ケイの読書日記

個人が書く書評

法月綸太郎「一の悲劇」

2009-08-02 10:53:39 | Weblog
 小学校1年生の男の子が人違い誘拐され、身代金を用意するも、犯人との接触に失敗、男の子は死体で発見された。
 やがて捜査線上に浮かんだ男には、鉄壁のアリバイがあった。名探偵・法月綸太郎と一緒にいたというのだ。

 面白い作品だが、最初から強い違和感が…。
 登校途中の小学1年生の男の子を、間違って誘拐して、犯人がそれに半日も気が付かないなんてありえない。
 (友達の家からの帰り道、というならまだ分かるけど)

 だって、小学1年生の登校する時って、胸に名札、ランドセル・教科書には名前、ハンカチや衣類にも名前、いたる所に名前が書いてあるのだ。

 そのことを、いつ誰が指摘するんだろう?と思いつつ読んでいたら、最後まで誰も不思議がらなかった。
 うーん。

 それに途中の密室殺人とダイイングメッセージ。法月綸太郎にしてはお粗末。特にダイイングメッセージには、深入りしない方がいい。

 終わりの方の、ドンデン返しの連続も、出来がいいとは言い難い。読者サービスのつもりかもしれないが、もっとスッキリさせて欲しい。

 ただ、法月綸太郎がとても魅力的に書かれていて、好感が持てる。

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