ひとこと・ふたこと・時どき多言(たこと)

〈ゴマメのばーば〉の、日々訪れる想い・あれこれ

「見も知らぬ配達人が」

2014-05-19 07:38:53 | 日記
キップを買いにJRの駅まで行きました。
帰りに、時々訪れる喫茶店へ。
窓の外を通り過ぎる若者、リックを背負った元気な高齢者などを見るともなく眺め、ゆっくりとコーヒーの香りを楽しみました。
そういえば、このところ、忙し過ぎたのです。
だから、楽しんだのは、コーヒーだけでなく、ゆったりとした時間だったのかもしれません。

「もっと、ゆっくり生きなければ………」などと思いながら、先刻買った「キップ」を取り出して眺めました。

「キップ」という言葉の響きが好きです。
手にとって眺めるのも好きです。
行き先が印字された さもない紙きれですが、
何かしら新しいものとの出会いの予感すら感じさせてくれますから。

     『キップ』
      はじめてのキップは、
      たしか
      母が預かったはず
      一つ身の晴れ着の袂にでも
      しまいこんでしまったのだろうか

      招待はしないのに
      見も知らぬ配達人が
      誕生日に欠かさずやって来て
      キップを置いていく
      キップの表には年齢が記されていて
      数字の若いキップの裏には
      おめでとう と太文字で
      おじい様 おばあ様の口添えも一緒に
      二十枚目は
      自覚と責任
      大人への通行手形

      四十枚目の このキップには
      おめでとうの文字が
      薄く書かれていて
      健康管理のことなど

      キップ配達人は
      どこからやって来るのか
      発行責任者も記されていないのに
      書きこまれている数字は
      万国共通の
      公文書用数字なのだが

こんな詩などを書いていた頃、「四十枚目」のキップが届けられてから、倍近い歳月が過ぎて行きました。
来る年も、来る年も、間違いなく、「見も知らぬ配達人」がやって来て、「歳」のキップを置いて行ってくれたのです。
少し かすれてきた「おめでとう」の文字の脇に、「ありがとう」の文字を書いて、
「明日」へ投函するつもりです。

明日、一人で、小さな旅に出ます。
                                 〈ゴマメのばーば〉

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