地蔵菩薩三国霊験記 4/14巻の1/13
地蔵菩薩三國霊験記巻之四目録
- 一、地蔵菩薩因位長者の子と為りて誓願し玉ふ事。
- 二、同じく母の苦を救ひ給ふ因縁の事。
- 三、偈を教て苦を救ひ給ふ事。
- 四、放生して感應を得る事。
- 五、夢中に説法したまひ得心する事。
- 六、一遍上人生死を示し給ふ事。
- 七、袈裟を勧め女人の罪を救ひ給ふ事。
- 八、少女利生を得る事。
- 九、急難を救ひ給ふ事。
- 十、檀那を葬り恥を隠し給ふ事。
- 十一、火難に力を合わせ給ふ事。
- 十二、田植施主を助給ふ事。
- 十三、江州木本地蔵の霊験。
地蔵菩薩三國霊験記巻之四
一、 地蔵菩薩因位長者の子と為りて誓願し玉ふ事。
地蔵菩薩過去不可思議劫前に於いて身は大長者の子の子となり給ふ時に、世に佛有り。師子奮迅具足万行如来と申し奉る。時に長者の子、佛の相好の千福荘厳したまへるを見て因って彼の佛に問奉るやう、何なる行願を作して而も此の相を得給ふやと。時に師子奮迅具足万行如来、長者の子に告げ玉はく、此の身を證せんとをもはば當に須らく久遠に一切受苦衆生を度脱すべし云々(地藏菩薩本願經卷上・忉利天宮神通品第一「是地藏菩薩摩訶薩。於過去久遠不可説不可説劫前。身爲大長者子。時世有佛號曰師子奮迅具足萬行如來。時長者子見佛相好千福莊嚴。因問彼佛。作何行願而得此相。時師子奮迅具足萬行如來。告長者子。欲證此身當須久遠度脱一切受苦衆生。」)時に長者の子因(よって)願を発て言く、我今より未来際の不可計劫を盡してあらゆる是の罪苦、六道の衆生ひろく方便を設けてことごとく解脱せしめて而も我自身まさに佛道を成ぜん云々(地藏菩薩本願經卷上・忉利天宮神通品第一「是地藏菩薩摩訶薩。於過去久遠不可説不可説劫前。身爲大長者子。時世有佛號曰師子奮迅具足萬行如來。時長者子見佛相好千福莊嚴。因問彼佛。作何行願而得此相。時師子奮迅具足萬行如來。告長者子。欲證此身當須久遠度脱一切受苦衆生」)。是を以て彼の佛の前にをいて斯く大願を立て、今に百千万億那由多不可説劫に尚神通自在にして済度無辺なり。誠に頼るべき本願、仰ぐべきは利生なる者をや。