『ススメ ススメ ヘイタイ ススメ』（進め、進め、兵隊進め。）

６日は小中学校の入学式でした。
７２年前、私は国民学校(現在の小学校)に入学しました。
保護者として付き添って行ったのは長兄でした。
母も健在でしたが、私は兄が大好きだったからです。

長兄は東京の「デンシンデンワキョク」と言う所へ就職することになっていて、
四月半ばには家を離れることに決まっていました。
ですから、少しでも、兄と一緒に居たいという思いが
「入学式には兄ちゃんと行く」
と言った本当の理由でした。

　　『ヨミカタ』(国語)の教科書は、
　　　アカイ　アカイ
　　　アサヒ　アサヒ

　　　ハト　コイ　コイ
　　　コマイヌサン　ア　コマイヌサン　ウン

　　　ヒノマルノ　ハタ　バンザイ
　　　ヘイタイサン　ススメ　ススメ　
　　　チテチテタ　トテチチタテタ
　　　…………………
で始まります。

兄の時は、
　　　サイタ　サイタ　サクラガ　サイタ（咲いた、咲いた、桜が咲いた。）
　　　コイ　コイ　シロ　コイ（来い、来い、シロ［犬の名］来い。）
　　　ススメ　ススメ　ヘイタイ　ススメ（進め、進め、兵隊進め。）
　　　オヒサマ　アカイ　アサヒガ　アカイ（お日様赤い、朝日が赤い。）
　　　ヒノマルノハタ　バンザイ　バンザイ（日の丸の旗、万歳、万歳。）

大正生まれの姉は
　　　ハナ　ハト　マメ
と、習いました。
日本の国の当時の政治社会を、よく反映している教科書内容です。

長兄は予科練を志望していたのですが、私と同じく、月足らずで生まれたせいか、
身長が平均に及ばず合格できませんでした。
でも、孫・ひこ、にも恵まれ、８年ほど前に亡くなりました。
予科練習生になれなかったことは、幸いだったのかもしれません。

朝、保護者に連れられた小学校への新入学生が、家の脇の道を何組も通って行きました。
一人の入学児童に、親二人、じい　ばあ、同伴と言うケースも見受けられます。
それぞれの、晴れ着姿を見ますと、胸が熱くなる思いです。

『おはようございます』
言葉をかけますと、ママからも、パパからも、にっこりと、
『おはようがざいます』
が返って来ます。
おばあちゃんは、
『ありがとうございます』と。
おじいちゃんは、やや照れくさそうな会釈のみ。

平和な光景です。
嬉しい光景です。

国語の教科書の、初めには、どんな文章が載せられているのでしょう。
ススメ　ススメ　ヘイタイ　ススメ（進め、進め、兵隊進め。）
そうした内容の教科書にだけは、なってほしくないと思います。

『１９４５年４月１日』
米軍が沖縄本島に上陸、沖縄戦が始まった日。
『１９４５年４月６日』
史上最大の戦艦『大和』、沖縄に向け山口県を出港。
『総員死ニ方用意』
そう書かれた黒板が砲塔に掲げられ
戦艦大和は１９４５年４月７日、米軍の猛攻を受けて沈没し、約３０００人が戦死した。
と、歴史は伝えています。

そして、現在、安倍政権は、「辺野古移設反対」の沖縄県民の民意を無視して
移設を強行しています。

『２０１５年４月６日』
各地で、小中学校の入学式でした。
平和を祈ります。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　〈ゴマメのばーば〉