民俗断想

民俗学を中心に、学校教育や社会問題について論評します。

飲み屋のマスター

2017-09-06 18:01:18 | 民俗学

友人たちと待ち合わせ、さてどこに飲みに行こうかというと、あの店のオヤジは民俗学に興味があるから行ってみよう というのでその店に行くことにしました。今風の居酒屋ではなく、古くからの飲み屋という感じの店で、友人の一人とは顔見知りで民俗学の話題にすぐなったのです。「道祖神が最もパワーのある神だと学生時代に教わりましたが、柳田も折口もそんなことをいっていますか」 おっと、いきなり柳田と折口の学の違いを説明させようとする試験からきましたか。

南島調査の後、柳田國男は「人間」の世界を選び、共同体の内部から人間たちを内在的に統合する原理を探求してゆく。共同体の外部に存在する神は、次第に人間化されて「祖霊」となる(『先祖の話』)折口信夫は「神」の世界を選び、共同体の外部から人間たちを外在的に統合する原理を探求していく。共同体の内部に存在する人間は、次第に異形化、もしくは神化されて「人外身」をもった「マレビト」となる(「民族史観における他界観念」)。柳田國男と折口信夫はある場合にはきわめて良く似た分身として、ある場合にはまったく異なった正反対の鏡像として、それぞれの「学」を練り上げていった。その共通の起源となった南東の仮面祭祀もまた、相互に矛盾するような両義的な相貌をもっていた。
                         安藤礼二「祝祭論」(『現代思想』総特集柳田國男)

こんなうまいことは言えなかったのですが、柳田が祖霊という縦の構造を構築したとすれば、折口はマレビトという横の構造を夢想した、というような話をし、その話は両墓制へと移行していくのでした。各種の日本酒をそろえてあり、つまみは少なかったのですが、冷やした日本酒を堪能したのでした。


アメリカシロヒトリ

2017-09-05 16:10:54 | その他

アメリカシロヒトリといっても、何かイメージできない方も多いでしょう。体長2センチくらいの毛虫です。外来種なのですが、今の季節に盛んに繁殖して、大きな木を1本葉を食いつくしてしまいます。くるみとか、桑とかの柔らかな葉を好みます。

私の実家は空き家となっているのですが、その家の裏を小さな堰が流れています。そして、その堰の向こう側には新聞の専売所があります。その堰の両側にはいつからか、境界のくいが打たれました。堰は川の両側にあるどちらの家のものでもありませんよ、という表明だと思います。川は水利組合のものだから、堰の両側の土手も水利組合のものでしょう。正直、おかしな境界意識をもったものだと思いました。土手の草刈りなどは誰がするのでしょう。我が家は田んぼはなく、水利とは無縁の暮らしですが土手の草を刈り、その代わりに畑に水をくんでかけさせてもらっています。わずかの水だと自分は思っています。

一昨日の事、隣のIさんが垣根を越えて訪ねてきて、何とかしてほしいといいます。それは、我が家に裏を流れる堰の向こう側の土手、新聞の専売所のある側に、いつの間にか桑の木と鬼くるみの木が5メートルほどの高さにも育ち、そこにアメリカシロヒトリが大量に発生しているのです。この毛虫が隣のIさんの家の畑に侵入してきて、ナスなどを食べてしまって困る。何とかしてもらいたいが、土手に生えている木なので新聞の専売所の管理でも、川のこちら側の我が家の管理でもない。役場にいったが話をきくだけで、少しも進展しない。私からも役場に訴えてくれないかという話だった。堰の土手という土地所有のあいまいな場所なので、木がはえていることは私も知っていたが、自分の土地ではないから積極的に切ってしまう気になれず、あいまいにしておくうちに大きくなってしまいました。何とかしてくれと役場がいわれても困るだろうなと思いました。しれで、向こう岸の木で、新聞の専売所があえていえば管理する部分かとは思いましたし。勝手に切っていいかという心配もありましたが、というのは新聞の専売所は朝新聞を配ってしまうと昼間は誰もいないので連絡がとれません、ほうっておくわけにもいきませんから、はしごをかけ思い切って枝をすべて切り落としてしまいました。

切り終わって少し休んでいると、専売所の方が気になっていたが切っていただき申し訳なかったと挨拶に来てくれました。堰の土手を誰が管理するのか、難しい権利主張をしていくと、ややこしいことになります。


2017-09-03 19:53:07 | その他

大根や菜っ葉を収穫し、畑を片付けることをアキジマイといいます。この辺では、11月中旬から下旬でしょうか。そのころのあいさつは、アキは終わったかね といわれたはずです。アキとは1年最後の収穫をして畑を片付けることをいいました。してみると、秋野菜の種をまく8月下旬から9月初は、アキ始めといってもよさそうですが、そんな言い回しはありません。ともかくも、先週から週末にかけて、自分の実家と妻の実家の畑を耕し、大根をまき白菜の苗を植えました。これが結構大変な作業で、もちろん機械を使って耕して畝を立てて植えるのですが。妻の実家には、新しい管理機を買いましたので、畝立てまで機械でできましたが、そうはいっても大変な作業で、体はギシギシいってます。おまけに、ここ数日の冷え込みといってもいいほどの気温の変化です。昨夜は妻の実家に泊まったのですが、木造住宅と冷え込みです、肌寒くて夢をたくさん見ていてよく眠れませんでした。その夢なのですが、よくできたものを久しぶりにみました。

小さい子が何人もいる部屋で、わいわいと遊んでいました。食事をすることになって、それぞれ何を食べたいか聞いてみました。ところが、私のそばにいる快活な子に呼びかけようとして、どうしても名前が思い出せません。「おまえは何を食べたいの」と聞いて、周囲からひんしゅくをかいます。名前を呼ばないのは失礼だと。そういわれても、どうしても名前がうかびません。顔を見ると長男に似ていたので、長男の名前で呼びかけますが返事をしません。ではと、次男の名前で呼んでみても返事をしません。そうするうちに、その子は「ぼくはお稲荷さんを食べたい」といいました。

目が覚めて考えたらすぐわかりました。名前のない子は、あと2か月したら生まれてくる娘の子です。孫が早くも夢に現れて、稲荷ずしが好きだといったのです。何度も思い出しましたが、名前を思い出せないわけです。だってまだ名前がない子ですから。