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池上彰氏より賢い国民世論「安倍政権では生活は良くならない」- 62%が否定的、無党派層では75%も

2013-01-07 | いとすぎから見るこの社会-全般
テレビ東京の選挙報道で当たるところ敵無しの舌鋒鋭い政治分析で
改めて声望を高めた池上彰氏であるが、矢張りと言うべきか
遂に「悪い円安」の発生する可能性に言及した。

しかしその前に「早ければ夏以降に給料が上がり始める」と
迂闊千万にもつい口を滑らせてしまったため、馬脚をあらわすことになった。

「安倍政権では生活は改善しない」と判断している一般国民の方が
より事態を正確に認識していると言えよう。

残念ながら池上氏の指摘よりも状況はもっと悪い。
製造業は好況時に内部留保を厚くして労働分配率を引き下げる習性がある。
「夏以降に給料が上がる」のはせいぜい建設業だけである。
(観光業も上がるかもしれないが、それは震災前に戻ったというだけの話)
製造業は収益が改善してもまず非正規労働者の採用増加を図り、
賃金引き上げのペースは「苦痛なほど」鈍重なものになる。

結局はアベノミクスを囃して市場の波に乗っかった者によって
上澄みを持っていかれることとなるであろう。

「当ウェブログは昨年から「コラテラル・ダメージ」の到来を予言している。
 愚劣な財政拡張と高齢層バラまき温存のために日本財政が行き詰まり、
 我が国の高齢層に占有されている金融資産が急激に減価して
 昭和の貧しい日本に回帰するということである」

「有権者は財政危機への扉を自ら開いたと言わざるを得ない。
 安倍政権は「悪い円安」を招いた財政危機の初期事例として
 経済学の教科書に記載されることになるだろう」

と当ウェブログは主張してきた。
その当否は歴史が証明することとなるだろう。

↓ 参考

「公共事業に200兆円を使い430兆円の借金を作った」- 野田首相がアベノミクスの悲惨な末路を予言
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/b898e6a62363cce17cfef46ac92445a3

2013年は「悪い円安」の始まる年になる - 国民所得も税収も低迷し、高齢層・土建バラマキ止まらず
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/727bef17a79caabd88b4c5d3443a0bc0

▽ 公共事業の乗数効果の悲惨な低落ぶりは明らか

『世代間格差:人口減少社会を問いなおす』(加藤久和,筑摩書房)


▽ 企業収益が伸びても国民に恩恵が及ばない時代になりつつある

『国債・非常事態宣言 「3年以内の暴落」へのカウントダウン』(松田千恵子,朝日新聞出版)


池上彰、そうだったのか!安倍新政権(1)「夏に給料があがる!?」(アサ芸)
http://www.excite.co.jp/News/society_g/20121227/Asagei_11250.html
”大震災後初の総選挙は、民主崩壊、自民の地滑り圧勝となった。その要因の一つに、長引くデフレ不況に疲弊した国民が、大胆な金融緩和で景気浮揚を図る「アベノミクス」に一縷の望みを求めたことがあげられる。
〔中略〕
──総選挙では自民党が大勝し、再び政権交代を実現しました。
 そうでしたねぇ。ただ、実際には比例区の自民党の得票総数は3年前に民主党が政権交代した時よりも少ないんです。つまり、前回、民主党に1票を投じた人たちが今回の選挙では棄権しているんです。だから、民主党が勝手に負けてくれただけで、自民党が勝ったわけではないんです
〔中略〕
──それにしても市場は安倍政権を大歓迎しました。
 ええ、株価が一気に1万円台まで回復しましたからね、これはすごいことです。もともと新政権になれば、何か景気対策をしてくれるのではという漠然たる期待感がある。ですから金融緩和の期待が高まれば、そこに海外の投機筋は「これは絶好の儲け時だ」と、日本の株を購入するわけです。マーケットは選挙が終わったとたんに株価は下がると予測していたんですが、ところがどっこい議席数が自公で3分の2を超えたもんですから、再び期待が高まった。この1カ月の株価の上昇率は世界中で日本がトップなんです。

──安倍総裁は「輪転機をぐるぐる回して、無制限に紙幣を刷る」とか、「建設国債は日銀に全部買ってもらう」という強気な発言をしていましたが、そんなことが可能なんでしょうか?
 ええ、原理的にはできるんですよ。もちろん日銀に直接引き受けさせるなんてことをやったら、これは世界の先進国ではありえないことです。ただ、マーケットを通せば禁じ手ではないわけですよ。例えば、これから10兆円の補正予算を組むことになりますが、そのお金は国債で賄うことになります。それをマーケットに売りに出し、その分を日銀が全部買う、結果的にそれは日銀の直接引き受けとほとんど変わらないわけなんですがね。

──「物価目標2%」で、デフレ不況を脱却して好景気に転じることができれば期待したいところです。
はい、まず株価が上がり円安となれば、自動車、電機などの輸出産業はこれから業績が上がってくる可能性があります。早ければ13年の夏以降に給料が上がり始めるでしょう。これらの産業は子会社、系列、取引先など裾野が広いから、そこから日本経済がよくなっていけば私たちの給料も上がってくるでしょう。秋以降には広告費も入り「アサ芸」さんなどの雑誌だって助かるでしょう?

──それは願ってもないことです。
 さらに言えば、2%のインフレにするということはモノの値段が上がる、つまり、土地など不動産が上がるんです。ですから間違いなく、今後は不動産投機が起き、これから新築マンションの売り出し価格が上がってくる。お金のある人はインフレ対策のために土地や株を持つわけですよ。株、不動産を持っている人にはまたとないチャンスがやってきます。”

目先の情勢分析は流石に的確であるが、
賃金上昇のメカニズムに対する理解は不充分である。
2005年頃の日本の円安期の景況を考えれば明らかだ。

また、緩やかな2%のインフレなど起きる筈がない。
特に不動産投機は限定的なものにとどまる。


池上彰、そうだったのか!安倍新政権(2)「生活必需品が高騰」(reuters)
http://www.excite.co.jp/News/society_g/20130107/Asagei_11255.html
”──何だか安倍政権で明るい未来がかいま見えてきますが。
 バラ色でしょう、と言いたいところですが、残念ながらそうは問屋が卸さないんですね。円安と株価高騰の点では、一見うまくいっているかのように見えます。そして安倍自民が大勝したため、日銀もこれは国民の声だと受け止めざるをえない。今後は物価目標を2%にするでしょう。ただ、政権の言いなりになれば、日銀の中央銀行としての独立性はどうなんだという問題が出てきます。国際的な信用を失う可能性はあります。

──しかし、誰もが久しく好景気になることを待ち望んでいます。
 確かにそうですが、本当に需要が伸びて、モノが売れて景気がよくなり、それによって物価が上がるならいいのです。でも、今のようにモノが新たに売れだしたわけでもない、給料が上がったわけでもない。その中で物価だけが上がっていくのが「悪いインフレ」なんです。2%物価が上がるということはどういうことかというと、ちょうど4年前のリーマン・ショックの直前の状況と同じなのですが、あの時のことを覚えていますか?

──確か物価が上昇して消費者が悲鳴を上げていた。
 そのとおりです。小麦の価格が値上がりしたため、パンやパスタなどの価格が上がりました。当時は投機的な流れの中で株価が上がってはいたが、給料は上がらなかったので生活が苦しくなる一方でした。
〔中略〕
 今のままでは、またリーマン・ショックが起こる前の状況に戻るという可能性が非常に高いのです。

──バラ色どころか灰色では‥‥。
 さらには円安が追い打ちをかけます。自動車など輸出業はよくても、日本は輸入産業のほうが比率が多いんです。例えば、年内に石油の取り引きをしたものが実際に日本に入ってくるのは2月の初めになります。ということは、2月中旬以降はいろんな石油製品の値段がじわじわと値上がりすることになるでしょう。
 それに電力料金も上がります。今、原子力発電所が止まっているから、石油や天然ガスを買ってコストが上がったと、電力会社は値上げ申請をしました。これは年明けにも認められることになりますが、円安になればその値上げでは足りなくなる。今後、電力料金はもっと上がります。

──他にも値段が上がるものはありますか?
 ええ、残念ながら。例えば、今、世界的に食料品の値段が上がっています。しかし、日本では値上がりしていないのは円高だったおかげなんですよ。ですから、これから食料品の値段がどんどん上がります。〔以下略〕”

この「悪いインフレ」は当ウェブログが昨年末より主張してきたもので、
これ自体は正しい。しかし「輸入産業のほうが比率が多い」から苦しくなるのではない。
成長率が高く購買力が伸びているのであれば問題にもならない。
日本の成長率が低迷して国民所得が伸びておらず、
新興国が豊かになるにつれ相対的に貧しくなっているからこそ苦しいのである。


本社世論調査:安倍内閣支持52% 生活変わらぬ62%(毎日新聞)
http://mainichi.jp/select/news/20121228k0000m010068000c.html
”毎日新聞は26、27両日、第2次安倍内閣の発足を受けて、緊急の全国世論調査を実施した。安倍内閣の支持率は52%で、不支持率は26%、「関心がない」との回答も21%を占めている。09年9月以来、3年3カ月ぶりの自民党の政権奪還に伴い、「国民の生活が良くなると思うか」と尋ねたところ、「変わらない」が62%に上り、「良くなる」は28%にとどまった。
 ◇民主再建「期待せず」64%
 第1次安倍内閣が発足した06年9月の内閣支持率は67%で、今回は15ポイント低かった。07年以来の再登板となった安倍晋三首相への国民の期待感は、前回ほどの盛り上がりを欠いている。
〔中略〕
 自民党の政権奪還に伴い、「国民の生活が良くなると思う」と答えたのは、自民支持層の59%にとどまった。連立を組む公明支持層でも、「良くなる」と「変わらない」がともに48%で並んだ。「支持政党はない」と答えた無党派層では、「変わらない」が75%に達している。
 首相の組閣、党役員人事を巡っては、評価が割れた。自民党の麻生太郎元首相や公明党の太田昭宏前代表を起用した内閣の顔ぶれについては、「期待できない」49%と「期待できる」の45%が拮抗(きっこう)。高市早苗政調会長、野田聖子総務会長の女性2人を党三役に起用した人事に関しても「評価する」48%に対し、「評価しない」も45%を占めた。
 衆院の3分の2超の議席を持つ自民、公明両党が、参院で否決された法案を衆院で再可決する「再可決ルール」を利用することについては、「慎重にすべきだ」が76%を占めた。「積極的に活用すべきだ」は18%で、再可決による強引な政権運営には否定的な意見が大勢となっている。
 政党支持率をみると、自民党が31%に上り、衆院選前の今年11月調査の17%から急伸した。衆院選で大敗した民主党は11月調査の11%から7%に低下。日本維新の会は11月調査から4ポイント増の14%になり、民主党を逆転した。みんなの党は6%、公明党は5%だった。〔中略〕【松尾良】”

このように、安倍政権で生活が良くならないと確信している
一般国民の方が池上氏よりも事態を的確に見抜いている。
自民党の支持率の高さも半年で風船のように萎むであろう。

環境税の税収をコージェネ等の省エネ投資インセンティブとして全額投入し、
育児関連の現物給付や介護・福祉部門の労働者へ給付付き税額控除を適用するといった
(財源は高齢層バラマキをやめれば幾らでも出てくる)
本来必要な内需振興政策・フレキシキュリティを断行する能力がないのだから
自業自得と言うべきものである。

▽ 北欧の方が自民党の政策よりも遥かに競争的かつ合理的である





『スウェーデン・パラドックス』(湯元健治/佐藤吉宗,日本経済新聞出版社)

日本経済を低成長に追いやった「主犯」の政党なのだから、期待する方が間違っている。
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