ひとこと・ふたこと・時どき多言(たこと)

〈ゴマメのばーば〉の、日々訪れる想い・あれこれ

強い者に共感、共鳴してしまいがちな、

2016-07-26 06:19:12 | 日記
トランプ氏の、共和党大統領候補指名の受諾演説を聞きました。
「U・S・A」「U・S・A」の大きな唱和。
“クリントン氏を 刑務所に ぶち込め”
という激しい表現。

よその国の大統領選びです。
あれこれ言う筋合いではありませんが、正直、怖くなりました。
そして、繰り返される
“アメリカを 第一に”
と言う短い言葉での語りかけ。
ショートなスピーチは、分かりやすくはあってもキケンです。
感情にだけ訴えてしまう強さと怖さがありますから。

先だって、『帰ってきたヒトラー』(ティムール・ヴェルメシュ著 森内薫 訳)を
読みました。
映画を観たかったのですが、近隣というより東北地方での上映がありませんでしたので、
原作を読んでみました。
いろいろと、考えさせられた本でした。

訳者の森内薫氏は、「あとがき」で、次のように記しています。
《……………ヒトラーを怪物に仕立てるだけでは、なぜあのような恐るべき出来事が
起きたかの真の理由はわからない、というのがヴェルメシュの見方だ。
だから彼はヒトラーを人間的に、魅力的に描く。
それは非常に成功していて、読者は著者の目論見どおり物語のヒトラーに共感し、
ヒトラーとともに笑い、そしてふと我に返って当惑する。
私がまさにそうだった。
これはたしかに、危険すれすれの手法かもしれない……………》と。

暮らしの身辺が損なわれ、出口の明かりが見えない時、いつの時代でも人は、
「強い言葉」や、「激しい言葉」に惹かされるのかもしれません。
強い者に共感、共鳴してしまいがちな私たちです。

「ちょっと、立ち止まって考えてみる」
自身のことして、肝に銘じたいと思います。
                              〈ゴマメのばーば〉
コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

申し訳ない思いで。

2016-07-25 06:06:20 | 日記
米軍基地負担を巡る政府と沖縄県の対立は、いっそう深まってしまいました。
テレビに映し出されるヘリパッド移設工事反対の住民の姿、
名護市辺野古移設を巡って、県を相手にした政府の新たな訴訟。
政府のやり方に怒りを覚えますが、沖縄県の皆様に、
これほどの負担をかけていることに対して、申し訳ない思いでいっぱいです。

『さて どうしたもんじゃろのう』
などと、NHK朝ドラのヒロイン常子のセリフを呟いてみても、〈ゴマメのばーば〉に、
いい知恵など浮かんでくるはずもなく…………………………。
とにかく、政府の対応を、目を離さずに注視し続けることが当面大切かと、
自身を納得させてはいます。

先だっての特別集会に来てくださったM牧師は88歳。
まだ、かくしゃくとした方でした。
毎月一回のパンフを発行、平和運動にも しっかりかかわっていらっしゃいます。
とても とても、足元だに及びませんが、見習って行きたいと。

脚の具合も大分良くなったので、教会の帰りに公園へ寄ってみました。
久々に、青空が広がっていました。
気温 25度。
暑くもなく、涼し過ぎることもなく、柳がゆーら ゆーら と風と遊んでいました。
私の心も、ゆーら ゆーら と。

木陰のベンチで、雲を眺め、樹を見つめ、
風の ささやきを感じながら、ゆったりと。

「ポケモン」探しの人は いませんでした。

   『万象』            
                     八木重吉
    人は人であり
    草は草であり
    松は松であり
    椎は椎であり
    おのおの栄えある姿をみせる
    進歩といふような言葉にだまされない
    懸命に、無意識になるほど懸命に、
    各々自らを生きている
    木と草と人と栄を異にする
    木と草はうごかず 人間はうごく
    しかし うごかぬところへ行くためにうごくのだ
    木と草には天国のおもかげがある
    もううごかなくてもいいといふ
    その事だけでも天国のおもかげをあらわしてゐるといえる
コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

どろぼうがっこう

2016-07-24 06:20:45 | 日記
食べ物も、“んっ うまい”と思うと、
何日でも、何回でもたべるクセがある〈ばーば〉です。
そんなわけで、またまた 本日も、かこさとし氏の絵本の おハナシ。
絵本にちなんだ、私の危惧のあれこれなど。

絵本『どろぼうがっこう』シリーズから。
《おいのこもり という、へんな なまえの もりに
きんと ぎんの めをした
へんな みみずくが すんでいました。》

と、お話は始まります。
このお話は、その へんな みみずくが 教えてくれた お話なのです。

山また山の村はずれに、どろぼうがっこうが、ありました。
校長先生の名前は くまさか とらえもん。
「よくはげめ よくねむれ」
をモットーに、勉強に励みますが…………。

ある夜、校長先生を先頭に、生徒たちは遠足に出かけます。

    ぬきあし さしあし
    しのびあし
    どろぼうがっこうの
    えんそくだ
    それ!
    ぬきあし さしあし
    しのびあし
    どろぼう学校の
    えんそくだ………

そして、大きなお屋敷に忍び込みますが、
そこは、刑務所でした。
おそろいで、牢屋に入るはめになってしまいます。

二冊目は『どろぼうがっこう ぜんいんだつごく』
三冊目は『どろぼうがっこう だいうんどうかい』
うんどうかいのプログラムには、
★ドル箱リレー競争
★にせ札わたし競争
★空巣音頭
★ぬき足体操
★刑事発見ゲーム
★その他、応援歌 校歌合唱 などなど

「どろぼうがっこう」の校歌です。
   ♪どろぼうがっこう いいがっこう
    たてものりっぱで おおきくて
    はいってみたら ぶったまげ
    いりぐちないので しのびこみ

    どろぼうがっこう いいせんせい
    やさしくおしえて すてきです
    じしんがおこって ぶったまげ
    にげあしだれより じょうずです

    どろぼうがっこう いいせいと
    クラスはみんな たすけあい
    べんきょうねっしん ぶったまげ
    すきさえあれば ぬすみあい
    ヤア! ヤア! ヤア!(がんばろう!のポーズ)

とにかく、絵も楽しくて、最高!!
でも、「泥棒の勧め」本ではありません。
そして、考えました。

こうした本が「ダメな本」などと、排斥されるような世の中が来なければいいと。
私が子供だった頃は、
〈お国のために、戦争に勝ち抜くための、けなげな愛国少年、 少女像〉
のみが推奨されていましたから。

そういえば、先の参院選で、
《自民党が、公式ホームページで実施していた「学校教育における政治的中立性についての
実態調査」。
作成を指示した木原稔・党文部科学部会長が、19日取材に応じ、
調査終了の理由について「参院選が終わり、一通り(事例が)出尽くした」と述べた。
一部は文部科学省に情報提供して対応を求める考えも示した》
(朝日新聞デジタル7月20日)
と、報じられました。

「政治的介入」と批判の声も出ていた気になる調査でした。

              


コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『へ・め・へ・め・し・こ・し』

2016-07-23 06:34:58 | 日記
昨日のブログに、「かこさとし展」のことなどを記しました。
かこさとし氏の絵本だけでなく、その他の書籍も数冊読んでみましたが、
やっぱり、好きな作家であることを再認しました。

『未来のだるまちゃんへ』(2014.6.25 文芸春秋刊)から、少々の引用を。
  《「はじめに」
   敗戦のとき、僕は十九歳でした。
   僕は「終戦」と言わないで「敗戦」と言うのですが、
   それは戦争に負けて、てのひらを返すように態度を変えた大人たちを見て、
   ものすごく失望憤激したからです。
   その時その時の状況にうかうかと便乗して、戦意高揚を謳ったかと思へば、
   反省のひと言もなく、今度は民主主義の時代が来たと しゃぁしゃぁ喜んでいる。
   なんてだらしなく、浅ましく恥ずかしい人たちだろうと。
   だけど、そう言う自分も、中学二年生の時以来、幼稚な判断で「軍人になろう」と
   思っていたのです。
   誰に言われたからでもない、自分で決めたことでした。》

しかし、氏は近視が進み、軍人にはなれませんでした。
適性のあるものは、特攻となって死んでいったと、語っています。
生き残った自分は、
  《これからを生きていく子どもたちが、
   ちゃんと自分の目で見て、
   自分の頭で考え、
   自分の力で判断し行動する賢さをもってほしい》

そうした経過のなかで、氏は絵本作家となったと、記しています。
氏は、緑内障で左目がほとんど見えず、右目も視野が小さくて、
うっかりすると、家の中でも、どこかにぶつかってしまうとのこと。

でも、氏は、ものごとの捉え方が とっても素敵なんです。
加齢によって生じる おもしろくもない身体の不調を、「長生き病」と呼んだりして。
なんか ほっとしました。

本の中に紹介されていた「へのへのもへじ」と「へめへめしこし」、
私も画いて楽しみました。
新聞チラシの裏の白地に、いくつも いくつも画いてみたのです。
「へめへめしこし」は、目もとパッチリの娘さんに。

児童保育に当たっている若い知人に、
「子供たちにも、〈へのへのもへじ〉や〈へめへめしこし〉を いろんなバージョンで
画かせてみれば、けっこう楽しいかもよ」
と奨めてみました。
「ダメダメ」
と、一笑に付されました。

『ポケモンGO』について、菅官房長官が、記者会見で注意を促すご時世です。
〈へのへのもへじ〉なんて、おもしろがるはずはありません。
知人は、「化石」からの提言みたいに受け取ったかもしれません。

スーパーのチラシの裏に画いた〈ばーば〉の作品です。

              
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

だまって、きりりと口を結び、

2016-07-22 22:14:48 | 日記
特別企画展『かこさとしの世界』(8月21日まで)展へ行ってきました。
こおりやま文学の森資料館で開かれています。

かこさとしさんは、私の好きな絵本作家の一人。
1960年代に出版された「だるまちゃんとてんぐちゃん」や「だるまちゃんとかみなりちゃん」は、
我が家の子供たちも大好きで、よく読み聞かせをしていました。

かみなりちゃんの住む町のあらゆるものが〈かみなり型〉になっていて、
“あっ、ここにも、ここにも、”
かみなりマークを見つけては、親子ではしゃいでいたものでした。
懐かしさもあったのでしょうか、50歳を越した娘と息子も、観てきたようです。

こおりやま文学の森資料館の敷地内には、鎌倉にあった久米正雄邸が
移築復元されていて、内部も公開され、資料の展示等がなされています。
梅雨の晴れ間の柔らかい日差しの入るレファレンスルームで、
私は、ひとり ゆったり、と展示されていた『矢村のヤ助』を味わいました。

   《むかし
    山に かこまれた
    山の村 矢村に、
    ヤ助という
    おやこうこうの
    わかものが、
    としをとって
    あるけなくなった
    おっかさんと
    すんでいました》

ある年の暮れ、や助は、一羽の山鳥のいのちを助けます。
年が明けて、アカネという きれいな娘が や助の家を訪れます、
やがて二人は一緒になり…………………………、
ここまでは、よくある異類婚の おはなし。

やがて、村には悪い鬼が現れて、村人を苦しめます。
アカネは、自分が いのちをたすけてもらった山鳥であることを ヤ助に打ち明け、
自分の羽で、強い矢を作り 鬼を退治するようにと ヤ助に頼みます。
アカネは、十三ふしの尾羽を残して去っていきました。

や助は、あずさの木でつくった つよい弓を きりっきりっとひきしぼり
「やーつ!」
と、十三ふしの山鳥の矢を射、鬼を退治しました。

しずかになった村で、
ヤ助とおっかさんも、以前の様に、二人だけの暮らしになりました。
山の畑には、日がてり、風がふき、雲が流れて……………。

   《ときおり みじかいしっぽの メスの山鳥が
    そばに あそびにきたりします。

    あぜにすわった おっかさんは それに きづくと
    かならず そのこえや すがたに ほほえみ
    りょうてを あわせました。

    しかし ヤ助は
    口をきっと むすんだまま、
    だまって いっしんに
    クワを うちつづけていたということです。

    山ぐに、矢村のヤ助のおはなしは
    これで おしまいです。
    さようなら。》

だまって、きりりと口を結び、クワを振り上げている や助の姿。
悲しみを、全身で こらええているヤ助と一緒に、
わたしは、泣きました。

悲しいような、うれしいような涙を、
ポロポロと、
ポロポロと、
とても とても贅沢な時の流れの中で、
ポロポロと。
(「矢村のヤ助」かこさとし著・2014.3.31 かこさとし米寿記念出版・非売品)

                   -->
コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする