アメリカではコロナの流行もさることながら、白人警察官が黒人男性を膝で圧迫して殺害したことから都市が騒乱状態になっています。大統領の強気な態度と発言が、それに油を注いでいます。当分はおさまりそうにありません。もちろん、この機会に乗じて略奪してやろうという、コロナでの自粛ストレスと生活苦をぶつけている人々もいるでしょうが、多くの黒人の人々は人種差別への正当な抗議によるデモのようです。
問題の動画を見ましたが、白人の警官が膝で丸腰の黒人男性の首を圧迫し続ける姿は、異常です。押さえ続けた8分間、何を思っていたのでしょうか。自分は当然の事をしているという風でした。白人・正義・強者・支配者:黒人・犯罪者・弱者・服従者 といった図式をそのまま行為で示した警官でした。アメリカの白人男性には強くすりこまれた行動様式があるように思います。アメリカで公然と人種差別が認められていたのは、わずか数十年前です。そのころの価値観を今も多くの白人が共有していても、不思議ではありません。だからこそ、アメリカという国を一つにまとめるために、自由と平等とが必須の価値観となっているのです。にもかかわらず、大統領の発言はマッチョな白人男性の価値観、はっきりと差別的な発言はないものの、いうことを聞かない物は力で押さえつければいいという、警官がやったことに通底する価値を表明しています。亡くなった黒人男性への共感と哀悼の意が感じられない大統領の姿を見ると、この問題は長引きそうな気がします。大統領の人柄が問題だからです。