告別式

　知人が亡くなって告別式に出かけた。この市に転居して10年になるが、告別式の弔問は初めてのことだ。幼馴染も学友も職場の上役ご同輩もまったくいない地だから喪服を着る機会がなくても当たり前というわけだ。
　その知人とはたまたま会合で知り合った。具合がよくないと聞いていてここ2年ほど会っていない。
　
　義理的には、自治会の慣習で近所に不幸があれば告別式で手伝わなければならない。ただし、かみさん任せであった。
　また、ここ3年前に自治会を脱退したので、手伝いの義務はない。余程、親しい人の場合であれば個人的に参列するつもりだが、今のところそれに直面していない。

　頭書の知人に話を戻す。
　今年の年賀状に「満身創痍ながら今年までは賀状が書けたか。枯れ行く日々なれど座して待つ気などなし。遊びをせんとや。梁塵秘抄の世界に浸りたい。談笑したいですね」とあった。
　
　『梁塵秘抄』の有名な一節「遊びをせんとや生まれけむ」に依拠して、遊ぶために生まれてきたのだからと言いたかったか。享年82歳、合掌。