人類学のススメ

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ニホンザルの本39.食べる速さの生態学

2011年02月25日 | M3.霊長類の本:ニホンザル[Japanese M
食べる速さの生態学―サルたちの採食戦略 (生態学ライブラリー) 食べる速さの生態学―サルたちの採食戦略 (生態学ライブラリー)
価格:¥ 2,205(税込)
発売日:2002-05

 この本は、京都大学の中川尚史さんが、主にニホンザルが食物を食べる速さについて書いたものです。副題には、「サルたちの採食戦略」とあります。1999年に、生態学ライブラリー4として、京都大学学術出版会から出版されました。

 本書の内容は、以下のように、全7章からなります。

  1. さまざまな出会い
  2. 生息環境の質を表す尺度としての採食速度
  3. 食物パッチの質を表す尺度としての採食速度
  4. 食物の質を表す尺度としての採食速度
  5. 食物摂取量を推定する尺度としての採食速度
  6. 採食速度の個体差
  7. 社会に影響を及ぼす採食速度

 著者の中川尚史さんは、ご自分の専門を「採食生態学」とされています。本書の第7章には、「速く食べることができれば、必要なカロリーや栄養素を摂取するのに時間がかからず、採食時間が短く済む。採食時間が短く済めば、残った時間を自由に使える。・・・(中略)・・・群れを作る霊長類の場合には、群れの個体同士のお付き合いの時間も必要だ。・・・(中略)・・・実際サルを観察しているとただ何もせずにじっと休んでいる時間が、かなり多い。・・・(中略)・・・休息は他のどんな行動よりもカロリー消費量の少ない行動であるから、採食時間を短くすることが休息時間を長くとることにつながれば、その分カロリーを節約することもできそうだ。」と書かれており、興味深い考察だと思いました。

Nakagawa1999


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