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農地の大規模化も企業参入も机上の空論、農政は失敗の山 -「攻めの農林水産業」も口だけ三本の矢と同じ

2015-12-01 | いとすぎから見るこの社会-全般
安倍政権の打ち出す農業政策は、アベノミクス同様に「口だけ」で
政治力の弱ったJAよりも財界からの献金目当ての
いつも通りあさましい利益誘導政策であることが明らかになった。

これまでの自民党政権時の農業政策は、経済面から見れば
ひとつも「成功」したものがないのだから、期待する方が間違いである。
日経新聞が広告主に配慮して企業参入賛成の論陣を張るのはよく分かるが、
他のメディアはどうしてまともな批判ができないのか。
(確信犯の御用メディアは人民日報の同類で、論じる価値もないので論外)

日本国内の農地の集約化で米州豪州の大規模農業に対抗できると本気で思っているのか。
生産コストや資材費(愚劣なアベノミクスで高騰している)を見ても愚かさは明白である。
おまけに政府内では休耕地に課税するという経済原理を無視した案も出ていると言う。
(企業の遊休設備や活用されていない不動産に課税強化した方が遥かに合理的だ)

そもそも国内の需要が減少しているのに、
平坦な土地が少ないのに農地を大規模化するセンスがおかしい。

国内消費にせよ輸出にせよ、仏伊西のように高付加価値化しなければならない。
そうしなければ産業としても競争力を高めることはできない。
この点では自動車と同じである。コストを下げて中韓メーカーの真似をしてはならない。


…テレビ東京でも取り上げられた植物工場が破綻し、
企業参入への幻想が明らかになりつつある一方で、
地方での興味深い実態を捉えたレポートが出ている。

ダイヤモンド誌で多くの地方取材記事を書いている相川俊英氏は、
「限界集落」として取り上げられる長野県南牧村で、
農家が逞しい活躍ぶりを見せている様子をレポートしている。

その中で一人の農家が「大規模農家以上に生活は安定し豊かになれる」と証言し、
理由として次のような点を挙げている。

・寒暖差の大きい山間地は病害虫の被害が少ない
・小規模多品種農業の方がコストはかからず、労働時間が短い
・斜面の狭い畑の方が却って効率がいい

自民党や財界の「机上の空論」とがいかにお粗末か、よく分かるだろう。

▽ こちらに詳しく書いてある

『奇跡の村 地方は「人」で再生する』(相川俊英,集英社)


農業も他の知的産業と何ら変わらない。
産業を進化させるのは大規模化でも企業参入でもない。
個々人の創意工夫とイノベーションである。
それを勘違いしているから農業政策はバラ撒きに終わるのである。

「今日、所謂「規制緩和」で経済成長が可能であるかのように
 プロパガンダを撒き散らしている「政策マフィア」どもを見ると、
 高慢な火遊びによって一般国民に犠牲が出ても何とも思わず、
 無責任の塊のような気色悪い連中が現代でも跋扈していることが分かる」

「小泉内閣の時に始まったタクシー事業の規制緩和が失敗に終わったことが明らかになった。
 それでも単細胞・能天気な規制緩和派は農業や医療が成長分野とほざいている。
 彼らが信用できないのは事実に照らして明らかである」

「彼らは社会保障予算増加と増加と成長率低下の逆相関を無視しているだけでなく、
 アメリカの医療機関の「ヴァンパイア効果」すら知らないのである。
 今の日本のバラマキ医療が成長分野などとふざけるのもいい加減にしろ」

「また、農業の規制緩和を唱える勢力は「規模拡大」を繰り返すだけの無能な連中だ。
 お前が実際に農業で働いて稼いでから言うがいい。
 オーストラリアに行って日本が農地集約で対抗できるかその目で見てくるがいい」

「問題は他にもある。規制緩和推進がドグマに汚染された愚劣な運動であるのは論をまたないが、
 規制緩和の結果や効果を検証・総括していないのは怠惰以外の何ものでもない」

「需要が増えない分野でいくら規制緩和しても意味がない」

「はっきりと言っておきたいが、農業を「成長産業」などと偽称する連中は
 全員が大嘘つきであるか、若しくは単なる無知であるかのいずれかだ」

「アメリカが「競争力のない」農産品に巨額の補助金を投入して
 実質的なダンピング輸出を行っているのは余りにも有名である」

「企業が小規模農家を潰して農業分野で稼ぎたいと考えるのは理解できるが、
 (事実、アメリカでは牧場の集約が進み小規模な酪農家は廃業や自殺に追い込まれている)
 それは日本全体の利益となるものではなく、大手メディアは騙されてはらない」

「もし大手メディアが本当に農業の岩盤規制が問題であり規制改革が必要と思うのなら、
 大手メディア自身の存亡に関わる再販制度や参入規制といった「岩盤規制」を打破するがいい。
 自分自身でまず実験してから他人に講釈を垂れるべきであろう。
 広告主に媚び諂ってその利害を代弁するのは公器ではなく、ただの守銭奴だ」

「また、農業が成長分野ではないのは根本的には単純な理屈であり、
 「産業規模や成長余地が余りにも小さ過ぎる」ということでしかない。
 日本経済全体のGDPと農業の産業規模を比較すれば小中学生でも理解できる話だ」

「元ソロモン・GSでパートナーまで上りつめたデービッド・アトキンソン氏は、
 日本のGDPの1%程度の農業が成長産業のはずがないとはっきり指摘している」

「また、いささかなりと産業を成長させるためには
 地理的条件において決定的に海外優良産地に劣る日本では、
 付加価値を高めることが最優先の筈である。
 あさっての方角を向いている自称「改革」は今から既に竜頭蛇尾が約束されている」

「そもそも自民党政権の農業政策など死屍累々の失敗だらけだ。
 その代わりに土建で地方を丸め込んで選挙で票を事実上「買って」きたのが実態である」

「今回の農協改革も、かつてのタクシー規制緩和と同様に
 みっともない失敗に終わり総括も検証もしない無責任で終わることは確実である」

と警告した当ウェブログの警告通りになるであろう。
これまでの実績から見て、失敗しか考えられない。
愚か者はレアケースを盛大に讃えてお茶を濁すだろうが、恥の上塗りである。

▽ 農業は日本のGDPの1%程度の規模でしかなく、成長政策の対象にはならない

『デービッド・アトキンソン 新・観光立国論』(東洋経済新報社)


▽ 吉本氏も「農業は規模が小さくて成長産業とは言えない」とかなり前に指摘していた

『日本の景気は賃金が決める』(吉本佳生,講談社)


周知の通りアベノミクスは愕然とするショボさで終わりつつあるが、
農業政策も同様に「口だけ」で終わるであろう。

「自民党政権の「規制緩和」は碌でもない利益誘導ばかりである。
 最近は得意の印象操作(中身は旧態依然)で「規制改革」と言い直しているが、
 本質は何ら変わらない。過去と現在の事実を検証すれば明白だ」

「自民党政権が真の規制改革を行って日本の経済成長に繋げたいなら、
 彼らの支持基盤である大企業と電力利権勢力の既得権を破壊しなければならないから、
 本気の規制改革などあり得ない。全部ポーズか、もしくは実質的な利益誘導だ」

「だから彼らの規制改革など全く信用できないのは当然の話である。
 支持基盤や米国に利益誘導しているだけの話である。
 自民党が政権に居座っていた間、日本の成長率が刻々と低下しているのを見れば明白だ」

「農業政策においても「次元の低さ」は相変わらずで、
 農業分野の改善に殆ど繋がらない骨抜き農協改革で時間を浪費しているだけでなく、
 農協改革そのものがアメリカ商工会議所の操り人形に等しい実態が明らかになった」

「高収益・高付加価値型の農業政策を考案・実行できる能力が欠如しているばかりか、
 アメリカの傀儡になっている始末だから二重に罪が重い。
 そもそもアメリカの農業が汚い金権政治で支えられている実態すら分かっていない低次元ぶりだ」

「GDPの1%程度の農業が10%成長したとしてもGDPに0.1%しか寄与しない。
 しかも、農業分野が1年で10%成長する訳がないから、その数分の1程度でしかない」

この状況は、小泉進次郎議員1人では如何ともしがたい。
少なくとも今の政権が選挙で惨敗して権力の座から引きずり降ろされる迄、続くであろう。

↓ 参考

農協改革でも対米追従の「ポチ」安倍政権、米国商工会議所の言いなり - 次元の低過ぎる規制改革
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/50aeeb7e844d238b976487446814ee98

「農業が成長産業」との論は数字無視の妄想、殆ど宗教に等しい - 農協改革もタクシー規制緩和の二の舞に
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/9ecbdd0f14c77563d7106b12f1cd1eae

無責任極まりない規制緩和派、タクシー規制緩和失敗に沈黙する醜態 - 恥を知るなら失策を認め引退しろ
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/6f9fb39e717e5b4485020b3e5c9b261b

▽ 無知で無責任な規制緩和派は、アメリカの農業が巨額補助金で輸出を伸ばしている事実を口にしない

『食の戦争 米国の罠に落ちる日本』(鈴木宣弘,文藝春秋)


農地大区画化を補正に TPP対策、25日に政府大綱(日本経済新聞)
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS20H7I_Q5A121C1PP8000/
”政府は25日、環太平洋経済連携協定(TPP)関連の政策大綱をまとめる。このうち、農地の大区画化など農林水産業の体質強化策の一部は2015年度補正予算案に盛り込み、来年1月4日召集の通常国会冒頭に提出して早期成立を図る。
〔中略〕
 農地の大区画化は「攻めの農林水産業への転換」の一環で、経営感覚に優れた担い手を育成、支援する狙いがある。農地中間管理事業の対象地で農地を大区画化・汎用化することで、担い手の収益力向上を推進する。
 海外農産物輸入の増加によって影響を受ける農家への対策は、主に16年度当初予算以降に盛り込む予定。影響が数年先と想定される対策についてはTPP発効後につくる予算に計上する。
 安倍晋三首相は来週中にも15年度補正予算案の編成を指示する。来夏の参院選をにらみ、農家の保護策も来年度当初予算から本格的に検討する。

このように、区画整理という名の土木事業バラ撒きでしかない。
農業政策が根本的に誤っているだけでなく、
選挙が怖くてその上にまた農家にカネをバラ撒く始末だから最低である。


農地、10年貸せば固定資産税半減 企業参入しやすく(日本経済新聞)
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS01H6V_R01C15A2MM8000/
”環太平洋経済連携協定(TPP)の大筋合意を受け、政府が検討してきた農地集約対策が1日固まった。農家が農地中間管理機構(農地バンク)を通じて企業などに農地を10年以上貸し出せば、農家が支払う固定資産税を一定期間半減する。貸出期間が長いほど減税期間も延ばし、農業を手がける企業などに農地を移しやすくする。
 TPPで流入する安価な外国産の農産物に対抗するうえでカギを握るのが農地集約だ。農地が広いほど生産…〔以下略〕”

国内需要が自民党政権の「失政」で減り続けているのだから、
国内で規模の経済を求めるのは頭が悪い証拠である。
コストを下げたければ企業や農業法人が海外で農地を取得してそこで生産した方が遥かに合理的だ。


蔵元新世代:舌をうならせる秋田「NEXT5」純米大吟醸(毎日新聞)
http://mainichi.jp/select/news/20151107k0000e040211000c.html
”◇秘伝の技術持ち寄り、「地域で共同醸造」
 日本酒ブームが再燃する中、30~40代の新世代の蔵元が中心となり、秘伝の技術を持ち寄って地域で共同醸造に取り組んでいる。復活させた伝統技法に野心的な手法も織り交ぜるなど、単独では難しい醸造で生み出した味は日本酒通の舌をうならせる。蔵元の常識から解き放たれた日本酒のニューフェースは、広がりを見せるのだろうか。【松本紫帆】
◇純米大吟醸「ENTER.Sake2015」
 「五つの蔵元が協力し合い、日本酒の多様性を引き出せた」。新政(あらまさ)酒造(秋田市)の佐藤祐輔社長(40)は、共同醸造の純米大吟醸「ENTER.Sake2015」の出来栄えをこう振り返る。この酒の特徴は、自然の乳酸菌を用いる「生酛(きもと)造り」と呼ぶ江戸時代から伝わる技法と、あえて洋酒造りに使われるオークだるを組み合わせたことだ。先鋭的な香味やワイン、ウイスキーのような芳醇(ほうじゅん)さが際立つ味に仕上がり、9月に売り出した720ミリリットル瓶(税込み価格・3780円)の全2000本は即完売に。喜ぶ間もなく、来年の出荷に向けて既に準備を始めている。
 この酒を造ったのは、秋田県内の蔵元で、佐藤さんを含む5人で2010年に結成した有志グループ「NEXT5」。醸造する酒蔵は毎年持ち回り。個性的な味を生み出すため、使うこうじや酒米などは協議して決めて仕込む。伝統を打ち破る斬新な酒造りは業界内で話題になっただけではなく、味も高く評価され「NEXT5の酒はすぐ売り切れる」(関係者)という事態になっている。
 今や新世代の代表的経営者の一人と目される佐藤さんだが、実は家業を継ぐ気はなかった。東京大卒業後、フリーライターとして活動していた時、老舗の磯自慢酒造(静岡県焼津市)をはじめとする日本酒ブームを起こした蔵元に出会い、次第に酒造りにひかれるように。32歳だった07年、故郷に戻った。
 佐藤さんは経営を任されると、酒米を全て秋田県産にし、全品純米造りに切り替えたことで「新政」を全国ブランドに押し上げた。佐藤さんに醸造や経営手法でアドバイスを惜しまなかったのは、NEXT5の一角を占める秋田醸造(秋田市)の小林忠彦社長(54)。「日本酒の人気を確かなものにしたい」という2人の純粋な思いに、他の経営者も共鳴した。
 門外不出の技術を共有し合う異例の取り組みの背景には、日本酒ブームとはいえ、消費量の減少に歯止めが掛からないことがある。現在の消費量は、ピークだった1975年度(約167万キロリットル)の3分の1程度まで落ち込んでいる。
◇長野・佐久では純米吟醸「SAKU13」
 危機感を覚えるのはNEXT5だけではない。13年には、長野県佐久地区の13社の若手経営者らでつくる「佐久酒造協会若葉会」が共同の純米吟醸「SAKU13」を醸造。仏ワインのように地名をブランドとして売り出す戦略に打って出た。
◇宮城県で経営者7人、純米大吟醸「DATE SEVEN」
 14年には、宮城県で経営者7人が「DATE SEVEN」を結成し、同名の純米大吟醸を醸す取り組みを始めた。いずれも今年売り出した酒は完売した。
〔中略〕
 蔵元が手を取り合う動きについて、日本酒ジャーナリストの松崎晴雄さんは「互いの技術を公開し、良い酒を造ろうとするこれまでにない取り組みは業界や消費者にとって有益だ。ただ集まるだけでなく、新しいテーマを見つけて挑戦し、日本酒の魅力を分かりやすい形で消費者に伝えてほしい」とエールを送る。”

そもそも需要が停滞ないし減少しているのだから、必要なのは付加価値を高めることだ。
国内需要が伸びないなら、利益率を高めなければならない。この報道を見ても明白である。

そして、そのためにはフランスのような原産地呼称制度を導入し、
ブランディングに注力しなければならない。人件費の高い国の宿命である。


新銘柄の松葉ガニに70万円 鳥取育ち「五輝星」(共同通信)
http://www.47news.jp/CN/201511/CN2015110701000825.html
”鳥取県で水揚げされた松葉ガニのうち、大きさなど一定の水準を満たしたものを鳥取県漁業協同組合などが今季から「五輝星」の新たなブランド名で売り出すことになり、鳥取市で7日にPRセレモニーを開いた。
 県内の卸売業者から選ばれた「目利き人」10人が甲羅の幅13.5センチ以上、重さ1.2キロ以上など計5項目で選別。7日午前8時すぎから鳥取市の漁港で行われた初競りでは、地元の仲買人が基準を満たした初のカニを県で過去最高となる70万円で競り落とした。県漁協によると、県内の過去の最高額は20万円だった。”

こちらは漁業だが、新しい需要を創出した一例だ。
数を追うのではなく、質を求めなければならない。
しかもハイエンドやスペシャルティは市場規模が小さいので、
「他にないもの」を追求しなければならない。
だから当然、政策は「脇役」「サポート役」にならなければならない。


大協建工、チョウザメ養殖、国内最大規模に 徳島の施設稼働(日本経済新聞)
http://www.nikkei.com/article/DGXLZO93043730Q5A021C1LA0000/
”内装業の大協建工(高松市)はチョウザメの養殖事業を拡大する。来年初めに徳島県鳴門市に新設した養殖場を稼働する。香川県内の中学校跡地を活用した養殖と合わせ、養殖数は国内最大規模となる。全量を自社で加工し、高級食材である卵のキャビアの販売を本格化する。主力の内装に加え、新たな収益の柱として育てる。
 2016年1月にも鳴門市のウナギの養殖場跡地を活用し、養殖を始める。100~120トンの水槽が21個と…〔以下略〕”

輸出において有望な分野もあるが、農業よりは漁業や畜産業である。
企業参入は、このように経営合理性に基づいて行われるならば良いが、
農地集約という目的が先に来るような間抜けな政策は失敗する。
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