昨年10月に槇原敬之に対して歌詞が盗作だと主張していた松本零士だが、自身はこんなことをやっていたのか。
松本零士が近年著作権がらみでおかしな行動をしているとは聞いていたが、例えばこういうことか。知らなかった。
宇宙戦艦ヤマト「ありふれた表現」 著作権侵害認めず(朝日新聞) - goo ニュース
《アニメ「宇宙戦艦ヤマト」に登場する戦艦や人物に似たキャラクターを配したパチンコなどの映像が著作権を侵害しているかどうかが争われた訴訟で、東京地裁は27日、販売差し止めなどを求めた映像制作会社側の訴えを退け、遊技具メーカー側の勝訴判決を言い渡した。清水節裁判長は「宇宙空間を背景に先端部の発射口から光線を発する飛行物体を描いた映像などは、特に目新しい表現ということはできない」と述べた。
問題となったのは、遊技具製造大手の三共(群馬県桐生市)などが製造したパチンコやパチスロなどに使用された映像。「大ヤマト」のタイトルで、宇宙空間を飛行する戦艦や軍帽を目深にかぶった熟年の艦長が登場する。原告側は「宇宙戦艦ヤマトや沖田十三艦長をまねたものだ」と主張していた。
清水裁判長は「宇宙を戦艦が飛行することはアイデアにすぎず、著作権法の保護対象ではない」と指摘。宇宙戦艦ヤマトの外観は、艦首に発射口があることを除けば、戦艦大和のプラモデルにも似ているとして、「ありふれた表現だ」と述べた。
また、乗組員などの人物について「アニメの登場人物は顔や服装などの細部の違いで相当に異なった印象を受ける」と指摘し、著作権の侵害は認められないとした。
(後略)》
新聞報道には松本零士の名はないが、「大ヤマト」には松本零士が関与している。
というより、著作権問題で自分の自由にならない「宇宙戦艦ヤマト」に代わる、松本版ヤマトが「大ヤマト」と考えてよいようだ。
もともと、松本零士の「新宇宙戦艦ヤマト」というマンガを原作としてアニメ化が予定されていたが、それが諸般の事情で頓挫したため、代わりに、「宇宙戦艦ヤマト」とは全くの別作品である、松本零士オリジナルの「ヤマト」として「大ヤマト零号」というアニメが制作されたという。そしてこの作品を三共がパチンコで使用した。この三共を、現在「宇宙戦艦ヤマト」の著作権を持つ東北新社(上記記事の「映像制作会社」)が訴えたのがこの裁判だそうだ。
以前、「ヤマト車検」の看板を見て驚いたことがあるが、あれもこの「大ヤマト」のキャラクターだそうだ。
「大ヤマト零号オフィシャルサイト」を見る限り、確かに別作品なのだろう。キャラクターもメカニックも、似ていることは似ているが・・・。
「大ヤマト零号」のアニメ(DVDで3巻まで出て、中断しているという)の内容については、「ビバ! びでお」というサイトにレビューがある。
今回の裁判は、三共のパチンコ「大ヤマト」が「宇宙戦艦ヤマト」の著作権を侵害しているか否かが問われたもの。
「ありふれた表現」という言葉には大変違和感を覚えるが、一応別物である以上、たしかに著作権侵害を認めるには難しいのだろう。
しかし、どうにも釈然としない。というか見苦しいふるまいだと思う。
これって、例えば大河原邦男が「ザ・アニメージ」のメカデザインをするようなもんじゃないのか?(古いたとえだが)
こんなことをしていては、古くからのファンを遠のかせるばかりだと思うがなあ。
いろいろ調べていると、「きむずか」というブログの「松本零士は自分の作品をパクったのか? 」という記事に、この件について私などよりはるかに詳しくかつわかりやすく書かれているので、興味のある方は参照してください。三共の「大ヤマト」の画像もこちらで見られます。
この「きむずか」の記事に興味深い箇所がある。
《◆東北新社 敗訴
この敗訴の内容が東北新社にとっては痛いです。
WEB 上では、トンデモ判決のみに焦点が当たっていますが、
判決は、
「ちょっと違うんだからパクリではない」
「SF作品なんだから少しくらい似るだろう」
という主旨ではありません。
西崎氏が「旧ヤマト」の製作者であるか否か。
否→オフィス・アカデミーという会社の製作であり、
西崎氏個人の製作ではない。
西崎氏から譲渡された権利は有効か無効か。
無効→製作会社を差し置いて、そもそも製作者でない
一個人からの譲渡はありえない。
パクリかどうかの審議はおまけです。
遊戯台の回収・損害賠償どころか、権利がないと判決が下りました。
やぶへびです。上告必須でしょう。》
だとすると、確定していたはずの、東北新社が「宇宙戦艦ヤマト」の著作権を有するということ自体が、揺らいでいるということになる。判決文は読んでいないので、詳細はわからないが。
今後の松本零士や西崎義展による「ヤマト」の展開にはさして興味はないが、版権問題がこじれると、過去の作品までが「封印作品」になりかねないので、注目していく必要はありそうだ。
なお、「宇宙戦艦ヤマト」自体の著作権については、これも経緯が大変複雑なようだが、「「宇宙戦艦ヤマト」の権利関係」というサイトがとても参考になる。特にこの中の 「「宇宙戦艦ヤマト」著作者裁判の関連リンク集」は秀逸。
その他参考にしたサイト
ポリスジャパン「日本が誇る巨匠松本零士を巡る噂話 2 」
ウィキペディアの「松本零士」「宇宙戦艦ヤマト」「新宇宙戦艦ヤマト」「YAMATO2520」の項
松本零士が近年著作権がらみでおかしな行動をしているとは聞いていたが、例えばこういうことか。知らなかった。
宇宙戦艦ヤマト「ありふれた表現」 著作権侵害認めず(朝日新聞) - goo ニュース
《アニメ「宇宙戦艦ヤマト」に登場する戦艦や人物に似たキャラクターを配したパチンコなどの映像が著作権を侵害しているかどうかが争われた訴訟で、東京地裁は27日、販売差し止めなどを求めた映像制作会社側の訴えを退け、遊技具メーカー側の勝訴判決を言い渡した。清水節裁判長は「宇宙空間を背景に先端部の発射口から光線を発する飛行物体を描いた映像などは、特に目新しい表現ということはできない」と述べた。
問題となったのは、遊技具製造大手の三共(群馬県桐生市)などが製造したパチンコやパチスロなどに使用された映像。「大ヤマト」のタイトルで、宇宙空間を飛行する戦艦や軍帽を目深にかぶった熟年の艦長が登場する。原告側は「宇宙戦艦ヤマトや沖田十三艦長をまねたものだ」と主張していた。
清水裁判長は「宇宙を戦艦が飛行することはアイデアにすぎず、著作権法の保護対象ではない」と指摘。宇宙戦艦ヤマトの外観は、艦首に発射口があることを除けば、戦艦大和のプラモデルにも似ているとして、「ありふれた表現だ」と述べた。
また、乗組員などの人物について「アニメの登場人物は顔や服装などの細部の違いで相当に異なった印象を受ける」と指摘し、著作権の侵害は認められないとした。
(後略)》
新聞報道には松本零士の名はないが、「大ヤマト」には松本零士が関与している。
というより、著作権問題で自分の自由にならない「宇宙戦艦ヤマト」に代わる、松本版ヤマトが「大ヤマト」と考えてよいようだ。
もともと、松本零士の「新宇宙戦艦ヤマト」というマンガを原作としてアニメ化が予定されていたが、それが諸般の事情で頓挫したため、代わりに、「宇宙戦艦ヤマト」とは全くの別作品である、松本零士オリジナルの「ヤマト」として「大ヤマト零号」というアニメが制作されたという。そしてこの作品を三共がパチンコで使用した。この三共を、現在「宇宙戦艦ヤマト」の著作権を持つ東北新社(上記記事の「映像制作会社」)が訴えたのがこの裁判だそうだ。
以前、「ヤマト車検」の看板を見て驚いたことがあるが、あれもこの「大ヤマト」のキャラクターだそうだ。
「大ヤマト零号オフィシャルサイト」を見る限り、確かに別作品なのだろう。キャラクターもメカニックも、似ていることは似ているが・・・。
「大ヤマト零号」のアニメ(DVDで3巻まで出て、中断しているという)の内容については、「ビバ! びでお」というサイトにレビューがある。
今回の裁判は、三共のパチンコ「大ヤマト」が「宇宙戦艦ヤマト」の著作権を侵害しているか否かが問われたもの。
「ありふれた表現」という言葉には大変違和感を覚えるが、一応別物である以上、たしかに著作権侵害を認めるには難しいのだろう。
しかし、どうにも釈然としない。というか見苦しいふるまいだと思う。
これって、例えば大河原邦男が「ザ・アニメージ」のメカデザインをするようなもんじゃないのか?(古いたとえだが)
こんなことをしていては、古くからのファンを遠のかせるばかりだと思うがなあ。
いろいろ調べていると、「きむずか」というブログの「松本零士は自分の作品をパクったのか? 」という記事に、この件について私などよりはるかに詳しくかつわかりやすく書かれているので、興味のある方は参照してください。三共の「大ヤマト」の画像もこちらで見られます。
この「きむずか」の記事に興味深い箇所がある。
《◆東北新社 敗訴
この敗訴の内容が東北新社にとっては痛いです。
WEB 上では、トンデモ判決のみに焦点が当たっていますが、
判決は、
「ちょっと違うんだからパクリではない」
「SF作品なんだから少しくらい似るだろう」
という主旨ではありません。
西崎氏が「旧ヤマト」の製作者であるか否か。
否→オフィス・アカデミーという会社の製作であり、
西崎氏個人の製作ではない。
西崎氏から譲渡された権利は有効か無効か。
無効→製作会社を差し置いて、そもそも製作者でない
一個人からの譲渡はありえない。
パクリかどうかの審議はおまけです。
遊戯台の回収・損害賠償どころか、権利がないと判決が下りました。
やぶへびです。上告必須でしょう。》
だとすると、確定していたはずの、東北新社が「宇宙戦艦ヤマト」の著作権を有するということ自体が、揺らいでいるということになる。判決文は読んでいないので、詳細はわからないが。
今後の松本零士や西崎義展による「ヤマト」の展開にはさして興味はないが、版権問題がこじれると、過去の作品までが「封印作品」になりかねないので、注目していく必要はありそうだ。
なお、「宇宙戦艦ヤマト」自体の著作権については、これも経緯が大変複雑なようだが、「「宇宙戦艦ヤマト」の権利関係」というサイトがとても参考になる。特にこの中の 「「宇宙戦艦ヤマト」著作者裁判の関連リンク集」は秀逸。
その他参考にしたサイト
ポリスジャパン「日本が誇る巨匠松本零士を巡る噂話 2 」
ウィキペディアの「松本零士」「宇宙戦艦ヤマト」「新宇宙戦艦ヤマト」「YAMATO2520」の項