トラッシュボックス

日々の思いをたまに綴るブログ。

光華寮裁判の報道を読んで

2007-01-25 00:18:17 | 事件・犯罪・裁判・司法
 昨日の『朝日新聞』の1面トップに、光華寮裁判の記事が出ているのを見て驚いた。

中台因縁の「光華寮」明け渡し訴訟決着へ 提訴後40年(朝日新聞) - goo ニュース

 この裁判のことは、はるか昔に聞いた覚えがあるが、まだ続いていたのだな。もうとっくに決着のついた問題だと思ってた。
 中国が抗議したことは当時も大きく報道されたが、それを受けてその後訴訟は棚上げされていたのだな。

 上でリンクしたネット上の記事には載っていないが、新聞紙上の記事には長文の「解説」が付いている。その見出しは
《「中国が代表」進む通説化》
というもので、文中には
《高裁判決当時は、国際政治学でも、領土の実効支配が残り新政府が完全に承継したわけではなく、「二つの中国」だとする学説が有力だった。
 (中略)
 しかし、中国の経済成長などを背景に、中国国民を代表するのは中華人民共和国だとする見方が一般化。今回の審理入りは、こうした現状を踏まえたものとみられる。》
とある。
 ほんとかなあ。
 私は高裁判決当時のことは一応覚えている。そのころ既に、「中国国民を代表するのは中華人民共和国だ」という見方が一般的だったと思うがなあ。日中平和友好条約がその立場をとっているのだし。国連も中華民国を追い出して中華人民共和国を迎え入れたわけだし。

 この裁判は、「一つの中国」か「二つの中国」かとか、どちらが正統かといった問題ではなく、日本が承認していない国家が、日本において財産権を主張しうるかどうかという点が争点となっていたように思っていたのだが、私の勘違いだったのだろうか。時間がなくて今調べられないが。
 もし、この記事が言うように、最高裁が「一つの中国」の立場に立って原告を中華民国(台湾)から中華人民共和国に変えるのなら、司法の場で「政治決着」を試みるようなもので、一国の最高裁にふさわしくないふるまいだと思う。

 上記の「解説」には、
《一方で、最高裁第二小法廷は戦時中の中国人強制連行をめぐる訴訟で(中略)中国人原告側を敗訴させる見通しだ。》
とあるので、なおさら取り引きめいたものを思わせる。

 なお、ネット上での記事のタイトルは上記のとおりだが、紙上では、まず
《「光華寮」最高裁判断へ》
とあり、その左上に横書きで
《台湾が原告、日中の火種》
とある。
 何やら台湾が原因で日中双方が迷惑をこうむっているかのような言い方だなあ。