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うつ病患者急増の原因は「製薬企業やメディアのキャンペーン効果」? - 精神科医の8割が懸念を示す

2010-01-07 | いとすぎから見るこの社会-全般
読売新聞が非常に興味深い記事を出しています。

うつ病の急増が「ストレスの多い現代社会の病理」として
屢々語られるようになっていますが、科学的根拠は明示されません。

根拠薄弱な割に自信満々に断言されることが多く、
この自信がどこから来るのか不思議に思っていました。

学校に対するクレームの増加と同じように、
メディアの増幅効果が働いている可能性も否定できません。

このままだと本当にこの病気に苦しんでいる人まで
あらぬ誤解や偏見を受けるようになりかねません。

迂闊にひとつの結論に固執せず、
さまざまな事例と調査、論拠を比較検証することが望まれます。

考えてみるとこれは、格差や年金、雇用といった
様々な社会問題に関しても全く同じですね。

安直な正義感と、粗暴な偏見とは一卵性双生児なのです。


「うつ百万人」陰に新薬? 販売高と患者数比例(読売新聞)
http://news.goo.ne.jp/article/yomiuri/life/science/20100105-567-OYT1T01486.html?fr=rk

”うつ病患者が100万人を超え、この10年間で2.4倍に急増している。
 不況などの影響はもちろんだが、新規抗うつ薬の登場との関係を指摘する声
 も強い。安易な診断や処方を見直す動きも出つつある。
 東京の大手事務機器メーカーでは、約1万2000人いる従業員中、心の病
 による年間の休職者が70人(0.6%)を超える。2か月以上の長期休職
 者も30人を超えた。多くがうつ病との診断で、10年前までは年間数人だ
 ったのが、2000年を境に急増した。
 この会社の産業医は、「『うつ病は無理に励まさず、休ませるのが良い』と
 の啓発キャンペーンの影響が大きい」と話す。うつ病への対処としては正し
 いが、「以前なら上司や同僚が励まして復職させたタイプにも、何も言えな
 くなった。性格的な問題で適応できない場合でも、うつ病と診断されてしま
 う」と、嘆く。
 国の調査では、うつ病など気分障害の患者は、2000年代に入り急激に増
 えており、一概に不況だけの影響とは言えそうにない。

 患者急増との関係が指摘されているのが、新規抗うつ薬「SSRI」だ。年
 間販売高が170億円台だった抗うつ薬市場は、1999年にSSRIが登
 場してから急伸。2007年には900億円を超えた。
 パナソニック健康保険組合予防医療部の冨高辰一郎部長(精神科医)による
 と、欧米でも、この薬が発売された80年代後半から90年代初めにかけ、
 患者の増加がみられた

 冨高部長は「SSRIが発売されたのに伴い、製薬企業による医師向けの講
 演会やインターネット、テレビCMなどのうつ病啓発キャンペーンが盛んに
 なった。精神科受診の抵抗感が減った一方、一時的な気分の落ち込みまで、
 『病気ではないか』と思う人が増えた」と話す。
 田島治・杏林大教授が、学生にテレビCMを見せた研究では、見なかった学
 生の倍の6割が「気分の落ち込みが続いたら積極的な治療が必要」と答え、
 CMの影響をうかがわせた。

   ◆安易な投薬…薬なしで回復の例も◆
 うつ病は一般的に、きまじめで責任感が強い人が陥りやすいとされる。自殺
 に結びつくこともあり、早期発見・治療は自殺対策の柱のひとつにもなって
 いる。
 ところが近年は、「自分より他人を責める」「職場以外では元気」など、様
 々なタイプもうつ病に含まれるようになった。検査数値で測れる身体疾患と
 違い、うつ病の診断は難しい。このため、「抑うつ気分」などの症状が一定
 数以上あれば要件を満たす診断基準が普及した。「なぜそうなったか」は問
 われず、性格や日常的な悩みによる落ち込みでも診断され、かえって混乱を
 招いた面がある。
 田島教授が行った精神科診療所の医師に対する調査では、約8割の医師が、
 うつ病の診断が広がり過ぎていることに懸念を示した。

 安易な投薬を懸念する声もある。抗うつ薬は、うつ病治療の柱とされている
 が、宮岡等・北里大教授は「薬なしでも自然に回復するうつ病も多い」と話
 す。
 海外では、軽症には薬物療法ではなく、カウンセリングや運動などを最初に
 勧める治療指針も多い。渡辺衡一郎・慶応大専任講師は「日本でも、まず抗
 うつ薬ありきという認識を見直す時期に来た」と話す。
 (医療情報部 高橋圭史、佐藤光展)”

この記事中のいくつかの調査を見ると考えさせられます。
この人間社会では真実は一つではなく、
様々な陰影を伴った化身を幾つも見せるのでしょう。


▽ 医師の方々も、うつ病患者の増加に困惑しているようです。





『「私はうつ」と言いたがる人たち』(香山リカ,PHP研究所)

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