ケイの読書日記

個人が書く書評

岸本葉子「ほどのよい快適生活術」

2012-03-28 10:54:08 | Weblog
 やっぱり、私にとって岸本葉子さんのエッセイは、一服の清涼飲料水だなぁ。

 最近、刺激の多い小説を読むことが多かったので、ここらで一息つきたいなぁ…と思い、図書館で岸本さんのエッセイを探す。
 あった、あった。
 もう、表紙の装丁からして癒されるよね。葉っぱでできた椅子、座る部分に小さな花が咲いている。

 失礼ながら、たいした事が書いてある訳ではない。
 野菜料理のレパートリーを増やすため、フードプロフェッサーを買おうかどうか、カーテンを替えたいが何色にするか、ラッパの豆腐屋さんで買った生湯葉が美味しかったのでまた買いたい…などなど、本当に日常の生活を大切にして、地に足をつけて生活している。立派だなぁ。
 目立たないけど、こういう人が日本を支えているんだ、と思うねぇ。

 
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パーシヴァル・ワイルド「悪党どものお楽しみ」

2012-03-23 10:40:51 | Weblog
 イカサマ稼業から足を洗い、堅実な生活を送り始めたビルが、ギャンブル大好き男のトムにかつぎ出され、今度はイカサマ師と対決するハメに!! 
 今までの知識と経験をもとに、次々とトリックを暴いて、身ぐるみ剥がされたカモを救出!

 いやぁ、読むのに1ヶ月以上かかっちゃったよ。決して、つまらない訳ではない。イカサマトリックはマジックと通じるものがあるし、登場人物はイキイキとしている。
 特にトムは、自分がギャンブルの腕はからっきしなのに、すぐビルに助けを求め、成功すると威張りだし、まるで”虎の威をかる狐”だね。

 しかし…私はカードをあまりやらないので、残念ながらポーカーとかカシーノとかのルールがよく理解できないのだ。
 付録として巻末にポーカーとカシーノのルールの説明が載っているが、読んでも今ひとつ…。
 ポーカーは映画によく出てくるので、まだ何となく分かったような気持ちになれるが、カシーノなんて、そんなゲームの名前、初めて知ったよ。


 第5話『良心の問題』にはカシーノが出てくるが、ルールが分からなくても良い話だと思う。他に『火の柱』の「同じ観客の前では2回以上やれなかった読心術」にも笑ったね。

 以前、クリスティのミステリで、ブリッジというカードゲームが最初から最後まで出てきて、そのプレーヤー心理で殺人犯を推理する、という話があったが、あの時もチンプンカンプンだった。

 こういう話は、ハッタリとか駆け引きといった心理戦が大事なんだろう。ギャンブルやる人なら、私の100倍楽しく読めると思います。
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スティーグ・ラーソン「ミレニアム1・ドラゴンタトゥーの女」㊦

2012-03-18 17:18:11 | Weblog
 ついに、ミカエルと、ドラゴンタトゥーの女・リズベットが出会い、一緒に調査を進める。
 
 思っていたよりも、うんとおぞましい展開になってくる。性犯罪というのは予想していたが、底なし沼のような気持ち悪さ!

 ちょっと前に読んだ、天童荒太の「孤独の歌声」も、連続殺人犯が出てくるが、彼の家族は死んでしまって独身だった。
 この小説のように、親戚や家族で固まって暮らしていて、誰も気がつかないのだろうか?
 男は気がつかないかも知れないが、女は分かる。ピンとくる。特に同年代の女の子達には…ね。
 身体に痣があったり、匂いが残っていたり…。体育の授業はどうするの?噂にならないわけが無い。


 ハリエットの失踪だけでなく、もう一つミカエルが追求している大物実業家をめぐる事件も、リズベットの協力で一応の解決をみる。

 物語の終わりの方で、ミカエルが依頼人から報酬を受け取る時、税率の低い外国の銀行口座で受け取るように勧められる。
 しかし彼は、税金の高いスウェーデンで、課税対象となるように受け取りたいと固執する。
 そこに、ミカエルの(筆者ラーソンの)スウェーデンに対する愛情を感じるよ。
 そして、ミカエルが(つまりラーソンが)いかにボルボを愛しているかも!

 でも、このスウェーデンの代表的企業も、フォードに買収されちゃったんだね。ショックだったろうなぁ。
 私もトヨタが外国企業に買収されるなんて事になったら、立ち上がれないほどショックだろうね。そんな事はないことを願います。
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ステーヴ・ラーソン「ミレニアム1 ドラゴンタトゥーの女」

2012-03-13 13:35:54 | Weblog
 TVで「誰がハリエットを殺したか?」のフレーズで派手に宣伝していたので、一度原作を読んでみようと手に取る。
 かなりの長編。㊤㊦に分かれており、㊤を完了。


 スウェーデンの経済ジャーナリスト・ミカエルは大物実業家を告発する記事を発表。しかし、それが元で名誉毀損で訴えられ有罪になる。
 そんな苦境の折、ミカエルは、大企業グループの前会長・ヘンリックから、ある依頼を受ける。
 およそ40年前、彼の一族が住む小島で、姪のハリエットが失踪した事件を調べて欲しいというのだ。 
 その時、島は本土とつながる橋が大事故で閉鎖され、一種の密室となっていた。島の中にはヘンリックの一族や、ごく親しい友人だけ。
 この困難な調査をミカエルは引き受ける。


 ここで㊤は終わっている。ミカエルは、有能な調査員・ドラゴンタトゥーの女リズベットともまだ出会っておらず、調査が進むのは㊦からだろう。

 このリズベットが特徴的な女性なのだ。スウェーデン女性にしては珍しくとても小柄で痩せていて20代半ば。
 知能は非常に高いのに、極端に協調性が無く暴力的。アスペルガー…なのかな。


 とにかくストーリー展開もドキドキするが、この馴染みのないスウェーデンという国には驚かされる。
 登場人物リストや家系図、地図も載っていて、ストックホルムのすく北にウプサラという地名が!!  ここって、御手洗の住んでる所じゃない?
 それに、日本の電化製品や日本車がいっぱい出てくる。(ボルボはどうした?!)

 一番驚いたのは、その気温! ミカエルが調査を始めたのは1月からだが、気温がマイナス37度まで下がった、北極圏で暮らした時よりも寒い、と書いてある。
 家の中にいても凍死するね。寝る時はどうするのかな?かまどで火を焚きっぱなしで寝ると暖かいけど、一酸化炭素中毒で死んでしまいそう。
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葛山二郎「赤いペンキを買った女」

2012-03-08 11:00:29 | Weblog
 この「赤いペンキを買った女」という題名を見て、古畑任三郎の中でさかんに使われていた「赤い洗面器を頭にのせた女」を思い出した。違ったっけ? 赤い洗面器じゃなかった? 
 まあ、いいや。三谷幸喜は葛山二郎のこの小説を知っていたのかな?

 
 私は葛山二郎の名前は知らなかった。大阪圭吉や蒼井雄と同じ戦前に活躍した人らしい。
 この「赤いペンキを買った女」は、江戸川乱歩が、戦前の本格短篇の随一の秀作に押しているらしい。
 これは期待できるゾ。るんるんるん。


 法廷を舞台に、検事・弁護士・証人の問答体の形式をとっている。アガザ・クリスティの法廷ミステリ戯曲を思い出す。

 元同僚を殺して金を奪ったと逮捕された被告を助けるために、弁護人が熱弁をふるい、証言の矛盾点をついていく。はたして真相はいかに?

 法廷でのテンポのいいやり取りを読みながら、この「赤いペンキを買った女」はどこに出てくるんだろう?どういう意味があるんだろう?と不思議に思いながら読んでいくと…あっと驚く結末が!!!

 しっかしねぇ、ここまで用意周到に準備した犯人が、どうして赤いペンキを買った痕跡を残すようなヘマをするんだろうか、ちょっと疑問。

 それから、この熱血弁護士の行く末も知りたいね。
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