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福聚講

平成20年6月に発起した福聚講のご案内を掲載します。

往生兜率密記(無量壽院尊海)・・3

2021-03-03 | 阿字秘釈和訳

往生兜率密記(無量壽院尊海)・・3

巻上内院荘厳第二

上生経に曰く、爾の時に此の宮に一の大神有り。牢度跋提と名く。即ち坐よりたちて偏く十方の仏を礼して弘誓願を発す。若し我が福徳弥勒菩薩の為に善法堂を造るに応んには、我が頂上に自然に珠を出さしめん。願を発し已って額上に自然に百億の宝珠を出す。瑠璃・玻璃一切の衆色具足せずと云ふことなし。紫紺摩尼の如し。表裏暎徹す。此の摩尼珠空中に廻旋して化して四十九重の微妙の寶宮となる。(頼瑜記に曰く、四十九重摩尼宝殿とは四方各十二宮、即四十八重院なり。中央に大摩尼殿あり。弥勒菩薩説法院云々。四十九院一一の名字は世間に流布の如し)。一一の欄楯萬億の梵摩尼寶の共に合成する所なり。諸の欄楯の間より自然に九億の天子五百億の天女を化生す。一一の天子の手の中より無量億萬の七寶の蓮華を化生す。一一の蓮華の上に無量億の光有り。其の光明の中に諸の楽器を具す。如是の天楽鼓たざるに自ら鳴る。此の聲出るとき、諸女自然に衆の楽器を執り競ひ起りて歌舞し詠歌する所の音に十善四弘誓願を演説す。諸天聞く者皆無上道心を発す。時に諸園の中に八色の瑠璃渠有り。一一の渠に五百億の宝珠ありて用て合成す。一一の渠の中に八味の水有り。八色具足す。其の水上湧して梁棟の間を繞る。四門の外に於いて四華を化生す。水花中より出て寶花の流るが如し。

一一の花の上に二十四の天女あり。身色微妙にして諸菩薩の荘厳せる身相の如し。手中に自然に五百億の寶器を化す。一一の器の中に天の諸の甘露自然に盈滿す。左の肩に無量の瓔珞を荷佩し、右の肩に復無量の楽器を負ふ。雲の如く空に住す。水より出て菩薩の六波羅蜜を讃嘆す。若し兜率天上に往生する者有れば自然にこの天女御を得。天女は寶類に非ず。佛菩薩化して為る所なり。亦七寶の大獅子坐あり。高さ四由旬。閻浮檀金の無量の衆寶以て荘厳と為す。坐の四角の頭に四蓮華を生ず。一一の蓮華百寶の所成なり。一一の寶より百億の光明を出す。その光微妙にして化して五百億の衆寶の雑華と為って寶帳を荘厳す。時に十方面の百千無数の天子天女の眷属、各寶華を持して以て坐の上に布く。此の諸の華花自然に皆五百億の寶女を出す。手に白拂を執て帳内に侍立す。時に宮の四角に七寶の柱有り。一一の寶柱に百千の楼閣有り。梵摩尼珠を以て交絡となす。時に諸の閣の間に百千の天女あり。色微妙無比なり。手に楽器を執る。その楽の音の中に苦空無常無我の諸波羅蜜を演説す。是の如く天宮に百億の無量の寶色あり。一一の諸女亦寶色に同ず。その時に十方無量の諸天命終して皆願って兜率天宮に生ず。

(已上、疏、具に内院の造りを言ふ。已下、五大神内外宮に於いて種々厳飾を明らかに釈す。)

時に兜率天宮に五大神あり。第一神を名て寶憧と曰ふ。身より七寶を雨ふらし、宮垣の内に散ず。一一の寶花化して無量の楽器と成り虚空中に懸かり鼓たざるに自ら鳴る。無量の音あり。衆生の意に適ふ。二大の大神を名て花徳といふ。身より衆花を雨ふらし、宮垣に彌覆す。化して華蓋となる。一一の花蓋に百千の憧旗あり。以て引導と為す。第三の大神を名けて香音といふ。身の毛孔の中より微妙の海此岸栴檀香を雨出す。(疏に海此岸栴檀香は娑婆世界では六銖の価値あり。)其の香、雲の如く百寶の色となって宮を遶こと七匝。第四の大神を名けて喜楽といふ。如遺宝を雨ふらす。一一の寶珠自然に憧旗のうえに住在して無量の帰依佛帰依法帰依僧を顕説し及び五戒無量の善法諸波羅蜜を説て菩提音者を饒益し勧助す。第五の大神を名て正音声といふ。身の種の毛孔より衆水を流出す。一一の水上に五百億の華あり。一一の華上に二十五の玉女あり。一一の玉女の身の毛孔より一切の音声を出す。天魔后の所有の音楽に勝れたり。仏優波離に告げたまはく、此れを兜率天と名く。十善の報応勝妙の福處なり。若し我れ世に住むこと一小劫の中に広く一生補處の菩薩の報応及び十善の果を説く者は窮盡すること能はず。今汝らが為に略して解説す。乃至一一に兜率陀天上の上妙の快楽を思惟すべし。この観を作すものを名けて正観者と為す。若し他観の者名けて邪観と為す。乃至兜率陀天上に乃し如是の極楽の妙事あり。疏に曰く、弥勒の為に弟子と作るべき者は、上の所説の天宮處所に於いて、是の観を作すべし云々。

已上皆これ常途の説なり。若し深秘の本説に依らば、慈氏菩薩の儀軌に云く、我今略して一生補處の菩薩を観ることを説く、知足天上に於いて諸菩薩集会したまひふ。観ぜよ、一生補處の菩薩の頂上に十方一生補處の菩薩あり。諸仏の集会も亦復是の如し。且く一世界を観じて一曼荼羅會と為し、弥盧の山頂において有頂に至り、下も金輪際に及ぶまで、一道場宮と為す。知足宮を中心となす。中心を三重にせよ。圓曼荼羅に為し、外の両重をば方曼荼羅とせよ。中心を第一の圓内に、更に五の圓を分かつ。四隅には四の半月皆五尊を置く。一一の界道に寶柱を以てす。上に法界塔印を置く。其の中に円明の外の佛は外に向かって十方の本有法身を禮す。又円明の内の慈氏如来は我が本有法身の佛を禮す。第二院には十方諸仏雲集の儀を置く。皆袈裟の角を執る印なり。第三院には諸大菩薩雲集の像を置く。其の佛皆左手に袈裟の角を執って金剛拳を為し臍下に置く。右手は臂を曲げて嬭の上に置く。五指をのべて掌を颺あげる。第四院の方壇には十方の諸仏、菩薩及び二侍者、八大菩薩、各二侍者、八大明王幷に諸の侍者、悉地仙の衆、幷に侍者、八大声聞及び四大縁覚等の衆、皆本法によって之を画け。第五の院には上の曼荼羅に准じて二十八天及び諸の三十三天、十方結護の天神王等を置け。又七曜二十八宿十二宮辰を置け。本像の法に依って次第に如法に之を画け。皆本印契を執る。乃至七金山の間に甘露香水などの海あり。其の中に諸聖而も居たり。又諸の金山の中に従って皆諸の賢聖あり。地前の四十心の賢聖、十住十信十廻向十行等、大独覚衆幷に諸の大阿羅漢衆、四果の聖人衆、諸の天竜王等の衆、阿修羅(あしゅら),・迦楼羅(かるら)(金翅鳥で竜を食う)・緊那羅(きんなら)(角のある歌神)・摩ご羅迦(まごらか)(蛇の神)・人及び、遍く七金山中に満つ。空閑ところとして無し。皆是宮殿なり。其の七金剛山の外の鉄囲山の間の州、幷諸の小州、各各に同類の眷属あり。鐵囲山の中に処処に地獄餓鬼鐵鳥毒龍あり。遍く山中に満つ。乃至若し具に説んと欲せば劫を究むるとも尽きず云々。此の外、彼の自内証の曼荼羅重重之あり。今之を秘略す。

問て曰く。内院の荘厳、深秘の曼荼、無量無辺にして測量すべからず。但しこの處には三身四身の中に於いては何れの土ぞ乎。

答。機根に随い観解に応じて四種法身の身土に通ずべし。これに因って薄草決に云ふ、密厳院の式に云く、抑々此の天(兜率天)は、若し浅略に就かば、應身等流の浄刹、若し深秘に依らば浄妙法身の仏土也。能居の慈尊之を毘盧遮那と称す。所住の足天(知足天)豈に法身の浄土にあらざらん。密印の所標知んぬべし。

 

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