民俗断想

民俗学を中心に、学校教育や社会問題について論評します。

思春期の君へ

2005-12-08 11:58:29 | 教育
 学校から下る細い坂道の落ち葉をはこうと、ほうきをもって下っていく私を、まるで待っていたかのように、脇へ上っていく階段の途中に君は座っていましたね。昼休みに担任の先生と何かトラブリ、一人の生徒が学校をとびだし、学年の先生方が手分けして探しているのは知っていました。
 「A君だね」というと、君ははにかむようにうなずいたね。「どうしたの、何かいやなことがあったの」といっても、君は口ごもるばかり。「一人じゃ戻れないなら、私がついていってあげるよ」というと。「いえ、もう皆に家に帰るっていってきましたから」と答えて涙ぐむ。「寒いし、いつまでもここには座っていられないよ。じゃ、私がかばんだけ持って行ってあげるから、そっともどったら」というと、「いいえ、5時間目はここにいて、部活から学校に戻ります」といいきったね。そうか、私はこのままどこかにいなくなったらどうしようという不安はあったが、君をみていると信じてみようという気になった。「そうか、じゃ男と男の約束だ、ここにいていいから必ず部活には出るんだよ」と言い残して、その場を去った。
 この日、A君が部活に出るか心配だったが、元気に出ていると聞いて一安心。そして、今朝のお母さんからの電話だ。やっぱり君は、勢いで学校とびだしたけど、誰か、とりわけ担任の先生が捜してくれるのを待っていたんだね。自立と依存が微妙に交錯するのが思春期だ。ついたり離れたりしながら、気がつけば大人になっているよA君。


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