポンコツ一家」 講談社

2023-05-31 08:59:29 | その他
 先日TVをつけたら、NHK「あさイチ」に彼女が出ていた。あれ?!この人、見たことあるけど誰だったっけ?最初は誰か分からなかったが、そうそう昔「エンタの神様」に毎週登場した、にしおかすみこじゃん!!すごくキレイになって…失礼いたしました。あのSM女王様ネタの時も、にしおかさんは美人でした。
 でも雰囲気が、良家の子女風というか奥様っぽく柔らかになっていた。それもそのはず彼女はその時、番組でベジタブルカービングの技術を披露していた。そうだよね、SM女王様ネタでいつまでもやっていけるワケないよ。何か他の方向を開拓しないと…と思っていたら、今度は新聞の書評欄で、にしおかすみこ著「ポンコツ一家」の記事が目に飛び込んできて!!WEB連載の評判が良かったらしく、書籍化されたのだ。
 私も買って、今読んでいます。にしおかさん、苦労してるんだね。

 お母さん、80歳 認知症。  お姉さん、47歳 ダウン症。  お父さん、81歳 酔っ払い。  そして にしおかすみこさん。の4人家族。
 にしおかさんは売れっ子芸人になったので、家を出て東京で優雅に暮らしていたが、コロナが直撃し仕事が激減。小さな部屋に引っ越すことになり、その前に一度実家に顔を出そうと戻ったら…実家がごみ屋敷になっていた。
 お母さんは高齢だし、認知症の症状が出始めると、どうしても住居が荒れてしまう。そこで、にしおかさんは家族と同居し、掃除しはじめる。

 にしおかさんって結構きれい好きなんだ。それから料理もこまめに作ってタッパーに入れて冷蔵庫に保管。すごいなぁ。
 お母さんの関心は、どうしてもダウン症のお姉さんに向く。まあ、仕方ないね。にしおかさんは、子どものころから寂しかったかもしれない。
 お父さんは、会社員としてせっせと働いて生活費を家に入れてくれてたが、お酒が大好き。もう少し酒量を減らしてください。
 お姉ちゃんは…お風呂に入って髪を洗い清潔にしてね。認知症の人がお風呂に入りたがらない、という話はよく聞くが、ダウン症もそうなんだろうか?

 当たり前の話だが、これからもこの家族の物語は現在進行形で続いていきます。にしおかさんの負担は増える一方。公的な支援を利用してください。そうじゃないと自分が潰れてしまうよ。
 そうそう、にしおかさんは趣味のマラソンで2019年に3時間5分3秒の記録を出したんだって。もちろんフルマラソン。すごいなぁ。
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垣谷美雨「あなたの人生、片づけます」双葉文庫

2023-05-15 14:38:55 | 垣谷美雨
 ハウツー本じゃなくて小説。4人の片づけられない男女に、片づけ屋・大庭が指南する。
 ケース①は、不倫で疲れ切っている30歳過ぎのOLが、マンションの汚部屋で暮らしている話。ケース②は、妻に先立たれたおじいさんに、基本的な家事のスキルを身につけさせる話。ケース③は、先祖が商売に成功し豪邸を建てたが、今ではお婆さんが一人暮らし、大きなお屋敷を持て余している話。ケース④は、ちょっとレアなケース。中学生の息子が交通事故で亡くなり、何もかもがどうでもよくなった母親の話。

 いろんなケースがあるが、③に多くの人の共感が集まりそう。年老いた親や親せきの家の片づけで途方に暮れている人って多いんじゃない?
 昔、三世代四世代で暮らしていて、田舎なので敷地も広く庭もたっぷりあって、部屋数も多い。しかし子どもは巣立っていき結婚し、新しい土地で家を建てて暮らす。孫たちも小さな頃は遊びに来たが、大きくなったらサッパリ。夫にも先立たれ、今はひっそり老女一人で暮らしている。
 都市部に家があれば、子どもや孫が帰ってくるかもしれないが、交通の便が悪い田舎なので、その望みもない。納戸がたくさんあり、そこに押し込めるので床に物が散らばっていることはないが、とにかく納戸という納戸にはには物がギッシリぱんぱんに入っていて、子どもたちからは後の事も考えてどんどん捨てろと言われているが、なかなか捨てられない。
 こんな話、今の日本ならいくらでも転がっている。

 そういう私も、父は30年前に亡くなり母は施設にお世話になっていて、兄も10年ほど前に病死したので、空き家の実家を片づけるのは私しかいない。業者に頼むと100万円くらいするという話なので、何とか自力でやろうと、ゴミの日には出しているが…。「買うのは簡単だが、捨てる時はすごく難しい」というのが実感。捨てる時の事を考えて買わなくちゃね。

 もっとすごい話もある。私のダンナのお姉さん宅だが、高齢者施設に入るため自宅と土地を売却しようとしたら、家の中の家具や衣類や食器などの処分費として、500万円を売却金額から差し引くと言われたらしい。だから親せき総出で何週間もかけて処分した。当事者は年を取っていてできない。だから業者に頼まないんだったら子どもや親せきがやるしかない。よくもまあ、こんなに物を集めたもんだ。感心する。「捨てるの嫌い、買うのが好き」という人だからこうなる。私のダンナも同じタイプだから怖い。
 そして、捨てることができない人は、大きな家に住んではダメだとつくづく思う。空いた部屋にどんどん物を詰め込んじゃうから。小さな家でちんまり暮らそう。
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群ようこ 「老いとお金」 角川文庫

2023-05-07 14:44:16 | 群ようこ
 書き下ろしエッセイ。私にしては珍しくブックオフではなく本屋で購入。群さんが弟さんやお母さんから無心され続けた顛末を書いてある。
 家族の中で突出して稼ぎがいい人がいると、その人を皆が金銭的に頼るようになるのはよくある話だが、それにしても頼りすぎ。ひどい。
 お母さんは、ちゃんと年金を貰っているのに、ゆとりある暮らしがしたいといって、群さんに月40万円送金させるし、弟さんは一流大学を出て一部上場企業に勤めているのに、趣味の高額なギターを群さんに買わせたり、頼るというよりタカッてる。
 
 どうして私がこうも憤慨しているかというと、前々回ブログでUPした山本文緒さんの事を思い出すからだ。山本さんは、直木賞を受賞してからも売れ続けている小説家だが、やはり不安定な職業なので、先々の事を考え、90歳まで働かなくてもそこそこの生活ができるだけのお金を貯めていた。(とはいっても彼女は58歳で亡くなったが)どうしてそんなことができたかというと、山本さんの収入が多いからという事だけじゃなく、彼女の身内にお金をせびってくるような人はいなかったからだ。旦那様は出版社勤務だし、子どもはいない。お父様は亡くなっているし、お母さんお兄さんはちゃんとした人で、娘や妹に金銭的に依存したりしない。だから山本さんはせっせとお金を貯めることができた。

 それに比べ、群さんのお母さんや弟さんは何だよ!!!いつまで仕事があるかわからない群さんに「しっかりした個人年金に入ったら?」とか「この先どうなるかわからないから貯金をしっかり!」とかアドバイスできないのかな?それとも「変な男にひっかかってお金をだまし取られるより、僕たちが使ってあげよう」なんて思ってるのかな?もちろん群さんはそんな男には引っ掛かりません。
 一番散財したのは実家を建てたこと。お母さんが群さんに「弟が家を建てて母親と同居したいと言っている。お金を援助してくれないか?」もう一方で弟さんに「お姉ちゃんが、弟が家を建てるなら援助すると言っている」と両方を丸め込み、億を超える家を建てた。その2/3を群さんがローンを組んで支払ったのに、群さんの部屋もないし鍵もくれない。これ、ひどいよね!? 大もめにもめ、最終的に群さんは自分の2/3の権利を弟さんに売ることにするのだが、弟さんは家はもらったのだから支払わないと再び大荒れ。

 この弟さんとお母さんは、群さんの初期エッセイによく登場する愛すべき人たちなんだが、お金が絡むと人間はこうなってしまうんだね。悲しいです。
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「87歳、古い団地で愉しむ ひとりの暮らし」多良美智子 すばる舎

2023-05-01 16:14:54 | その他
 新聞に、この本の広告が打ってあり、読みたいと思っていた。ブックオフで偶然見つけ、すぐ購入。
 15歳のお孫さんが、おばあちゃんの日常を動画に撮ってYOU TUBEにUP。人気が出たみたい。私としては、自分の母親くらいの年代の人が、どのように団地で一人暮らししているか興味津々なのだ。(私の母は施設でお世話になっている)
 趣味の手芸や庭いじりなどを楽しみながら、地味にひっそりと暮らしている…というイメージを持っていたが、ちょっと違うね。この年代にしては派手な人なのだ。

 長崎で8人兄弟の7番目に生まれ、小学校5年生の時に被爆(つまり昭和8年か9年生まれだろう)幸い病気になることもなく成長し、会社勤めを経て27歳で結婚。2人の息子に恵まれる。7年前にご主人を亡くし、それ以来一人暮らし。

 私には、自分の母親くらいの年代の人は、生家の農業を手伝い野良仕事で1日が暮れ、村の青年団で知り合った人と仲良くなる、というイメージがあったが、この多良美智子さんはもっとハイカラ! なにせ中学校高校は公立ではなくミッションスクールに通ったそうです。そして高校卒業後に専門学校に行ってタイピストの資格を取り,おじさんの経営する会社に入社。お金持ちなんだ。
 そういえば多良さんの生家は商家で、農家ではなかった。だから教育にお金をかける雰囲気があったんだろう。昭和ヒトケタ生まれの女性が専門学校卒というのは、この時代珍しいことだったんだ。

 そうそう、一番驚いたのが、多良おばあちゃんが80歳でピアスを開けたこと!これにはビックリ!!おしゃれが大好きで耳にはイヤリングを必ず付けていたそうだけど、失くすことが多く思い切ってピアスにしたそう。頑張るなぁ。
 またまた驚いたのが、旦那様のお葬式。自宅で家族葬を行い、22万円ですんだそうです。祭壇なし、花と写真は家族が用意する、お坊さんも呼ばす戒名もなし。本当に直系の子や孫、その配偶者のみで執り行ったとか。
 スパっと割り切って、外からゴチャゴチャ言われても気にしない人なんだろう。うらやましいけど私にこんな事ができるだろうか?難しいよね。
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