みんなの心にも投資 … ソーシャルインベスター(社会投資家)への道

個人投資家の”いとすぎ ”が為替・株式投資を通じた社会貢献に挑戦します。すべてのステークホルダーに良い成果を!

PIMCOのビル・グロースCIOの警告 -「先進国における高齢化の加速が経済成長を減速させる」

2010-10-06 | いとすぎから見るこの社会-少子化問題
「国内メディアは、生産年齢人口の減少と高齢化の同時進行が
 いかに破壊的で恐ろしいものが、全然分かっていません」


と以前書きました。これは何度繰り返しても足りないくらいです。
効果など多寡が知れている法人減税よりも遥かに重要です。
(これまでの租特の効果を見れば歴然、法人減税など単なるバラまきです)

即効性のある内需振興・景況改善策が必要であれば、
日本に進出・事業拡大する外資企業の法人税を3年ほど免除すれば良いのです。
難しくも何ともありません。

海外富裕層の短期滞在や定住の促進策も有効です。
海外から人と資金を呼んでくれば膨大なインパクトがあります。
しかも国内への減税と違って、税の欠損が発生しません。

特に日本の場合、予想される生産年齢人口の減少は深刻であり、
世界から富裕層を誘致しアジア等の高度人材を受け入れて
ショックを少しでも緩和させなければなりません。


最近気付いたのですが、『デフレの真実』における藻谷浩介氏の主張と
PIMCOのビル・グロース氏のコメントが奇妙なほど一致しています。





『デフレの正体 経済は「人口の波」で動く』(藻谷浩介,角川グループパブリッシング)



人口減少や先進国の高齢化加速、経済成長を減速させる見通し=PIMCOグロース氏(reuters)
http://www.asahi.com/business/news/reuters/RTR201007280090.html

”米有力債券ファンド運用会社パシフィック・インベストメント・マネジメント(PI
 MCO)の共同最高投資責任者(CIO)を務めるビル・グロース氏は28日、世界
 人口の伸びの鈍化や米国などの先進国における高齢化の加速が今後5─10年の経済
 成長を減速させる、との見通しを示した。
 グロース氏はPIMCOのウェブサイトに掲載された8月の投資見通しのなかで、世
 界金融危機を受けて各国が債務水準の引き下げに取り組むなか、人口トレンドが経済
 成長ペースを一段と抑制する
と指摘した。このトレンドについて「総人口に対する新
 たな消費者の減少やさほど消費をしない高齢者の増加」
と説明し、「これらの複合的
 な影響は経済成長を一段と減速させるだろう」と述べた。
 PIMCOは、人口学的な要因が先進国における長期間にわたる一段とぜい弱な経済
 成長の一因となるとの見通しを「ニュー・ノーマル(新たな正常)」と称している。
 グロース氏は同見通しが「今後、成長のほか、金融市場に影響をもたらす公算が大き
 い」としている。
 同氏はまた、今後10年間の見通しについては、その大半を通じ、より良好な初期条
 件を有する新興市場国の状況がさほど反映されることなく、レバレッジ外し・再規制
 ・非グローバル化などが経済成長を鈍化させ、先進国での低インフレにつながる
こと
 をPIMCOは予想している、と指摘した。”

 → 「経済を一段と減速させる」先進国の筆頭は、
   紛れもなく日本です。
   低インフレどころかデフレに陥っていますからね。


スウェーデン 中道右派、与党が勝利 高福祉の左派は退潮(産経新聞)
http://sankei.jp.msn.com/world/europe/100920/erp1009202205008-n1.htm

”【ストックホルム=木村正人】スウェーデン総選挙(定数349、比例代表制)の投
 開票が19日行われ、中道右派・穏健党のラインフェルト首相(45)率いる4党連
 合が172議席を獲得、同首相は20日未明、「政権を継続する」と勝利宣言を行っ
 た。過半数には3議席届かず、野党の緑の党と政策協議に入る。高福祉高負担を実現
 してきた中道左派・社会民主労働党の退潮がくっきりした。

 同国選挙管理委員会の集計では、最大野党・社会民主労働党のサリーン党首(53)
 率いる野党3党連合は157議席。同党首は「国民の信頼を失った。結果を重く受け
 止める」と述べた。進退については言及を避けた。
 先進国で最も「大きな政府」とされる同国では、2000年の税収は国内総生産(G
 DP)の51.8%に達した。
 市場経済を重視するラインフェルト首相は総額700億クローナ(約8500億円)
 の減税を実施し、税収の割合を08年に47.1%まで押し下げた。これが内需を拡
 大して金融・経済危機を乗り切り、今年GDP比で4.5%の経済成長を実現し、来
 年には財政を黒字化できる見通しだ。
 財政再建を進める英国のキャメロン首相もスウェーデンをお手本にしている。
 社会民主労働党は1917年以来の第一党の座を小差で死守したものの、ストックホ
 ルム大のジェニー・マッデスタム博士は「スウェーデンの社会民主主義モデルは曲が
 り角を迎えた。国民はより多くの所得を求めるようになった。今後、市場主義を取り
 入れた社会自由主義的傾向がさらに強まるだろう」
と分析する。
 イスラム系移民排斥を訴える極右の小政党・民主党の得票率は5.7%で、議席獲得
 の要件である4%を超え、20議席を得た。民主党が議席を持つのは初めて。
 民主党のオーケソン党首(31)は「税金を納めない移民のただ乗りを認めれば社会
 福祉制度は崩壊する」
と訴え、年金受給に訪れたスウェーデン人老女をイスラム系移
 民女性が押しのける映像を政見放送で流して高齢者や若者層に支持を広げた。ただし
 首相は、民主党とは協力しない方針。
 北欧ではこのほか、イスラム系移民排斥を唱えるデンマーク国民党が閣外協力し、ノ
 ルウェーの最大野党・進歩党が移民受け入れ制限を主張している。こうした移民排斥
 の傾向は、オランダやオーストリアでも顕著になっている
。”

細かいようですが「退潮がくっきりした」ではなく
「退潮がはっきりした」でしょう。

また、「減税により内需拡大」説は極めて疑わしい。
スウェーデンは北欧の中では製造業が強い。
欧州危機の余波でクローナ安になっており、
ドイツと同じように為替効果が出たのである。

この記事の重要な点は、スウェーデンでさえ高福祉を
維持するコンセンサスが崩れかかっていること、
景気低迷は移民単純労働者への排除を強化すること。

…このトレンドの帰結は明確だ。

高度人材・富裕層優遇の移民政策が勝利を収めることになる。
つまり他国からまとめて需要を奪う、
スイスやシンガポール型の戦略である。





『ブランド王国スイスの秘密』(磯山友幸,日経BP社)

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