朝鮮半島「核」外交 北朝鮮の戦術と経済力 重村智計

　北朝鮮の第２回の核実験が近いとうわさされている。北朝鮮がなぜ核実験に活路を求めているのか、数少ない情報を駆使して、北朝鮮の経済の実態や政治の状態が著わされている。
　現在の北朝鮮は、２００２年７月１日に配給制を停止して以来、ス－パ-インフレに悩まされ、経済は完全に破産しているといえる。１ヶ月の給料は、３０００円くらいで、２００１年の国家予算は、１６０億円程度であったという。重工業は３０％ぐらいの稼働率で、食料生産は５００万トン以下になって飢餓状態であるという。１９９８年に憲法改正をし、現在は、「軍が党・政府を指導する」「先軍政治」「儒教全体主義・軍事国家」であるといえる。アメリカのマカオでの金融制裁や日本の経済制裁が効いているので、もう体制を維持するには、核兵器しかないまでに追いつめられているからだと著者はいう。すぐ隣国にこのような生活を強いられている朝鮮人がいることは悲しいことである。