民族学入門―諸民族と諸文化 (1963年) (現代教養文庫) 価格:(税込) 発売日:1963 |
この本は、元フランクフルト大学の民族学者、アドルフ・エルガート・イエンゼン(Adolf Ellegaard JENSEN)[1899-1965]さん等によって書かれた民族学の入門書です。1959年にドイツのミュンヘンのバイエルン放送局で行われた連続講演が元になっているそうです。元東京大学の民族学者・大林太良[1929-2001]さんと元順天堂大学の鈴木満男さんによる訳で、1963年に現代教養文庫として、社会思想社から出版されました。
本書の内容は、以下のように、全12章からなります。
- 民族学の方法と目的(アドルフ・E・イエンゼン)
- 最も古い時代の生活形態(マインハルト・シュースター)
- シャーマンとその儀礼(マインハルト・シュースター)
- 初期農耕・経済と世界像(ヘルムート・シュトラウベ)
- 石造記念物と死者崇祀(アイケ・ハーバーラント)
- 牧畜民と遊牧民(ヘルムート・シュトラウベ)
- 聖なる王国(アイケ・ハーバーラント)
- 古代ペルー:ある高文化の例(カーリン・ヒッシンク)
- 人間集団の初期の形態(ギーゼラ・オーダーマン)
- 自然民族と西洋との対決(ギーゼラ・オーダーマン)
- 民族学と先史学(ギュンター・シュモラ)
- 現代における民族学(ヘルマン・ニッゲマイアー)
本書のアドルフ・エレガート・イエンゼンさんは、1899年にドイツのキールで生まれました。しかし、第一次世界大戦に徴兵されます。1919年にキール大学とボン大学で、数学・自然科学・哲学を学び、1922年に博士号を取得しました。やがて、レオ・フロベニウス(Leo FROBENIUS)[1873-1938]に出会い、1923年にはミュンヘン大学の助手に就任します。1925年にはフロベニウスと共に、フランクフルトに移籍し、アフリカ調査を行いました。1936年にはフランクフルトの人類学博物館館長に就任しています。1938年にフロベニウスが死去すると、本来は、イエンゼンが後継者となるはずでしたが、当時台頭してきたナチスに入党しなかったために第二次世界大戦には兵士として戦線に送られてしまいました。イエンゼンは、1945年にようやくフランクフルト大学の教授として復帰します。その後主にアフリカのフィード調査を行いました。