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太陽光発電コストが急低下、買い取り額も順当に低下 - 出力低下リスクの高いメガソーラー優遇を止めよ

2013-01-24 | いとすぎの見るこの社会-地球環境を考える
当ウェブログは太陽光発電の技術革新が早いことを繰り返し指摘してきた。
それだけでなく、発電コストも順調に低下していることが明らかになった。

僅か1年間で発電コストがkWhで2~3円下がっているので
このペースが続けば5年間で20円/kWhを下回るようになる。
安全コストが高くなる一方の「劣等生」原子力とは大違いだ。

化石燃料を無駄に使い国富を損耗させている既存の老朽石油火力は
あと5年で存在意義を失い、完全廃止にできる計算である。
日本経済にとって実に素晴らしい話である。

コージェネ普及策やコージェネ発電買取法の後押しがあれば
供給リスクの著しく高い原子力など全くなくとも全く困らなくなる。

太陽光発電コストが低下しているのは結構なことであるものの、
注意すべき点は他にもある。メガソーラーの出力低下だ。

メガソーラーは粗製濫造のアジア製パネルを使用するケースが多い。
海外製パネルを使うため日本国内への波及効果が見劣りするだけでなく、
出力低下リスクも高いメガソーラーは巧妙に排除すべきである。

また、以前より何度も当ウェブログが主張しているように
メガソーラーは送電線投資と送電ロスで二重に非効率的である。
野放図な普及拡大など絶対に許してはならない。
    ↓

「何より、非住宅用の所謂メガソーラーの伸びが想定以上に早過ぎる。
 次年度から即刻、メガソーラーの買取価格を引き下げるべきである。
 巷間言われているようにメガソーラーの適正買い取り価格水準は30円前後だろう」

「非住宅用のメガソーラーは、一律の買取価格を廃止しなければならない。
 そして自家消費分を優遇する「ドイツ方式」にシフトすべきだ。
 企業等が自らの施設で太陽光発電を行えば送電網増強は不要である」

太陽光発電における国内産業への恩恵を増やし、
イノベーションを促す日本独自の制度設計が必要である。

 ↓ 原子力より遥かにイノベーションが早い

東京都環境局、「屋根貸し」太陽光発電の仲介事業開始へ - 屋根をレンタルするだけで売電収入に
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/4d900e06cd14ec263a5165672c80e327

変換効率85%の太陽電池を石橋晃・北大教授らが開発 - 東大発ベンチャーは熱回収型、進化する太陽電池
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/9475b1a58d2b957c020e95a36999d90d

▽ 太陽光発電のコスト低下は海外でも証明された歴然たる事実

『国民のためのエネルギー原論』(植田和弘/梶山恵司,日本経済新聞出版社)


▽ しかしドイツのように拡大を急ぎすぎるとコスト高と市場の歪みを招き、失敗する

『脱原発を決めたドイツの挑戦 再生可能エネルギー大国への道』(熊谷徹,角川グループパブリッシング)


太陽光:買い取り価格引き下げへ「30円台後半に」(毎日新聞)
http://mainichi.jp/select/news/20130122k0000m020069000c.html
”経済産業省は21日、再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度で、太陽光発電の買い取り価格を2013年度から1割前後引き下げる方針を明らかにした。一般電気料金への上乗せ額は再生エネの買い取りが増えるほど膨らむ仕組みだが、昨年夏以来の発電所の設備費用が10%前後下がったことを反映させて影響額を抑える。10~20年間定額の買い取り価格が初年度の参入事業者より低くなるため、新規参入意欲を減退させる恐れもある。【丸山進、種市房子】
 買い取り価格を議論する経産省の有識者会議で、同省が方針を説明。これに先立ち茂木敏充経産相が東京都内で講演し、「太陽光の設備価格は相当程度下がっている。今年度の1キロワット時当たり42円の買い取り価格は30円台後半にできるのではないか」と述べ、来年度からの引き下げ方針を明らかにした。同省によると、価格は37~38円程度になる見通し。風力や地熱など太陽光以外の再生エネの買い取り価格は据え置く方針だ。
 同制度は、建設コストと適正利潤を踏まえて、年度ごとに買い取り価格を見直すことになっている。経産省は21日の有識者会議で、制度導入時の前提となった再生エネルギー発電所の建設費用と、12年10~12月の実績との比較を提示した。
 それによると、大規模太陽光発電(10キロワット以上)は、同年7~9月は1キロワット当たり32.5万円だったのが、導入後の同年10月以降は同28万円に下がった。10キロワット未満の住宅用も1割程度下落した。太陽光パネルの値段が下がったためだ。
 風力や小規模水力発電などの費用比較も示されたが、新規設置の実績がほとんどなく、「見直しの根拠は乏しい」として、据え置きが妥当との見解を示した。
〔中略〕
 自民党は昨年の衆院選公約で「3年間、再生可能エネルギーの最大限の導入をはかる」としており、政府の動向が注目されていた。経産省は「建設コスト、適正利潤の概念は機械的に算出する」と説明している。【丸山進、種市房子】”

ドイツの教訓を学び、もっと賢い制度設計ができる筈だ。
自民党も所詮は民主党と同レベルの制度設計しかできていない。

投資負担が大きいメガソーラーに30円台の価格など必要ない。
工場や公共施設の屋根のように効率の高い場所に限って自家消費を優遇すべきである。
効率性や採算性を考えない制度設計は必ず禍根を残す。


メガソーラー、採算性の落とし穴 発電性能低下リスクも(日本経済新聞)
http://www.nikkei.com/article/DGXNASDD150ST_Y3A110C1000000/?df=2
”〔前略〕メガソーラー建設に際し、コスト重視で極端に安価な外国製太陽電池を採用した太陽光発電施設は今後、発電性能低下に注意が必要になるかもしれない。2012 年、欧州ではメガソーラーの出力が低下する「PID」現象が大きな問題になった。高温多湿の条件下で太陽電池システムを高電圧で使うと、太陽電池モジュール表面のガラスに含まれるナトリウムがイオン化して悪影響を及ぼすといわれている。
 国産勢や海外の大手は絶縁性の高い封止材や湿気を遮断するシートを装着するなどの対策を講じているためにPID現象の懸念は少ない。ただ、一部ではコストを切り詰めるために封止をおざなりにした製品も出回っている模様だ。これまで日本では家庭の屋根に設置するケースが大半で、高電圧の大規模な太陽光発電施設がなく、PID現象は顕在化しなかった。最近はメガソーラー建設が相次ぐようになり、事情が変わった。
 2012年12月に幕張メッセで開催された太陽光発電展示会「PVジャパン2012」では、「当社の製品はPID現象とは無関係です」と連呼するブースが目立った。PID現象はもはや対岸の火事ではなくなった。再生可能エネルギーの固定価格全量買い取り制度への参入を目指す企業や自治体は多いが、付随業務や付帯設備、PID現象への目配りを忘れてはならない。(編集委員 竹田忍)”

もう一つの懸念材料は、中国製パネルの出力低下である。
前々から囁かれてきたことであるが、価格が安いからと言って
粗悪なパネルを並べて太陽光発電を行うと思わぬリスクを抱えることになろう。
制度設計に反映しにくいとしても警告だけは発しておかなければならない。

実質的な発電量を重視することがコスト低下にも結びつく。
自家消費分を優遇し、更に発電効率を固定価格買い取りの条件とすればよい。
日本製の高性能パネルの活躍する場が広がり、一石二鳥である。
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