ひとこと・ふたこと・時どき多言(たこと)

〈ゴマメのばーば〉の、日々訪れる想い・あれこれ

新緑の道を歩いていると

2014-05-25 07:32:32 | 日記
【………新緑の道を黙々と歩いていると、ひととの関係の中でつくられた「わたし」が消えてゆき、
自然に還(かえ)ってゆく者としての「わたし」がかすかに意識されるだけになってきた。】
                     (南木佳士 2010・5・21福島民報「彩雲」)

桜の樹の下で手帳を開いたら、上記の抜き書きが目に留まりました。
あぁ、この抜き書きをした季節もこの季節だったのだと、改めて私の好きな作家の
一人である南木佳士さんのことを思い出したのです。

私も、新緑のなかを歩いていると、〈ひととの関係のなかでつくられた わたし〉が、
薄れていくのを覚えます。
それは、安らかな快感と言えるかもしれません。
人は、ひとと、ひととの間で生きて行くものではありますが、疲れてくると 
やっぱり独りになりたくなるのでしょう。

日々、若葉を広げて行く5月の緑の中にいると、怒りも、しばしなりをひそめ、
悔しさなども、紗がかかったように薄らいでいくのが分かります。
〈どうってことないよ、そんなこと、どうってこと〉
という声が、どこからか聞こえてくるのです。

そのままブラブラ歩いていきますと、今まで聞こえなかった様々な息吹が充ち満ちていて、
いのちの気配が身体じゅうに響いて来るのです。
と、心が歌いだします。
懐かしい唱歌のメロディとなって、ハミングとなるのです。

初夏へ。
やっぱり 好きな季節です。
青葉になった桜の木の下をひとり歩いていると、ちょっと自分が好きになったりもします。

私のミニ旅は、出歩いた距離とは無関係です。
数キロしか離れていない隣町のこともあり、新幹線を乗り継いで、
一日で東北をぐるりと、一巡りすることなどもあるのです。

つまり、今置かれている日常というものから、ちょっぴり 離れて心を散歩させる、そんな旅。
だから、一人旅と言うことになるのでしょう。
                                    
                                 〈ゴマメのばーば〉
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