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『週刊東洋経済』5月11日号 - 日本の高成長企業の比率は主要国最下位、社内起業も最低水準の2%

2019-05-10 | 『週刊 東洋経済』より
週刊東洋経済の早慶特集は幾つか見所があったが、
それ以外で非常に重要な記事があった。

まず、早慶で研究力としては早稲田がやや勝るのに
受験生人気では慶應が勝っている現状から、
日本社会の相変わらずの研究軽視の弊が窺われる。

また、「碌な検証もなくAO拡充するSFCは大丈夫なのか?」と先週に書いたが、
矢張り予想通りだったようだ。一般入試の志願者も偏差値も低下している上に
内部進学で不人気だから、AO拡充以外に現在の地位を守ることができないのだ。

関係者は、AO入試がアメリカで縁故入学の温床になっている実態すら理解していない。
卒業時の学生表彰でAO入学が多いとのことだが、それ以上に失敗例がある筈だ。
学内で、入試形態の可否について計量分析等の科学的研究を行っていないのは確実だろう。

事実、ここ10年程は以前よりも突出した人材が出なくなっているのではないか。
テレビばかり出ていて研究実績の殆どない社会学者とか、
安倍の遠縁とされるAO対策塾の経営者(週刊新潮にこっぴどく批判された)とか。
健全で志の高い大学であれば寧ろ内部から厳しい意見が出る筈である。
この辺り、身贔屓ではない正直な本音を関係者から聞きたいものだ。

『週刊東洋経済』2019年5/11号 (最強私学はどっちだ? 早稲田 vs. 慶応)


今週号で最も評価できるのは84頁「人事部が日本の企業家精神をくじく」。
リチャード・カッツ氏の連載は時折とんでもない破壊力で炸裂する。

今回は、日本企業の活力の乏しさを二つの視点から分析、
過去三年で売上高を年率二割以上伸ばした高成長企業の比率は世界13ヵ国で最下位
社内起業の比率では下から3番目(アメリカ5%、独仏3.4%、日本2%)。
愚昧な安倍の悪政の害毒のせいでもあろうが、今の日本企業の収益は矢張り実力ではない。

    ◇     ◇     ◇     ◇

週刊エコノミストの令和特集は当たり障りのない内容。
高い専門性が強みであるエコノミストらしくない特集と思う。

「令和元年の最大のリスクは米国経済であり債務膨脹・財政赤字・ドル安の三重苦は必至」
とした先週の当ウェブログの見方は、特集を読んでも1ミリも揺らがなかった。

特集で評価できる記事としては唯一つ、78頁「データ漏洩が致命傷になる時代」である。
既に平成の内に、中国人労働者による重大なデータ漏洩問題が起きていたと言う。
その際の日本企業側の対処も大甘で、ここでも安倍の腐敗した移民政策が懸念されるばかり。

『週刊エコノミスト』2019年 5/14号


面白い成長分野としては米国で拡大している「バーチャルオフィス」(61頁)。
以前流行ったセカンドライフと似た画面で、仮想空間での業務が可能だから
通勤する必要がない。日本で推奨するテレワークなどより遥かに合理的で、
特に通勤時間の長い首都圏では大きな成長余地があろう。
このサービス、日本で火が付いたらあっと言う間に拡大しそう。


他に見所は40頁の「予防医療で医療費は削減できない」。
東大の康永教授の執筆で、癌検診での予防でも禁煙でも結局医療費は上昇すると言う。
矢張り「過剰診療」にも言及されていて、確かにその可能性はあろうかと思う。
ただ、公費から給料を得ている医療関係者は、医療費の高騰に対して真っ先に
一般国民以上の負担を自ら申し出る責務があろう。そうしたモラル面での考察は皆無だった。

    ◇     ◇     ◇     ◇

週刊ダイヤモンドの人事特集は、かなり充実内容で精力的に取材している。
特集の性質上どうしても「内向き」になりやすいので、
海外進出やローカライズの成功例、新卒・中途採用の競争力分析など工夫して欲しかった。
ビズリーチやリファラルなど新興勢力・仕組みの徹底比較分析も良案だろうと思う。

他には大企業の人事が不稼働人材に副業を勧めて
体のいいリストラを図っているとの指摘は興味深い。
ぶら下がられるよりは遥かにましな筈で、うまい手を考えたものだ。

『週刊ダイヤモンド』2019年 5/11号 (人事大激変! あなたの評価・給料が危ない)


これ迄は正直言って首を捻るような例が多かった
「イノベーターの育ち方」は今回が最もまともだった。
PoliPoli代表は馬力と言い個性と言い、ポテンシャルが高いように感じる。
日本人にありがちなせせこましい拘りや妙な美学がない点は成長余地の大きさを示唆する。

    ◇     ◇     ◇     ◇

次回もダイヤモンドに注目、いかにも売れそうなGAFA決算書入門特集。

▽ サブの「ウォール・ストリート・ジャーナルから読み解く」の方が質高いかも

『週刊ダイヤモンド』2019年5/18号


▽ 一瞬オオッ!と思ったが概要が宜しくない東洋経済、低炭素の鍵は風力とコージェネ以外ない

『週刊東洋経済』2019年5/18号 (脱炭素時代に生き残る会社)


▽ そんなに絞り込んでいいのかエコノミスト!

『週刊エコノミスト』2019年05月21日号

期待は矢張りキャッシュレスを扱ったエコノミスト・レポートか。
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