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『週刊エコノミスト』6月17日号 - アメリカの輸出の半分は既に新興国向け、という事実

2008-06-10 | 『週刊エコノミスト』より
今週の特集は「米経済深刻」でした。
『週刊エコノミスト』の内容案内

最新号の内容の確認は、こちらの毎日新聞のサイトの方が正確で早いです。
(定期購読は方式によりディスカウント率が複雑なので御注意下さい)
http://www.mainichi.co.jp/syuppan/economist/

私が当ウェブログで年頭に書いた通り、
米経済は順当(?)にリセッションに向け突進中のようです。

ただ、今週のメイン特集を読んでショート戦略を選ぶのは考えものです。

特集にも登場されているK氏は今年4月中旬、
「日経平均は10,500円へ」と真逆の発言をしてしまったばかりです。
(尊敬すべき方ですが、事実は事実)

堀古英司氏は御自身の日記で、米リセッション時に株価が下がっていない
ことを過去の事例をもとに論じておられます。

私は、ショートではなくロングの局面だと考えます。
特集を読んで一層その感を強くしました。

株価は本質的に先行指標であり、
景気回復への期待を織り込んで価格形成されます。

P30で上野氏の提示した「全米活動指数」を見ても
2002年以来の大底圏と判断することができます。

絶対に見逃せない記事としては、P34に掲載されている
大和総研の児玉卓シニアストラテジストの分析を挙げます。
タイトルは「資源大国は米国を支えきれるか」です。

” 03年を境に、ロシア・中東・中南米など非アジア諸国が新興国の成長の
 牽引役として台頭してきたことで変わり始めている。これら諸国の成長
 パターンは明らかな「内需主導型」だからだ。米国経済の停滞は、中国
 における製造業の生産拡大の動きに逆風となろう。しかしロシアの消費
 ブームや中東の投資プロジェクトが米国経済の停滞によって止まること
 はありそうにない。それは米国の輸出も下支えする。”

今回のエントリーのサブタイトルに挙げた
「米国の輸出の半分が新興国向け」であることを示す図表も掲載されており、
この記事だけでも目を通されることをお薦めします。

   ◇     ◇     ◇     ◇

面白い特集としては、巻末の「動き出す移民政策」を挙げます。

最近移民政策が脚光を浴びるようになった背景には、
自民党の中川秀直氏の果たした役割が大きいようです。

私は外国人政策研究所の坂中英徳所長の経歴を初めて知りました。
官僚を辞められた方は多いですが、確かな志とビジョンのある方は
珍しいです。




『移民国家ニッポン―1000万人の移民が日本を救う』(坂中英徳/浅川晃広,日本加除出版)

処世のうまい人はいくらもいますが、
一身を投げ出して国事に尽くしている氏の活動に期待したいところ。

” 日本は危機的な問題に直面しながら、困難に立ち向かおう
 とせず、現実から逃避している。政治家も票にもカネにも
 ならない厄介な問題は避けたがる。責任ある立場のものが
 誰も日本のあるべき将来のビジョンを描こうとしない。”

… 全くその通りですよね。

世界各国が優秀な移民の人材を奪い合っている現状は、
P84の肥田美佐子さんの記事で読むのが良いでしょう。
(アメリカでさえ豪や加、欧州との競合を気にしている)

   ◇     ◇     ◇     ◇

環境関連ではP64に「セクトラル・アプローチ」の現状が記されています。
「誤解を避け」と記事中にありますが、
何をもって「正確な理解」とするのか記載がないので
不思議に思っていましたら、執筆者が元環境省の方だと気付きました。

なるほど、意図的に国策をかばっているはずですよね。

セクトラル・アプローチは広く各国に与えるメリットに乏しく、
明らかに日本企業にとって有利な枠組みであること、
排出権取引のようなインセンティブにも乏しいことは
よくよく理解しておいた方が良いと思います。

従って、日本が多数派工作に確実に成功するまでは、
セクトラルアプローチに期待をかけるのは
やめた方が賢明でしょう。甘い期待は禁物です。
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