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日本型衰退を恐れる韓国「高齢者の政治的影響力が大きくなった日本病」- 少子高齢化が日本衰退の原因と

2013-01-15 | いとすぎから見るこの社会-少子化問題
当ウェブログは少子高齢化によって毎年5兆円規模の経済下押し効果があると指摘し、
即効性のある女性就業率引き上げによって労働投入を増やし成長率を引き上げることと、
20年後の労働投入を増やす出生率向上策を組み合わせることを強く主張してきた。

我が国の宿痾は、膨大なカネを一部の者が貯め込んでいるのに
政府が有権者に媚びて見境もなく盛大な高齢者バラマキを行い、
雇用が増えない年金給付と医療にばかり公費を湯水のように投入しているのに
需要が大きく雇用増効果の大きい育児支援部門に予算を回さないことにある。

「危険なほど急激な少子高齢化を放置すれば必ず悲惨な状況に陥る。
 「オランダ病」ならぬ「日本病」と呼ばれ嘲笑されるようになるだろう」

その際、上記のように主張した訳だが、
予想通り「日本病」を指摘する声が海外から聞こえてきた。韓国である。
韓国が日本を反面教師として対策を取り始めている。

↓ 参考

高齢化で衰退する日本、成長率は年マイナス1.2%、労働生産性は0.2~0.4%下押し - 日銀の試算
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/f4f97a7872a2668da0770f0767a1ca39

日本のGDPが16%増える真の成長戦略は「女性雇用増加」- 韓国と同類の不平等さ、中国にすら負ける
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/3e998a613e089a435b2e5bfd8c374dce

▽ 破滅的な人口動態こそ、日本経済にとっての真の問題である

「2050年の世界 英『エコノミスト』誌は予測する」文藝春秋


▽ 少子高齢化と「シルバーデモクラシー(高齢層に偏った政治)」が日本経済を蝕んでいる

『人口負荷社会』(小峰隆夫,日本経済新聞出版社)


イマジン:第1部 はたらく/7 人口減社会へ韓国先手(毎日新聞)
http://mainichi.jp/feature/news/20130107ddm003040129000c.html
” ◇「日本の轍を踏むな」 女性就業を積極支援
 パートでもフルタイムでも「同一労働同一賃金」を徹底したオランダから見れば、日本は「30年前の世界」だった。一方、働き手が減り始めた日本を「未来の自画像」「他山の石」とみて、必死に対応を取り始めた国がある。お隣、韓国だ。
 「子育てにお金がかかり過ぎるので2番目の子は考えていない。国がもっと支援してくれれば」。5歳の娘を育てながら、テレビショッピング会社に勤めるソウル在住の女性(36)は収入の半分近くの130万ウォン(約11万円)を家政婦に払う。
 平日の朝から晩まで家政婦に朝食から幼稚園の送迎、炊事、洗濯、掃除をこなしてもらう。料金は高いが「仕事をしないと生活できないので、やむを得ない」と言う。
 韓国は日本と似て、長時間労働が当たり前だ。家事・育児は女性が主体のため、韓国の「働き手」である生産年齢人口(15~64歳)における女性就業率は、10年で53%にすぎない。日本より7ポイント低く、経済協力開発機構(OECD)平均を6ポイント下回る。
 また男女間の賃金格差もOECDの中で最悪の39%(10年)と、日本より悪い。
 少子化も世界最悪の水準だ。
1997年の通貨危機の影響などから、00年から05年にかけて、1人の女性が一生に産む子どもの数に相当する合計特殊出生率は、1.47から1.08まで下がった。その後、いくぶん回復したものの、11年は1.24。日本の1.39より低い。
 韓国の生産年齢人口は、日本の半数に少し欠ける3500万人ほど。政府の予想では17年にピークを打ち、その後急降下する。97年に「働き手」が頭打ちとなった日本は、ピークから30年で18%減るが、韓国の場合、30年で25%も少なくなる(国連推計)。中国もほぼ同時期から下降を始め、東アジア諸国は近未来、成長どころか経済規模の維持も危うい状態となる。
 韓国に危機感が強いのは、縮み方が日本よりかなり速いのに加え、過去20年、日本の低迷ぶりを目の当たりにしてきたからだ。
 「高齢者の政治的影響力が大きくなり、少子化対策に相対的に劣っていた日本の轍(てつ)を踏んではならない」(LG経済研究所)。「日本病とは、社会の各分野の構造的矛盾が歯車のようにかみ合い、衰退していく症状」(朝鮮日報、12年11月)
〔中略〕
 女性のための取り組みを見ると、韓国は日本よりかなり早い。
 通貨危機後、当時の金大中(キムデジュン)大統領の経済政策や民主化策の一環として、01年に女性省(現女性家族省)を創設、新採用の国家公務員の3割以上を女性にするクオータ(割り当て)制を導入した。06年からは雇用労働省が、従業員500人以上の企業に、女性の雇用と管理職を増やすよう指導している。対象となった企業の女性管理職比率は11年、16%にまで上がった。
 日本には女性に特化した省庁はない。あるのは内閣府の男女共同参画局だけで、啓発活動が中心だ。
 また、韓国は09年に離職した女性のための職業紹介と能力開発、就職後の相談まで全てを請け負う支援センターを設けた。中小企業を中心にインターンシップ(就業体験)制も導入し、女性を試験的に半年間雇う企業を国が補助する。例えば月給110万ウォン(約9万円)の場合、50万ウォンを国が負担する。
 支援センターは現在100カ所に増え、この3年間で42万人が再就職し、半数が正社員となった。2月に就任する初の女性大統領、朴槿恵(パククネ)氏は、センターを毎年30カ所ずつ増やすと公約している。
 子育て女性を支援する日本の「マザーズハローワーク」は、職探しが主業務。韓国のように教育訓練や就業体験は試みていない。
 韓国には自ら動き出す企業もある。韓国通信最大手のKTは、トップの決定で09年から女性を積極的に管理職に登用し、役員の女性比率を8%に上げた。勤続年数を重んじる社歴主義も廃し、実力主義で女性が昇進しやすいようにした。在宅勤務も奨励し、子育て中の女性を中心に、全社員の約2割が利用している。
 また本社を含め全国8カ所の事業所に保育所を設けた。本社に併設する「夢の木保育園」に次男(5)を通わせる朴淑姫(パクスクヒ)さん(39)は「子供の行事に参加しやすく、熱を出したときもすぐ見にいける」と話す。
 まだ一部の動きで、KTは一つのモデルに過ぎない。「女性の潜在力を活用し、日本の轍を踏むな」という焦りが、トップを動かした一例といえる。〔以下略〕”

日本衰退の原因が少子高齢化にあるとの認識は正しいが、
対策としては誤りが多い。韓国は少子高齢化の罠から逃れられないだろう。

韓国の教訓は、公的育児支援を怠ってクオータ制を導入しても
経済的負担の問題があり効果はごく限定的だということだ。
韓国の出生率は当分元の水準には戻らないであろう。

フランスやスウェーデンのような人口政策先進国は例外なく、
国民負担を引き上げて育児支援に所得移転するとともに、
育児・介護といった福祉部門において膨大な女性雇用を創出している。

▽ 出生率をV字回復させた人口政策先進国スウェーデンは重税でも成長率が高い





『スウェーデン・パラドックス』(湯元健治/佐藤吉宗,日本経済新聞出版社)


国民負担と育児支援の政府予算を見れば、少子化対策の成否はすぐに分かる。
日本も韓国も明らかな劣等生であり、間違いなく両者とも縮小スパイラルの罠に陥る。
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