ケイの読書日記

個人が書く書評

岸本葉子「60代 少しゆるめがいいみたい」中央公論新社

2024-06-26 09:39:01 | 岸本葉子
 敬愛する岸本さんのエッセイを久しぶりに読んだ。お元気みたい。良かった。だいたいが他の新聞や雑誌に連載されていたエッセイをまとめたもの。コロナ期後半から、皆さんマスク取っていいですよの頃まで。

 岸本さんは、パソコンにあまり強くない。音楽にもさほ造詣が深いという訳じゃない。そういう所がいいんだよね。彼女のステレオコンポが壊れたようで、修理か処分か迷っていたので、同世代の知人にどうしているか尋ねると、爆笑されたらしい。「えーーー、ステレオコンポなんてまだ持ってたの?」音楽はタブレットとイヤホンで聞く時代だと。
 いやいやいや、私などいまだにCDラジカセで聴いていますけど。でも、それがもう出来なくなるんだなぁと先日、しみじみ感じ入った出来事があった。

 私はスマホで『あんさんぶるスターズ!!』というリズムゲームをやっている。Valkyrieというユニットが推しで、彼らの曲はアニメイトでCDを買っていた。運営会社はそのCD販売を中止し、配信サイトでの購入に一本化するという。その方が経費が掛からないんだろうが、私のような高齢者は困るよ。それにアニメイトに出掛けていく口実が無くなっちゃうよ。キョロキョロ眺めたいのに。
 でもCD販売を止め配信サイトに一本化するというのは、時代の流れなんだろうなあ。しかしCDを購入するときに貰っていた缶バッジやポスターは、もう貰えないんだろうか?Too Bad!
 それに私のようなオババがワイヤレスイヤホンで音楽を聴くって笑われそうで怖いです。そうそう、2.5次元の舞台も観たいけど、全てインターネットで手続するから、デジタル弱者の私はよくわからないです。昔みたいに「チケットぴあ」で売ってほしい。

 同じパソコン弱者の岸本さんも、やらかしちゃってますね。グループラインで送られてくるアルバムを量が多すぎるから整理しようと削除したら…自分のスマホ画面だけでなく全員の画面から消えてしまった?! えっ!?そんな事ってあるの? 彼女はサークルの定例会に菓子折りを持っていき、お詫びしたそうだ。同情します。
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岸本葉子  『捨てなきゃ』と言いながら買っている  双葉社

2021-12-04 09:39:40 | 岸本葉子
 この「お買い物エッセイ」シリーズ、すごく好き! 日常エッセイ、読書エッセイもいいが、買い物に女の人の本質が現れる。その人の事がよく分かる。

 岸本さん、ネット通販のヘビーユーザーなんだ。お気に入りのブランドがあり、デパートにせっせと通って店員さんと仲良くなる話を以前よんだから、他のものはともかく、洋服は実際に見て試着して買う事がほとんどだと勝手に思っていたが、オンラインでぽちっとクリックして買う事も多いらしい。
 で、そうなると、どうしても避けて通れないのが返品手続き。相手側のミスで、注文したら違うものが届いたなら返品は当たり前だが、こちらの都合で返品でも、通販大手はOKだと思う。ただ、返品OKとしても、実際には気が引けて、返品しない人が多いんじゃないだろうか?

 通販はどうしても、届いてから「思ってたのと色がビミョーに違う」「サイズが大きい」などなど不具合が出てくるんだよね。だから利用頻度が多い人ほど、バンバン返品していると思う。
 そういえば、ちょっと前、靴の通販のCMがよく流れていたような。ほら、デビィ夫人の。靴って、洋服以上に通販で買うのが難しい。いくらデザインが気に入っても、靴に足を入れた時の微かな違和感は、たいてい正しい。だから絶対、試し履きした方が良いんだ。
 靴の試し履きし放題をやってる通販もあるみたい。例えば、お客は気に入った靴を5足送ってもらって、家で試し履きし、良いなと思う靴を買って他は返品。もちろん全部気に入らなければ、全て返品OK、なんて買い方もある。
 でも、お客様が丁寧に試してくれればいいけど、乱暴に扱ったら…トラブルにならないかな?

 私が大好きなこの「お買い物エッセイシリーズ」は、この「捨てなきゃと言いながら買っている」がラストになるらしい。うーーーん、残念!「小説推理」に連載されていたらしいが、今度は「暮らしの手帳」にでも鞍替えして、お買い物エッセイを続けてほしいなぁ。
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岸本葉子「ふつうでない時をふつうに生きる」 中央公論新社

2021-10-15 14:29:27 | 岸本葉子
 この本には、コロナ感染が拡大し始めてからのエッセイを収めてある。岸本さんは文筆業だから、さほど関係ないのではと思ったが、そんなワケは無く、打ち合わせはすべてリモートに、講演のような仕事はすべてキャンセルor延期になったようだ。

 岸本さんは、もともとパソコンで仕事をしているが、コロナ禍でその比重が大きくなり、しかもパソコンが古いので色々不具合がおこる。
 ある日は、インターネットの接続が出来ないので原稿が送れない。仕方ない。FAXで送ろうとしたら,FAXも不通。サポートセンターに連絡すると、回線は異常ない(ホント?)と言うのでFAXを買い替えた。でも繋がらない。(オイ!FAXの代金はどうしてくれる?)どうも建物全体のひかり回線に関する装置の不具合らしい。
 ということは…マンションの他の部屋の住人もパソコンやFAXが繋がらないの?

 本当に苦労しているなぁ。分かるわぁ。私も大した仕事量じゃないけど、インターネットに接続できないと、本当に困る。何にも出来ない。
 デジタルネイティブより上の世代の私たちのほとんどが、こんなふうじゃない?

 あとがきは2020年11月。比較的、この頃は感染は落ち着いていた時では。つまり、2021年の夏ごろの第5波については書かれていない。第5波はすごかった。倍々ゲームのように感染者が増えていって、救急車を呼んでも搬送先の病院が見つからない。どこの病院もコロナ病棟はいっぱいで入院できないので、自宅療養者が爆発的に増えて、しかもその人たちが自宅で亡くなっているというニュースが流れる。
 地方都市に住んでいる私も、いったいこの先どうなっちゃの?とすごく不安だった。その時の話は、このエッセイ集には入ってないけど、岸本さんのことだ。次の本には入れるのだろう。読むのが楽しみです。
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岸本葉子「ひとり老後 賢く楽しむ」 文響社

2021-09-03 16:24:50 | 岸本葉子
 岸本葉子さんは私より3歳年下だが、私は勝手に自分のロールモデルにしている。以前は、岸本さんの書く日常雑記風エッセイに癒されていたものだ。最近、岸本さんは、ちょっと早めの老後準備の話を色々書いているので、それをこれからの自分の人生の指針にしていきたいと思うのだ。

 この本の初版は、2019年7月、岸本さん58歳の時。まだまだ若いので、50代から90代の一般の人たちに話を聞いている。普通の人たちだけど、なかなか含蓄に富んだお話をされることが多く、私もメモを取りながら読んだ。

 「年をとっても守りに入らない」  良いなぁ、この言葉。ただ、自分にそれができるかが問題だけど。

 「人生後半こそ、自分のイメージと真逆の事を始める」という章がある。岸本さんが以前からスポーツジムに通っている事は知っていたが、50代半ばでズンバというダンスを始めたそう。そうすると、ウェアもどんどん過激になりメッシュのタンクトップに「見せブラ」。ついにはズンバの発表会にまで参加することに。
 いやぁ、以前の岸本さんのイメージからは考えられない! 新しいズンバのお友達も増えて、本当に楽しそうです。

 振り返って自分の事を顧みるに…「自分のイメージと真逆の事を始める」うーーーん、いったい何をやればいいのか…。そうだ!私、1年半ほど前からスマホゲームにハマっているんですよ。いわゆるアイドル育成乙女ゲームに。私自身、60歳過ぎてスマホゲームを楽しむなんてビックリ!!
 子どもたちがファミコンに夢中だった頃、マリオやドンキーコングはともかく、殴ったり蹴ったりの格闘対戦ゲームは嫌いだった。それにバイオハザードみたいな気持ち悪いゲームも。自分でやろうなんて思った事一度もなかったのに。
 きっかけはパソコンでボカロ曲を聞くようになってからだけど、それはまた別の機会に書こうと思います。

 スマホゲームのおかげで毎日が楽しい。他のゲームもやってみたいけど(特にロールプレイングゲーム)目が疲れるから怖くて手を出せないでいる。
 
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岸本葉子 「人生後半、はじめまして」 中央公論新社

2019-09-11 16:07:25 | 岸本葉子
 岸本さんは、お父様を見送ったあたりで、人生後半を意識したとか。なるほどねぇ。人生の節目だものね。ただ、50歳半ばで両親とも亡くなるというのは、現代において珍しいのではないか?
 90歳代の老母を70歳代の老いた娘が、老々介護しているというのが、一般的になってしまってる今の日本。
 私の母も、あと15年は生きるだろうと思われる。なんせ人生100年時代だからさ。

 まあ、先の事を考えるとキリがない。明るく思考停止にしなければ、やってられないのも事実。岸本さんの前向きなエッセイを読んで、元気をもらおう。

 まず第1話「美容医療に通っている」。これには少なからず驚いた。あまり、そういう事をやりそうなタイプではないと思っていたから。肌の深部に熱を与え、真皮のコラーゲンを収縮させることで引き締め効果を得る治療のようだ。もちろん保険適応外。
 フェイスラインのたるみは、中高年の共通の悩みなんだ。私もなんとかしなきゃ!と思い、美容院でシャンプー、カット、ヘアマニキュアの他に、ヘッドスパを追加している。これも何かの雑誌に載っていた。頭皮に刺激を与えることによって、フェイスラインを引き上げるらしい。鏡を見ると何となく効果があるような…。そんなの気のせい?

 「進取の気性に欠けている?」の話では、名刺交換の時にスマホで撮影して、現物の名刺を受け取らない相手の話が出てくる。もちろん岸本さんは受け取る派だが、出版業界でも名刺の画像をデータに変換して、紙で取っておくことをしない人が増えているそうだ。
 まぁ、確かに紙で取っておくと邪魔だもんね。

 「ハンガー改革」の話では、役に立つ情報がいっぱい!! ハンガーなんでどうして買うの?クリーニングに付いてるのを再利用すればタダじゃん?!という人がほとんどだと思うが、収納アドバイザーに高評価のハンガーがあるらしい。岸本さんはそれを買いたいと思うが、ドイツ製で安くない。ところが…ネットで探していくと、そっくりな品がニトリから、うんとお安く出ている。60本、即買い!
 開発者に敬意を払いたいだろうが、やっぱり安さの魅力には勝てない。

 まだまだ面白い話はいっぱい。3か月間もかかるリフォームをやった、靴が合わなくて四苦八苦している話、(靴で困っている話は、群ようこさんのエッセイにも多数ある)そして女の最大の関心事、セールはいつ頃が買い時か、とか。

 齢を重ねても好奇心が止まらない岸本さんに感謝します。
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