労働者派遣法の改正案がいよいよ国会に提出されますが、
これは政治側の経済への無理解を象徴するものです。
ただ禁止すればよいと考えるのはただの頭脳停止の証拠に他なりません。
何よりも当の非正規労働者の過半数が改正案に反対しています。
雇用規制強化が既得権擁護と失業率上昇に直結することは
欧州諸国の事例を見れば火を見るより明らかです。
▽ 大阪大の大竹教授などが何度も警告されています。
雇用は短期的にはゼロサム・ゲームの塊であり、
(誰かが貰えば他の誰かの取り分が減る)
法律だけで魔法のように雇用改善すると考えるのは夢遊病者だけです。
また、正義を振りかざす「声の大きな」人々が見落としているのは、
日本の非正規雇用労働者の利害がバラバラである点です。
低賃金で必死に家計を担っている労働者は3割程度に過ぎず、
親同居や既婚者でそれなりに満足して働く労働者が相当に多いです。
(だから意外にも不満の少ない非正規労働者が多い)
非正規雇用低所得者の中には学生やパート主婦がカウントされていると
海老原氏がかなり以前から指摘されています。
雇用というブラックボックスは内容を精査しないと分からないのです。
派遣社員、政府の規制強化に5割超が「反対」 東大調査(日本経済新聞)
http://www.nikkei.com/news/headline/article/g%3D96958A9C93819481E0E5E2E39C8DE0E5E2EBE0E2E3E29797E0E2E2E2
”東大社会科学研究所は27日、請負・派遣社員の働き方に関する調査結果をまとめた。
政府が10月召集の臨時国会への提出を目指す労働者派遣法改正案について、派遣社員
の55.3%が「反対」と答えた一方、「賛成」は13.5%にとどまった。派遣規制を強化
すると働き先を失いかねないという派遣社員の不安心理を映した結果とみられる。
調査は請負・派遣社員4千人を対象に8月に実施し、56.9%から回答を得た。
労働者派遣法改正案は、仕事があるときだけ働く「登録型派遣」や製造業派遣の原則
禁止などが柱。調査によると、反対理由のうち「禁止しても正社員の雇用機会は増え
ない」が69.5%とトップ。「派遣で働けなくなる」が65.9%と続いた。賛成理由のト
ップは「派遣は雇用が不安定」で83.2%を占めた。
同案が施行された場合に失業する可能性があるか、との問いには79.1%が「ある」と
回答。同研究所は「派遣禁止が失業リスクを高めると考える派遣社員が多い」と分析
している。”
→ これは大学の研究なので、政治的バイアスが小さいです。
このような冷静な調査結果の価値は大きい。
「正義派」の論者やジャーナリストは
意図的にも無意識的にも情報操作してくるので寧ろ要注意。
若年者雇用:自身の収入のみで生計 非正社員は3割(毎日新聞)
http://mainichi.jp/select/wadai/news/20100903k0000m040064000c.html
”過去3年間にフリーターを正社員として採用した企業は1割強にとどまったことが、
厚生労働省の09年「若年者雇用実態調査」で分かった。過去1年間の採用状況を
聞いた04年の調査時と同水準で、フリーターの厳しい雇用環境に変化がないこと
が明らかになった。
調査は昨年10月に実施し、9457事業所から回答を得た。
06年10月〜09年9月に48%の事業所で正社員を採用する予定があったが、
フリーターを採用したのは11.6%だった。採用に関するフリーターへの評価は
「マイナス評価」が18.5%だったのに対し、「ほとんど影響しない」が73.8
%。04年の調査ではマイナス評価が30.3%もあり、偏見自体は薄れたものの、
実際の雇用には結びついていない。
一方、15〜34歳の若年労働者1万5124人に実施した調査では、生計の一部
を親の収入に頼っているのは正社員が28.3%に対し、非正社員では34.8%に
上った。自身の収入のみで生計を立てているのは正社員が51.6%、非正社員は
30.3%で、格差が浮き彫りになった。 【市川明代】”
この調査だけでは「自身の収入で生計を立てる必要がない」労働者も
多数カウントされてしまい、実態が分かりません。
問題は自分の収入で生計を支えている非正規労働者を
いかにして制度的に援護するか、なのです。
困窮している労働者だけをピックアップして支援するのは
現実的に不可能であり制度悪用を誘発します。
欧州のように、正社員も非正規社員もともに社会保険を積み立て、
短期失業への給付を手厚くし効果的な就労支援予算に充当するしかありません。
(日本の労働者の手取り比率は欧州よりかなり高い水準にある)
これは政治側の経済への無理解を象徴するものです。
ただ禁止すればよいと考えるのはただの頭脳停止の証拠に他なりません。
何よりも当の非正規労働者の過半数が改正案に反対しています。
雇用規制強化が既得権擁護と失業率上昇に直結することは
欧州諸国の事例を見れば火を見るより明らかです。
▽ 大阪大の大竹教授などが何度も警告されています。
『格差と希望―誰が損をしているか?』(大竹文雄,筑摩書房) |
雇用は短期的にはゼロサム・ゲームの塊であり、
(誰かが貰えば他の誰かの取り分が減る)
法律だけで魔法のように雇用改善すると考えるのは夢遊病者だけです。
また、正義を振りかざす「声の大きな」人々が見落としているのは、
日本の非正規雇用労働者の利害がバラバラである点です。
低賃金で必死に家計を担っている労働者は3割程度に過ぎず、
親同居や既婚者でそれなりに満足して働く労働者が相当に多いです。
(だから意外にも不満の少ない非正規労働者が多い)
『雇用の常識「本当に見えるウソ」』(海老原嗣生,プレジデント社) |
非正規雇用低所得者の中には学生やパート主婦がカウントされていると
海老原氏がかなり以前から指摘されています。
雇用というブラックボックスは内容を精査しないと分からないのです。
派遣社員、政府の規制強化に5割超が「反対」 東大調査(日本経済新聞)
http://www.nikkei.com/news/headline/article/g%3D96958A9C93819481E0E5E2E39C8DE0E5E2EBE0E2E3E29797E0E2E2E2
”東大社会科学研究所は27日、請負・派遣社員の働き方に関する調査結果をまとめた。
政府が10月召集の臨時国会への提出を目指す労働者派遣法改正案について、派遣社員
の55.3%が「反対」と答えた一方、「賛成」は13.5%にとどまった。派遣規制を強化
すると働き先を失いかねないという派遣社員の不安心理を映した結果とみられる。
調査は請負・派遣社員4千人を対象に8月に実施し、56.9%から回答を得た。
労働者派遣法改正案は、仕事があるときだけ働く「登録型派遣」や製造業派遣の原則
禁止などが柱。調査によると、反対理由のうち「禁止しても正社員の雇用機会は増え
ない」が69.5%とトップ。「派遣で働けなくなる」が65.9%と続いた。賛成理由のト
ップは「派遣は雇用が不安定」で83.2%を占めた。
同案が施行された場合に失業する可能性があるか、との問いには79.1%が「ある」と
回答。同研究所は「派遣禁止が失業リスクを高めると考える派遣社員が多い」と分析
している。”
→ これは大学の研究なので、政治的バイアスが小さいです。
このような冷静な調査結果の価値は大きい。
「正義派」の論者やジャーナリストは
意図的にも無意識的にも情報操作してくるので寧ろ要注意。
若年者雇用:自身の収入のみで生計 非正社員は3割(毎日新聞)
http://mainichi.jp/select/wadai/news/20100903k0000m040064000c.html
”過去3年間にフリーターを正社員として採用した企業は1割強にとどまったことが、
厚生労働省の09年「若年者雇用実態調査」で分かった。過去1年間の採用状況を
聞いた04年の調査時と同水準で、フリーターの厳しい雇用環境に変化がないこと
が明らかになった。
調査は昨年10月に実施し、9457事業所から回答を得た。
06年10月〜09年9月に48%の事業所で正社員を採用する予定があったが、
フリーターを採用したのは11.6%だった。採用に関するフリーターへの評価は
「マイナス評価」が18.5%だったのに対し、「ほとんど影響しない」が73.8
%。04年の調査ではマイナス評価が30.3%もあり、偏見自体は薄れたものの、
実際の雇用には結びついていない。
一方、15〜34歳の若年労働者1万5124人に実施した調査では、生計の一部
を親の収入に頼っているのは正社員が28.3%に対し、非正社員では34.8%に
上った。自身の収入のみで生計を立てているのは正社員が51.6%、非正社員は
30.3%で、格差が浮き彫りになった。 【市川明代】”
この調査だけでは「自身の収入で生計を立てる必要がない」労働者も
多数カウントされてしまい、実態が分かりません。
問題は自分の収入で生計を支えている非正規労働者を
いかにして制度的に援護するか、なのです。
困窮している労働者だけをピックアップして支援するのは
現実的に不可能であり制度悪用を誘発します。
欧州のように、正社員も非正規社員もともに社会保険を積み立て、
短期失業への給付を手厚くし効果的な就労支援予算に充当するしかありません。
(日本の労働者の手取り比率は欧州よりかなり高い水準にある)