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ケイの読書日記

個人が書く書評

中野慧「文科系のための野球入門」 光文社新書

2025-05-29 14:50:36 | その他
 4月5日に丸善で買って、読み終えたのが昨日5月28日。とにかく読むのに時間がかかった。結構、面白い内容なのにね。
 私の方が年度代わりで仕事が忙しかったのと、スマホゲームに一生懸命で本がなかなか読めなかったから。それにgooブログのサービス終了の通知が来て、愕然としたし…。利用者がどんどん減っていって大丈夫かなあと心配していたけど、NTTの関連会社がやっているんだから、よもや無くなることはないだろうと思っていたが、無情ですね。

 そうそう「文科系のための野球入門」の感想を書かなければ。「野球部はクソを解剖する」というサブタイトルがついている。普段なら、私が絶対手に取らない新書だけど、友人の親戚の人が書いているらしく、友人に読んでみてと勧められて購入。
 野球の事が好きでもないし、詳しくもないけど、比較的楽しく読めた。まあ、私くらいの年代だと(昭和33年生まれ)サッカーより野球の方がなじみがある。三男が、小中高と野球をやっていて、練習時のお茶当番が大変だった。
 ただ、高校野球の親の熱量にはついていけなかったなあ。田舎の公立高校の野球部なのに、なぜそんなに熱心なの?! そんなに選手たちを強力に応援したいなら、どうして私立の強豪野球部に子供を入れなかったのさ、なんて周囲に聞こえないようブツブツ言っていた。きっと私立の強豪校では競争が激しすぎて芽が出ないから、弱小の公立高校野球部で主導権を取ろうとしたんだろうね。
 ああ、いやだいやだ。子どもは熱血野球少年でも、母親の私はオタク女子です。

 そのオタク女子でも楽しめる章もある。旧制高校ではサブカルチャーとして野球は流行したんだね。アメリカさんが持ってきた文化だもの。ハイカラだったんだ。それに、大正時代に福岡の女学校で女子野球部があったんだ。それをモデルにした「大正野球娘」というアニメも2009年に放映されていた。知らなかった!
 ほかにも、ジャニーズの亀梨君と野球の話とか、夏の甲子園の優勝投手が闇バイトに誘われ強盗した、とか盛りだくさん。
 皆様、どうぞご一読あれ!
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田中慎弥「第三紀層の魚」集英社

2025-03-26 11:07:44 | その他
 先回の「共喰い」では、やりたい盛りの男子高校生が主人公でゲンナリしたが、今回の「第三紀層の魚」では、小学校4年生の男の子・信道が主人公。
 釣りが大好きで、ヒマがあれば友達を誘って近所の海に行っては釣りをしている。友人たちが次々と塾に行くようになり、子ども心にいろいろ考えることが多くなっている。父親は早くに病死し母子家庭だが、近くに父親の実家があり、よくそこに預けられていた。今でも遊びに行く。

 この信道のお母さんがしっかりした人なのだ。お母さんはうどん屋で懸命に働いている。その働きが会社に認められ、東京に初出店する店の店長に抜擢される。そして信道を連れて、東京で働いてみようという気になっている。
 信道は、今でも学校の勉強に遅れ気味なのに、東京の学校でついていけるか、東京でも友人ができるか、心配される。でも信道なら、釣りがきっかけで友人の輪が広がっていくんじゃないかな? そんな気がする。

 私も私の周りも、誰も釣りをやらないので、イマイチその面白さが分からない。それに釣り道具の名称もはっきり理解できないので、ぼんやり想像するだけ。でも一番読むのに困るのは、魚の名前。魚って出世魚とかいって、成長に伴い名前が変わるでしょ?それに地域によって呼び方が違うから困るんだよね。
 作中にチヌ(信道の曽祖父はチンと呼ぶ)信道にとって思い入れの強い魚が出てくるが、クロダイの小さいのなんだね。小さいクロダイと記述してほしいね。ホント。

 この信道の曽祖父はかなり高齢で死にかけている。多分、大正の初めの生まれだと思う。3回赤紙が来て3回召集された。そのせいか勲七等の勲章をもらっている。
 この爺さん、国粋主義者という訳でもないだろうに、日の丸が大好きで、祝祭日になると必ず日の丸を掲揚していた。ああ、日の丸。今の若い人は意味が分からないだろうね。昔は祝祭日になると、玄関のそばに日の丸を掲げたのよ。私も覚えているなぁ。昭和40年ごろまでかなぁ。今、見ないね。
 とにかく、その日の丸を家人が失くしてしまったと大騒ぎ。でも爺さんの葬式の時、棺桶の中にその日の丸を広げて入れた。爺さん、さぞ本望だったろうね。
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田中慎弥 「共喰い」 集英社

2025-03-04 14:30:02 | その他
 第146回(平成23年度下半期)芥川賞受賞作。ずいぶん前の作品だが、受賞当時話題になって、その時、読みたいと思ったがそのままになっていた。先日、ブックオフで見つけ購入。

 性行為の最中に、女を殴ったり首を絞めたりすると、性感が高まるという父親を持つ男子高校生は、自分も父親のようになりはしないかと恐れている。男子高校生の両親は、父親のその暴力のせいで離婚し、彼は父親方に引き取られている。こんなクソオヤジでも、相手をする女はあちこちにいて、今は小料理屋の女が、彼らと同居している。
 住居は海に近い川沿いで、海水と淡水がまじりあい、魚の種類が多い。男子高校生は釣りが好きで、ウナギを釣り上げたとき、釘の両端がウナギの肉を突き破り、ウナギの頭が裂けて崩れるのに性的興奮を覚える。

 こういった記述を読むと、神戸の首切り事件を思い出すなぁ。ほら、14歳の男子中学生が、弟の友達の知的障害がある小学生を殺し首を切断、近くの中学校の校門の前に置いた事件。あの加害者も、小さいときから小動物を殺すのが好きだったんだろう。野良猫を捕まえて殺し解体するのに性的快感を覚え、やめられない。殺した猫の舌を切り取って瓶に詰め、自室の屋根裏にコレクションしていた。そして対象が、小動物から小さな子供へ移っていった。
 加虐行為と性的快感が結び付くと、本当に困る。

 女の方もちゃんとしなくちゃね。殴られて女も気持ちいいだろうと、カン違いする男もいるようだから、ハッキリNO!と言う。そうして法的な措置を取る。
 この男子高校生には一つ年上のガールフレンドがいる。何度も性行為をするが、彼はいつか彼女を殴るんじゃないかと恐れをいだいている。どうだろうなぁ。こういうのは治るんだろうか?一定の割合でいるんだよね。
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絲山秋子 「御社のチャラ男」 講談社

2024-12-11 15:43:28 | その他
 「御社のチャラ男」というからには、A社のチャラ男、B社のチャラ男、C社のチャラ男…というように、各々の会社のチャラ男たちの品定めでもするのかしら?と思って買ったが、どうもチャラ男は、ジョルジュ食品の三芳部長一人のことらしい。
 しかし…うーーーん、この人、チャラいかなあ。

 縁故採用で40歳くらいで入社して、いきなり部長。前は何をやっていたかといっても、大した事はやってない。アメリカの西海岸で自分探しをしていたなんて言うと、人は感心したような顔をするが、実際いたのは半月にも満たない。もちろん英語もしゃべれない。
 日本に帰ってきてから、あちこちでバイトをしていた時に知り合った、資産家の一回り年上の女性と、意気投合して結婚。その奥さんの従兄弟がジョルジュ食品の社長だ。

 三芳部長は仕事ができない。でも、できなくたっていいんだ。部長だから。仕事は叩き上げの部下がやってくれる。三芳部長は、説教するだけ。そして、働き方改革と称して、さっさと帰り、休みもきちんと取る。ワークライフバランスを実践して、部下の手本となりたいみたいだ。

 こういう人って、どこの組織にもいる。チャラ男と特筆すべき人とも思わない。それよりも、筆者の絲山秋子さんは、男に対して辛すぎるような気がするな。例えば、総務のかなこさん(24歳)は、中途入社してきたイケメン社員に最初はときめいていたのに、彼が宴会で下ネタを連発したらしく、評価がダダ下がりだった。
 でもアルコールが入って「うんこ」「ちんこ」を連発するのは、女の人にも結構いるよね。異性にボディタッチが多くなるのも、男性だけではない。

 絲山さんは、早稲田の政経を出て一流企業(住宅設備機器メーカー)に入社し、総合職営業として各地を転勤してまわった。すごく優秀な人だから、男だから出世が早いとか、ポジションが自分より上、という例をたくさん経験してきたんだろうね。

 ああ、ごめんなさい。自分はそういった経験がないからか、あまり共感はできないな。たぶん私は、性別に関係なく無能に分類される人間だからだと思う。
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「アリスはふしぎの国で」ルイス・キャロル著 大久保ゆう訳 青空文庫

2024-10-12 16:19:29 | その他
 「不思議の国のアリス」(ALICE IN WANDERLAND)ってこういった話だったんだ。昔からある有名なお話にありがちな、断片的に有名なところは知っている。例えば、おかしな帽子屋がお茶会を開いている場面、白うさぎが懐中時計を見ながら大急ぎで走り去っていく場面、トランプのクイーンが誰彼なしに「首をちょん切れ!!」と命令する場面、チェシャ猫が笑って顔が幅広くなっている場面などなど。
 でも、きちんと読んでいなかったので、読み通すと新鮮な驚きでいっぱい。それにしてもチェシャ猫って人気あるね。ふてぶてしいのが良いのかな。でもこんな猫が、自分ちにいたら困るよね。

 この不思議な話は夢オチなんだ。まあ、そうだろう。そうじゃなかったら収拾がつかないよ。それから詩や歌がふんだんに出てくるんだ。英国のお話らしい。だから自分には分からないけど、言葉遊びがいっぱい散りばめられているんだろう。それを日本語に何とか訳すのが訳者のウデの見せ所。難しいよね。英語のダジャレを日本語のダジャレに訳すなんて至難の業。英語に自信がある人は、自分で原書に挑戦するのが良いかもしれない。

 そして最も驚いたのは、キャロルが友人の子どものアリスたちと一緒にピクニックに行った時にせがまれて、出まかせのヨタ話を話して聞かせたのが、この名作が誕生するきっかけだという事。そのヨタ話があまりにも面白かったので、アリスが読みたいと頼み、彼が手書きで本にしてプレゼントしたのが最初らしい。文筆家が、知り合いの子どもに肉筆の物語をプレゼントする事って、当時(19世紀)のヨーロッパでは、時々あったみたいね。

 ルイス・キャロルは、作家として有名だけど本業は数学者で、専門書も何冊も出しているみたい。ロリータコンプレックスで、13歳のアリスにプロポーズしたという話も残っているけど、どうかねぇ。アリスは別の人と結婚してますけど。
 青空文庫で使われている挿絵は、擬人化した動物たちはgoodだが、アリスがあまり可愛くない。色々調べたが、アーサー・ラッカムの挿絵が素敵です。
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